狼の暗殺者と竜化への希望、魔法使いリリア
王様へ貸しを作るためには、どうした物か……
悪人を取っ捕まえる、うーん……
どこかに居ねぇかな悪人……
市場を歩いていると、ダッシュで駆け抜けてくる少年が居た。
必死な顔と手には明らかに自分の物じゃない花柄の綺麗なサイフ。
これはチャンス!!
と思い、足を出して転ばせてやる
「っあ!?」顔面から派手に行き
取られたと思われる女性が駆けつけ
「私のサイフ返して!!」
少年は懐からナイフを取り出して振り回す
「ちかづくなぁ!ちかづいたら、ころす!!」
俺は少年の前に堂々と立ち「あっそう、刺して見れば?」
堂々と立つとナイフの刃には震えがあり、人を殺した経験は無いのだろう。
少年はナイフを俺に構えるが刃先が定まってない。
俺はすかさず少年の手首を捻り、ナイフを掴む力を解いてナイフを落とさせナイフを蹴り、無力化する。
俺はしゃがんで少年の目を合わせて「ガキだから見逃してやる、今度やってたら、監獄に送ってやる」
ガキは全力疾走で逃げて行き「はぁ、結局俺の慈愛で逃がしちまった」
俺はサイフを取り、女性に 「はいこれ、今度からスられる位置に入れんなよ?」
女性は深々と頭を下げて「ありがとうございます!!」一気に注目を引いちまったから、悪人は向こうから逃げちまったじゃねぇか!
向こうから逃げる……?
俺はピーン!と来て
そうだ来てもらえばいいんだ!!
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俺は深夜の町外れの森で待っているとやっぱり来た。
本人は姿、音、気配、全て殺している気になっているが、サバゲーで鍛えた、俺の気配察知能力じゃ位置がダダ漏れだっつうの。
案の定俺の首筋を狙ってきた。
一筋の白銀の閃光。
俺は余裕の表情でひらりと回避して、作業するような目で相手の体を掴み、投げ飛ばす。
!?、体にビリッと痺れが一瞬来た。
投げ飛ばされた体勢から綺麗に受身を取り立ち上がると驚いた
黒いフードを被っていて狼の独特のマズルに体には様々な種類のナイフと、武器と推測される物を装備した、いかにも暗殺者的な奴だった。
尻尾をゆらゆら動かして
「俺の位置に気づいていたとは……やはりやるな」
俺は溜息を吐いて「悪いけど俺の野望のために捕まってもらうから」そう呟くと
狼の獣人はマズルから牙を見せて笑い「俺を捕らえる?笑止」
間合いを詰めてナイフを首に降り掛かってくるが、俺は軽々回避して思いっきり腹へとカウンターの蹴りを入れてやる。
「ぶはっ!?……つ、強い、貴様、何者!?」
俺は笑って「素直に捕まってくれれば教えてあげてもいいかなぁ?」と余裕の笑顔
狼獣人はプライドを傷つけられたのが気に触ったのか「黙れぇ!」またも首筋、こいつ首しか狙ってこないな、分かりやすい動き過ぎて、笑っちまう
俺は余裕の笑みのままカウンターで今度は顔面にパンチをかました後に、怯んだ所で、顔面に膝蹴りをかます。
今のは効いただろう、顔の骨にヒビが入った感触があった。
「ぶほぉあ!?」膝蹴りの威力が強すぎて吹っ飛ぶ
俺もやっちまったな〜と頭をぽりぽりして「大丈夫かぁ〜?だいぶ鼻血出てるけど」
狼獣人はよろよろと起き上がり「な、なんのこれしきで!!」
もうよろよろで戦える状態じゃない、これ以上やると殺しちゃいそうなので、買ったロープで簀巻きにして
「どうだこれで参ったか?」
狼獣人はようやく観念した、抵抗する力が抜け、諦めた。
「お利口さ--」その瞬間だった、
体が動かない……!?
体を見ると痺れている
よくよく見ると狼の体毛に電撃が帯びている
まさかコイツ!こうゆう種族なのか!?
そういえばさっきビリッと来たな・・・しくじった。
俺が膝をつくと狼獣人は笑い「見事な体術だったが油断したな、俺の体毛には、電撃を帯びていて、触れるとしばらくして麻痺するのさ」ロープをナイフで切り脱出して、俺の前に立つ
「今度こそ仕留めさせてもらうよ」一筋の白銀の閃光のナイフが降りかかる
ガチィン!!
