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街外れの変わり者?2



「さて、魔法の事は道中で試しながら教えてやろう。まずは準備をしてくるから待っておれ。」


「え、ついてくるのはわかりましたが、実際に魔石を取りに行くのはまだまだ先ですよ?しばらくはここへ通わして頂こうかと思ってましたが………。」


「魔王の屋敷からここは遠かろう、ワシが魔王の屋敷にしばらくやっかいになろう。フィリアといったか、いいかの?」


「ええ、屋敷の部屋は空きがありますし、その方が都合が良さそうですね。」


 おっと、即答。知らない爺さんそんな簡単に招き入れて良いのか?確かに、行き来がないのは楽ではあるが。


「許可も出た事じゃし、待っておれ。」


 そう言うと、ダンベルドアさんは奥の部屋へと入っていった。


「フィリア、よかったの?簡単に屋敷に入れちゃって。」


「ええ、アキノさんも連れて行く事を了承しましたし、毎回街の外れまで来るのもロスになりますし。」


「まあ、そうなんだけどね。ロッテもよかったか?あんな事を言ってはいるけど、いざという時、僕らがダンベルドアさんを守る事になると思うけど。」


「わ、私はアキノさんに従いますし、そう決めたのであれば、そのように動きます。」


 ん〜、なんと従順な。メイドっぽいけど。


 ガチャッ


「待たせたの。」


?????


「「「誰?」」」


 扉の向こうからやってきたのは、ダンベルドアさんではなく、年は10〜12歳位の少女だった。


「ワシじゃよ?ダンベルドアじゃ。」


「えっ⁉︎ちょっと意味が分からないんですけど………。」


「ふむ、まあ、そうじゃろうな。出発前に自己紹介をしようかの。」


「お願いします。」


「最初の姿は、仮の姿じゃ。おぬし達がどういうやつらかわからぬからの。魔術で、いかにもな爺さんに姿を変えて反応を見ておったのじゃよ。名前ももちろん偽名じゃ。おぬしは、ピンと来るものがあったかもしれぬがの。」


「確かに、あれは間違いなく元の世界の……でも、なぜ知ってるんです?」


「ワシも、異世界から召喚されたからじゃ。ある日目が覚めたら突然、異世界へようこそってな。」


「同じなんですね、でもあのネタを知ってるって事は、同じ位の時代から召喚されたって事ですね。えっ、でも召喚者って事は、人間?」


「どうやら、召喚者は似たような時代から呼ばれてるらしいの。どういう原理かはわかぬが。ああ、人間じゃよ、元はじゃが。」


うーん、聞きたい事と、つっこみたいとこが多すぎてこんがらがってきた。順番に消化していこう。


「元はっていうのは?」


「300年前の大戦の事は聞いておるか?その時にワシは召喚されておる。」


「ちょ、えっ、今300歳以上って事ですか⁉︎人間だったら寿命は?それに、その見た目…。」


 青い髪に白色がメッシュのように入っており、身長は145前後だろうか、細身の可憐な美少女である。服はワンピースタイプの制服のようなもので丸襟が付いている。髪の色にも驚いたが、目の色も左右で違っている。右目は青く、左目は赤い。しかし、300年以上生きてるのか………。

 これが噂に聞くロリババアってやつか。 ん、どっからどう見てもコスプレ少女だな。


「じゃから、元と言っておるじゃろ。

召喚されたその時は、魔族の全盛期。人間の大半は魔族にやられ危機的状況にあった。

人間に召喚されたワシは魔術に長けておったため、人類を救ってくれと、戦場に駆り出され、魔族を殲滅していった。

じゃが、流石に一筋縄ではいかず、より強くなるため、より強い魔術を使えるようになるため、魔族の使う魔法に興味を持った。

そこで、魔族の生態を探るべく魔族達を観察し始めた。

すると、見た目こそ違いはあるが、人間と変わらないような生活を送っておる魔族もいる事をしってしまったんじゃ。その頃からワシは、今までやってきた事に迷いが出てきた。そして時々、魔術を使って魔族の姿になって街に出入りするようになり、魔族の事を知り、ますますどうすればいいのかわからなくなった………。

