旅立ちの時
いよいよ冒険らしくなってきます!!
お店を経営して早5ヵ月目、深夜にアオユリが何度か訪問者を締上げる程度で、何事も起きていなかった。
開店時とフェスタ時に激しい人の出入りがあったようで、醤油も味噌も、行商会を通してよこせっていう程になり、国王様もあの調味料を外国に流通させたい、と言っていた。
そこまで出回ると作り方を発見してしまう人や、フジヤマの価値を落としてしまうかもしれないので、少し考え物だが……
朝10時頃開店と同時に入ってきた5組の料理を作りながら、この店がどうやって、俺抜きで回していけるか考えていた。
最近は人も少なくなったし、ここの店も常連客と、小売で買いに来る人もいて収入金貨も安定の1000枚金貨と、安定だし。
俺居なくとも回していけるんだよな、どう見ても手が空く従業員が多い。
俺の営業方針なだけあって手が空く事は、苦に感じる人もいる、テトラなんかは、もっと働きたいと言ってきた。
「タクトさん!私もっと働きたいんですけど何か無いですか!?」真面目な顔でテトラがよってくる
しかし俺も困った顔で「君たちが完璧仕事を仕上げてくれたおかげで、実はもうやる事がないんだねぇ……テトラもその様子だと、何か欲しい物があるんだな?」
テトラが頷いて「はい!!お母さんとお父さんにプレゼントしたくて!」
なるほどなぁ……正直給料的には、家の従業員達は平均年収を1.5倍ほどある。正直この世界はあんまし生活を改善する以外に金の使い道が分からない。
この世界でよくもまぁ、ポンポンと欲しい物が浮かぶもんだな……
もう正直100万金貨と目標していた額も突破して130万も金貨あるし、ロウウェンとリリアを抜いても、リリア抜きで味噌や醤油を作る、保存期間の内容や発酵のさせ方も、開店と同時に並行してやってたから、俺もリリアと共にロウウェンも抜けても余裕がある。それに
アオユリが警備もしてくれるし、強い奴はそんなに必要ない。
今日の仕事が終わり閉店準備を終えると俺は
従業員達を集める
俺は皆に向かって「俺はそろそろ本当の目的のために旅に出ようと思う」
リリアとロウウェン以外は驚いていた
テトラが意味が分からない顔で「そ、それってどうゆう事ですか!?本当の目的ってなんですかっ!?」
「俺がこのお店を開いた目的は資金を貯める事、本当の目的はドラゴンの力を得るために行っていた事なんだ、いずれ出ていこう出ていこう、考えていたが、もう半年も経ってきまった」
アステアが頷いて「タクト社長もそんな事考えてらっしゃったのですね、フフッ、いいんじゃないですか?タクトさんがここまで成長させたからには引き継いで繋いで行くのも私達の仕事、タクト社長が居なくなったら、また忙しくなるわよ」
俺がアステアの顔を見て一礼するとガウも
「タクト社長が元々持ってた目的ならやった方がいいッスよ!俺達も充分タクト社長に育ててもらったので1人でもやっていく自信はありますよ!」
そうするとテトラも頷いて「分かりました……今度はタクト社長のためにこのお店を守ると誓います!」
俺は笑って「もしかしたら達成できずひとまず戻ってくるかもしれないから、お店はしっかりと守っておいてくれよ!」
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翌日、俺は今まで開発していた、ロウウェンと俺用の武器を取りに行く
ロウウェンがまるで誕生日の子供のようにはしゃぐ
「鍛冶屋に行くって事は鎧ですね!?いよいよこれから師匠と本格的な旅に出られると思うと血が騒ぎます!」
俺はため息を吐いて「あのなぁ……遊びに行くんじゃねぇよ」
俺はリリアが浮かない表情をしていたので
「やっぱり、今更になって出ていくのは嫌か?」
リリアは図星を言われたようにビクッと動き「で、でも、タクトさんが私を監獄から出してくれた、きっかけの事を考えれば、私は今度はタクトさんに恩を、返す番……何も言えません」
俺はリリアの頭をなでて「ごめんなちゃっちゃと終わらせてリリアがお店に戻れるよう、俺も配慮するからさ、俺も皆の本当の考えてることは分かってるんだよ。リリアのお婆ちゃんから手がかりを掴んだ時点でリリアは使命から開放されるから、少なからず俺がドラゴンになるまでと言う、永遠に戻れない可能性は低い」
リリアは頷いて「はい……」
俺が鍛冶屋へと辿りついて「すみません!タクトです!おやっさん!いますか!?」
いかにも頑固ジジイという感じのおじいさんが出てくる「わかってるわかってる聞こえてるよ、まったく耳は相変わらず衰えてないじゃうが。シルバーファング用の例のアンカーと鎧、そしてあんたのナイフと鎧だろ?注文通りできているよ」
俺はおやっさんに頭を下げると
ロウウェンが尻尾を高速でぶんぶん振り
「私の新しいアンカーってなんですかっ!?」
俺が犬を躾けるように「黙って待ってなさい」
おやっさんが持ってきたレザー防具、胸当ても最小限にして、動きやすさ重視にしてもらったが、やはりレザーなだけ馴染むまで時間が必要そうだな。