「・・・っな!!」
俺は歯でナイフを噛み、受け止める
慌てた狼獣人は間合いを取り、俺は立ち上がる。
「狼ちゃん、いい事教えてやるよ・・・俺はな、ドラゴンになるまで死にたくはないんだわ、目的変更・・・もうお前の首でいいわ」俺の目つきが変わり殺意に満ちた顔つきになり
狼獣人が反応した時には遅い、俺が左に回り込み殺意のこもった一撃で吹っ飛ばす
狼獣人の態度が一変した、俺を見て恐怖している、体がガクブルと震えて今にも漏らしそうな顔だ。
「おい、立てよ、どうした、俺の殺気で動けなくなったか?」
俺が狼の頭の毛を鷲掴みにして持ち上げ「どうした、殺る気で掛かって来いよ」
狼はもうやめてくれと顔が歪んで怯えている俺が、舌打ちして頭をポリポリかいて
「あぁ~もう・・・やる気が無いなら仕掛けてくんなよ・・・一瞬本気でキレかけたからさ」
狼は解放された事でぐったりと座り込む。息が上がっている
俺は狼が放心状態だったので、再び簀巻きにして引きずって城へと向かう
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警備している衛兵達に差し出して「ごめんねぇ、夜分に」
俺が笑顔で笑っていると衛兵達は驚いた「こ、こいつはシルバーファング!!ま、まさか捕まえたのか!?」
衛兵達が驚いていて、俺は拍子抜けして、無抵抗な狼を見て「こいつそんなに強い奴なの?」
衛兵達は震えた首を縦に振り「あぁ、こいつは森の暗殺者シルバーファングと言って見て生還した者は少ない、正真正銘の化け物級の奴だぜ」
俺はヘェ・・・っとあんまり関心無さそうに顔をポリポリしていると衛兵達が狼が震え上がっている所を見て「お前・・・何をした?」
俺は間抜けな顔で「へ?別に、ちょっと本気だしたらコイツがチビって俺が萎えた、以上」
衛兵達は俺の顔を見るや「お、お前何者なんだ?」
「ただの通行人です」
そんな感じで誤魔化すと、後日褒美が出るとの事で俺はいったんいつも愛用している宿屋へと向かう
一泊1金貨と安定の相場だが、そこそこ悪くない、世話してくれるおばさんがいい人だから愛用している
そこへ向かい、「おばちゃんただいまー」
「あらお帰りなさい!聞いたわ!シルバーファングを倒したんですってね!」
情報伝達早っ!?まぁ無理もないか国を悩ませる種を俺が潰したんだから・・・
「それじゃ、今日は疲れたから寝ますわ~フアァァ・・・・眠い」
俺の間抜けなあくびを開けて部屋へと入り、そのままベットイン、爆睡する
翌朝、宿屋を出ると偉い騒ぎになっていた
紙の携行型の羽ペンを持った記者と思われる人達が集まり「あなたがシルバーファングを捕まえた人ですね!?どうやって捕まえたのですか!?」「たった一人で成し遂げたと噂されていますが本当なんですか
?」「前にも黒服団の幹部を捕らえたと聞きましたが本当なんですか!?」
あぁもううっとおしい!!「知りません!!王に会いに行く予定があるので失礼します」
記者たちは「王と会うという事は本当なのですね!?」
「知らん!!失せろ!!」
俺は城へと急ぎ謁見の間へと入る
王はヤレヤレと頭を抱えて「貴公は何者なのだ?シルバーファングまでも単独で捕らえるほどの実力・・・貴公は一体・・・」
俺は顔を上げて「特別な事はしてません、国王様、捕まえたのには理由があります」
国王は頷き「功績から考えて褒美は慎重に選びたい、何を申すのか?」
「ここに人間を別の姿へと変える魔術師が居ると聞きました、彼と面会、後に私の意向で解放してほしい」
王は驚いた「なぜ罪人を!?」
驚くのも無理もないだろう・・・俺は仕方なく国王に告げる俺の目的を
「私は、はるばる遠くからドラゴンになる又は、変身する力を手に入れたく、参りました。その魔術師が何か私の有益な情報を握っているのかもしれません」
国王は納得したがやはり俺を変な目で見る「か、変わった奴だな・・・貴公ほどの強さであれば、ドラゴンの力など不要に思える何故求める?」
俺は立ち上がり自信がある顔で「無論!カッコイイからです!!」
国王は間抜けな顔して王冠がずれ落ちる
しばらくの間時が止まり、そうすると後ろから大笑いする声が
「アッハハハハ、何この人面白い!!」
王が慌てて「こ、これ、客前で笑うなど失敬だぞ、アルミリア」
国王の後ろから金髪の髪をロールさせたいかにもお姫様な人が現れ
