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異世界で柔の道を行く  作者: パド
序章
3/16

3話「異世界の風景」

 「ここは、日本なのか?」

 この世界は、日本の時代劇に出てくるような街並みをしていた。今立っている大通りの先には、立派な城がある。ただ、哲也がよく知っている城とは違って、城本来の役目である「守る」ということよりも、「見せる」ことに重きを置いたような、派手な見た目をしている。

時代的には、鎌倉~江戸といったところかという印象を哲也は受ける。

「信じたくはないが、これはタイムスリップという奴なのか?」

否、ここは現実世界とは違う世界だ。だが、哲也はまだそのことを知らない。

「とりあえず、適当に歩いてみるか」

そう言って、哲也は人の流れに沿って歩き出した。

「なんか、人に見られるな」

それもそうだろう、見たこともない服を着た人が、柔道着が入るような大きなリュックを背負って歩いていたら、誰だって不審に思う。

 人の視線に耐えられなくなった哲也は、人気のない細い路地へ入った。

 しばらく歩いていると、

「誰か!誰か助けてください!!」

という女の子の声が聞こえてきた。哲也が、その声のする方へ走っていくと、背の高い男と、低い男の、まさにデコボココンビみたいなやつらが、女の子の手を無理やり引っ張ていった。


 

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