俺の防具は蹴りの威力を上げるため、安全靴と同じように靴に鉄板を仕込み、手の甲の部分に鉄板が仕込んである、そして胸当ても、全体を多い尽くすのでは無く、胸から腹にまでしか防具がない、それとレザーの篭手と、足に取りつけるレザー防具。
俺は装着してみてサイズもピッタリで「いい出来だおやっさん、俺の注文通りだ」
おやっさんは鼻を擦り「まぁな」とドヤ顔をしているとロウウェンが待ちきれず
「俺の装備ってなんすかなんすか!?」ハッハッと犬のようにしている
もう我慢させるのは限界なため、おやっさんとアイコンタクトして運んできてもらう
腕に装着するワイヤーアンカーだ、今までは紐でやっていたのだが、鉄製にすることでロウウェンの、電撃体毛の特性を最大限に活かすことができる。
ロウウェンはプレゼントを貰った子供のようにパァーってなっている
「このアンカーは特注で、先端にナイフや、敵を引っ掛けられるフックがある、お前なら敵兵の武器を抜き取ったり、遠距離で攻撃するのにも向いている。それと俺が考案した新型の弓もある」
俺が弓を渡すと、木製ではなく、俺が現実世界で見ていた鉄製で競技で使われるアーチェリーに弓を渡すロウウェンはもう俺が認識できないほど喜んでいる
「なんすか!?その弓めちゃカッコイイ!」
おやっさんが笑い「全くただの弓と比べて飛距離が100mも違うって、エライ違いじゃよ、全くタクトの設計図に感謝するんじゃな」
ロウウェンは感極まって泣き出してしまい
リリアが痛い子を見るような目で見ている
ロウウェンの鎧は軽量のメタルアーマー、やはり攻撃特化なだけあって防具はしっかりして欲しい、獣人の傷ついても治るだろうみたいな考えで突っ込むから、防御が甘いのだ。こっちはしっかりと首から腰までしっかりとある、ゴテゴテにまでは行かないが、少し動きやすい金属アーマーだ。
リリアにも専用の鎧を作らせていた
リリアは驚いて「私は魔法でガードできるから、問題ないわ、それに金属が肌身にあると魔法が安定しないから、いらないわ」
俺が待ってましたと言わんばかりに笑いフッフッフと言い
「リリアはそう言うと思って、調べておいたんだ、これは魔水晶を取り付けた専門品だと」
リリアが鎧を見るや驚いて「これって……魔法に感応する特殊金属じゃない!それに魔水晶って……丈なしで使えるってこと!?でもこんなの知ってるなんてってことは……タクトさん魔法使いだったの!?それにお金だって・・・」
俺は苦笑いして「魔法なんてスペルや詠唱こそできるけど、マナが安定しないのか使えないよ、知識として持っているだけだ、リリアも重い丈を1日中持ってるのは辛いだろうって思ってね」
おやっさんがニヤニヤして「実はこの装備の類の中で嬢ちゃんの装備品に1番金がかかってるんだぜ、一桁違うぐらいだ、それほどあんたを守りたいって事じゃねぇかな」
俺が焦って「こ、こらおやっさん……」
おやっさんは俺をからかい笑って奥に行くと
リリアが「タクトさん……私この鎧を大事にします!!」
俺も頷いて「他の人に取られるなよ〜」
ロウウェンが早速装備して背中にアーチェリーを背負いポーズを決めて「カッコイイですかっ!?師匠」
俺も呆れて「あー、はいはいそうですね」
ロウウェンがガーンとして「酷いっ!?」
リリアがクスクスと笑い、俺も装備して、城へと向かう、国王様に別れの挨拶をしないと
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俺達が完全武装していると国王様は「いよいよ行くのだな、タクトよ」
俺は頭を下げて「フェスタの時助けた件で、あの店の途中と建設費が返せたなんて思ってないですけど……」
国王は笑い「何言っておるのか!お前はこうしてまた娘と合わせてくれた大事な友だ、もう費用などの借りはとうに返しているわ、私の方こそ君に満足の行く報酬が出せたか心配なぐらいだ」
俺は手を振り「そんな!充分ですよ、帰る場所を従業員達が守ってくれている、それだけで充分です」
国王は笑い「ハッハッハッ、やっぱりタクト殿は違うのう、いやもう殿は余計だな、タクトも私の事をラルフと呼んで良いぞ、いやむしろ呼んでくれ、君とは親友だからな」
俺は笑い「それじゃ言ってきますわ、ラルフ、通行手形の発行を頼むぜ!」
ラルフ国王は笑い「通行手形を持ってこい!」
兵士達が俺に差し出す時に笑顔で「あなた様には何度も部下を救われました、どうかお元気で」
俺も受け取り「あんたの娘さん、美味そうに天ぷら食ってたな、また食わせてやれるように、生き延びろよ」
兵士は笑って返すと、俺達は謁見の間に背中を向けて歩く。
さていよいよこの世界を旅するんだ。
この世界の旅は、俺の楽しみの1つだった、
「ロウウェンとリリア、さぁ行くか!!」
氏名:ラルフ・アズール
性別:男
種族:人間
年齢:49歳
詳細:かっこいいダンディなひげが特徴的な国王、周辺諸国を上手く取りまとめ、歴代の国王の中でも政治的政策と、国民を守る意思は強い、タクトと出会ってからは悩み勝ちだった、退屈な日々もぶっ飛び当人もだいぶタクトを評価している