そんな時、その村に人間達が攻めてきたんじゃ。

ワシは当然、人間達の味方をしなければいけなかった。それが普通じゃからな。

じゃが、ワシは今までのように魔族を倒す事が出来なくなっていたんじゃ。」


「それはわかる気がしします。ロッテとフィリアを見ていたら、とてもじゃないですが、そんな事はできません。」


「じゃな……人間達が去っていくと、荒れ果てた村が残るのみ。

ワシは、結局何もできなかった。途方に暮れて村をふらふらしていると、まだ微かに息のある魔族の少女が倒れていた。じゃが、ワシは人間の姿だったため、少女はワシを見ると覚悟を決めた。

それを見てワシは色々な感情が心の底から込み上げてきた言葉にできないほどのな。

そして、この少女を助ける事を決めた。

よくも悪くも、その感情の動きによって、その少女はいくらか魔力を回復したようじゃが、動けるようになるには程遠い。

魔術に長けているとチヤホヤされていい気になっておったが、こんな少女1人も助けれないなんてな。何もできずに1人で絶望しておったよ。その時少女が話掛けてきたんじゃ。」


「お姉ちゃん、人間だよね。ボクを殺さないの?なんでそんな悲しそうな顔をしているの?」


「自分の状況をわかった上で、話掛けてきたんじゃ。ワシはすぐに言葉を返せなかった。そして、しばらくした後、少女をなんとして助けたいと伝えた。」


「助けてくれるの?人間なのに?面白いね。でも、もう無理なのはわかってるんだ〜。もし、次に生まれてくる時は、人間でもいいかなって。そんなこと言ってくれる人間もいるってわかったし。」


「ワシは流れ出る涙を拭う事も忘れ少女を見つめていた。どれぐらいの時間が流れたかわからない。

ふと、ある考えが頭をよぎる。少女をワシの身体に封印するというものじゃ。今すぐには助けられないかもしれない、じゃが封印すれば、もしかしたら、あとで助ける事ができるかもしれない。

実際そんな事をして、ワシ自身もどうなるかわからんかったがな。成功するかどうかも賭けじゃ。

それを少女に伝えると。」



「うん、お姉ちゃんがそれでいいのなら、いいよ。もう、ボクには何もできないし。お姉ちゃんと一緒ならさみしくないもん。もし、ボクが助かったらまたお話ししようね。」


 ……………。


「あなた、名前は?」


「アクアだよ。」


「アクア、またお話ししよう。」




「ワシは今までの知識を総動員して、ワシの身体に封印させるための魔法陣を完成させた。

そして、その結果封印は成功したが、色々な想定外が起こった。

1つは見た目の変化。目の色や髪の色を含む、な。そして、歳を重ねても見た目に変化はなく、寿命も延びているという事。

これが最も重要なのじゃが、あまり力の強い魔術が使えなくなった。

あまり強い魔術を使用しようとすると封印している少女に影響が出るらしくてな。

色々試してはおるが、たいした魔術も使えんのもあって、思うように結果がでん。

アクアを助けるためにはこのままではいかんのじゃ。

おぬしは、魔族と共存しておるし、リンクによって、魔力も持ち合わせておる。そこに色々な可能性を見た。じゃから、ついて行くことに決めたんじゃ。」


「大戦が終わった後、人間の街にはいかなかったのですか?」


「行ってはみたが、結界みたいなもので入れなかったんじゃよ。ま、どちらにしても、もう人間の世界で暮らそうとは思わないがの。」



 うーん、なるほど。


 重っ!!長っ!!


 いやー、なかなかヘビーな事情がおありで。少しでも何か助けになれば良いけど。確かに強力な魔術が使えなくなるのは大きな事だけど、見た目もそうだし、不老になって寿命が延びた方が、人類にとっては重要なんじゃ?



