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2017年の軌跡
走れ、走れ、走れ──
「いたぞ!こっちだ!」
「ちっ・・・!」
人生最大の逃避行が始まってから、一体どれだけの時間が経っただろうか。ただただ後ろから聞こえる声をかわして走り続ける。
細い路地裏の曲がりくねった道をスピードを落とさないように直感で方向転換して走る。一緒に抜け出した仲間たちが心配だが、今は自分が逃げることに集中しなければ。未だに後ろからは声がする気がして、緩めたくても足は動き続ける。
「はっ、はっ、はっ」
またひとつ曲がり角を曲がった先に、光が見えた。どうやら大通りに続く道に出たらしい。これで人ごみに紛れることができれば時間が稼げる・・・!ラストスパートをかけ、もう感覚すらなくなった足に力を込めて、地面をつかみ、蹴る──
「よぉ、ユウガ。・・・わりぃ、ダメだった」
光の向こうでは大人に押さえつけられた仲間たちが、苦しそうに俺を待っていた。