「主、名は何という?」
俺は戸惑いつつも
「タ、タクトです、姫」
姫は笑って「お前のような面白い奴が世界にあふれたら良いのにな、私の命で、魔術師の命は主に授けよう」
俺はお辞儀して「ありがとうございます、姫」
国王はヤレヤレという顔をしている
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俺は監獄へと降りていく、地下に行くにつれて、雰囲気が最悪になっていく
やはり、捕らえられた人の末路は厳しいものだろうな・・・
俺が案内される途中、あの宿屋の詐欺師ばあさんも居た、俺をジッと不気味に見つめている
俺はあざ笑うように鼻で笑い、通り過ぎる
衛兵に案内された牢はかなり奥で、鍵が開くと
「だ、誰・・・不思議なにおい・・・まるでこの世界の人じゃないみたい・・・」
若い声だ、魔術師というからには高齢かと思ったが
衛兵が少し健夫感がある声で
「お前の命はこの男に受け渡った、お前を生かすも殺すもこの男次第だ心得よ!」
ドアが完全に開くと、魔術師の女は、銀髪の髪が長い女の子で、髪はボロボロ、それ以上に心もボロボロそうだ。
かなりの美女に見える、監獄の姫様ってわけか・・・
俺は彼女の前で「俺はタクト、君は?」
「わ、私は・・・リリナ・・・」
俺は頷いて「リリア、少しだけ俺の問い答えてほしい、満足のいく答えが聞けたら君をここから出してあげられるかもしれない
リリアは顔を上げて「問って?」
「ドラゴンに変身する方法はないか?」
リリアはその小さい声で大笑いして「ブッ、アハハハ、本当不思議な人・・・きっと私のお祖母ちゃんなら何か知ってるわ」
俺は喜んだ、魔術師がすごいという人ならきっと確立も!!
「よし、今すぐここから出よう!!、衛兵!!鍵を頼む」
衛兵が俺に鍵を渡して俺は鍵を解錠すると
リリアは驚いていて「どうして助けてくれるの?私は・・・私は・・・罪人なのに・・・」
俺はリリアの顎を持ち上げて「俺にとって君は価値ある存在だからさ」
リリアは笑って「本当・・・不思議な人・・・」
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俺はリリアを連れてまずは仕立て屋で適当な服を買ってやる。女の子が着るにはやはり白が無難だろう
スカートとふつうの服だ。
「い、いいの?自由にしてもらって、それに・・・」
俺はリリアの口を人差し指で押さえて「いいんだ、ただし、君のそのお祖母ちゃんと合わせてもらうまでだ」
リリアはクスクス笑って「本当ドラゴンになりたいのね」
俺は頷いて「あぁ!」
リリアは悪そうな魔術師じゃない、普通の若い女の子じゃないか
俺は飯を奢るこの世界の飯はファンタジー世界なのになぜかイタリアンが多い、ピザとかパスタとか・・・俺は現実世界のミートソースに似たパスタをがっついて食べるとリリアもおいしそうにパスタを啜る
お腹いっぱいになるとリリアを俺は世界地図を見せた「この地図でどこに行けばお祖母ちゃんに会える?」
リリアは指さした所は別の大陸、俺は心の中で「うそぉん・・・」と嘆く
リリアは思い出すように「私の故郷は魔法の国、ファンタジア王国、森と自然が豊かな国だわ」
「なにその、そのまま通りの名前!?」
リリアクスクス笑って「ほんとなんの捻りも無い国よね、国民もそんな感じで気ままな人たちが多いわ」
でも別大陸へ行くとなると、この⚓マークの港へと行かないとダメそうだな・・・
ここの国から、山を越えて、川を越えて、後は森を抜け・・・想定でも100km近くありそうだなぁ・・・
俺は重いため息を吐いた後笑顔で「それじゃ、リリア!渡るために、資金稼ぎしようかっ!」
リリアが不思議そうに「っえ?っえ?」
こうして、俺のドラゴン化計画はどんどん遠くなっていくように感じたが、これからリリアとお店を開くと考えれば・・・少し遠回りしてもいいか
そんな気分になった
氏名:リリア
性別:女
種族:ハーフエルフ
年齢:???歳
武器:杖
魔法:ビーストファンタジア
詳細:タクトによってドラゴン化のためだけに開放された優しい魔法使い、どうして捕まったのかは、彼女も話したがらない、だがやがて語ってくれるだろう。彼女が使うビーストファンタジアは人間を魔獣や獣に変え戦う、魔術師。タクトの事を救ってくれた王子様のように思っている