「いきなりこんな深くまで話してもらえるとは思いませんでしたが……。とりあえず、内容は理解しました。改めて、よろしくお願いしますね。」


「うむ……アイリスだよ!!よろしくね、お兄ちゃん!!」


 グハッ!!

 なんだ、急にキャラ変わったぞ。


「冗談じゃよ、それともお兄ちゃんの方がよかったかの?それと、敬語もいらんからの。」


「いえ、ふ、普通で大丈夫です。敬語の方は少しずつ慣らしていきますね。」


「アキノさん、もうお昼過ぎてますけど、昼食どうします?私達は大丈夫ですけど。」


「そうだった、忘れてたよ。ロッテ、朝渡したもの持ってきてくれてる?」


「は、はい。持ってきてますよ。これって、なんですか?」


「ああ、弁当だよ。時間が読めなかったから必要になるかなって。アイリスさん、ここで弁当食べてからでもいい?」


「ほほう、弁当か。懐かしいの。この身体になってから食欲がなくなって、食事すらしておらんかったからの。食べてからでもかまわん。あと、呼び捨てで大丈夫じゃ。」


「ありがとう、アイリス。あ、アイリスの分もあるんだけど、食べれるかな?」


「見た感じうまそうじゃが……。その肉はなんじゃ?この辺に食用の動物などいないじゃろ?」


「ああ、食用の動物もちゃんといるんだ。これは魔物の肉です。僕は食べても平気だったけど、アイリスはどうだろ?」


ああ、敬語とタメ口が混ざる変な感じだ。思い切って全部タメ口でいいか、本人もいいって言ってるし。


「魔物の肉を食べたのか?よくやるの。正直わからんな。ん、どれ少し見てみるか。」


 ………。


「ふむ、魔物の肉というだけあって、魔力を帯びとるの。二種類の肉があるようじゃが、片方はかなり魔力を帯びとる。」


「そっちは、大イノシシの肉だよ。かなり強かった。もう1つは一角ウサギの肉。今の所はこっちの方が美味しいかな。」


「ふーむ、とりあえず保険をかけておくかの。」


 そういうとアイリスは、床に魔方陣を描き始めた。


「なにをしてるのですか?」


 これはフィリア。


「魔法陣を見るのは初めてか?これは、身体に溜まった魔力を取り除くものじゃ、これは大した強さがないから、おぬしらには少しだるくなった位ですむじゃろうが。きちんとした手順でしっかりと描けば、魔族を大幅に弱体化させる事もできる。

今回は、この魔法陣の上でのみでしか効果はないから安心せい。もちろん、封印にも影響がないレベルじゃ。」


「そんな事ができるんだ。もし弁当を食べて異常があれば、すぐにその魔法陣の上に行けばいいと。」


「肉の方の魔力を抜く事はできないんですか?」


「できない事はないが、魔力を帯びた物を食べてどうなるのかを身体で確かめたい。何事もやってみん事にはわからんからの。」


 その考え方はよくわかる。自分自身もそうだから。まあ、保険もあるしとりあえず大丈夫だろう。


「それじゃ、食べますか。異常があったら言ってね、アイリス?」


「okじゃ。頂くとしよう。」


「お、お弁当って初めてですね。」


「そうね、私達には必要がなかったものね。」


「で、でもなんか楽しいですね、こういうの。」


「ええ。アイリスさんがなんともないといいんだけど。」


「アイリスじゃ。」


「はい……アイリス。」


「頂くかの。…………うっ!」



 やっぱ魔物の肉はダメだったか⁉︎


「美味い!!おぬしが作ったのか?美味いぞこれ。」


「ベタだな!!一瞬心配してしまったよ。」


「ふむ、なるほどの。召喚者だからか、この身体だからか問題ないようじゃな。ほんの極僅かではあるが、魔力を身体が吸い取っておる。もしかしたら、少女の魔力も少しは回復するかもしれんの。」


 それは朗報だな。これからも食事はとってもらうことにしよう。



「さてと、今度こそ屋敷に戻りますかね 。」







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