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Morbid relations  作者: SATSUKI
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-1-

 「よう!」


 いつも通りに聞きなれた声が後ろからかけられる。振り向かずとも誰だか分かるが後々面倒なので振り返って返事をする。これまたいつも通り。

 高校2年ともなると変化のない日常に嫌気がさし、多少血気が盛んになる。鈴木 龍はそんな時期真っ只中の男子高校生である。


 「おはよう、悠。相変わらずだな。」

 「おう。何が相変わらずか分からんがお前も相変わらずだな。」


 そう言って肩を組んだその手でパシパシと叩いてくる。悠とは中学時代からの親友だ。

 また、そんな悠とこんな感じで他愛のない会話を繰り広げながら学校へ行くのもいつも通りの日常の内。


 「そうか?自分で言っておいてあれだけど何かあるか?」

 会話のネタとして話題をふってみる。実質、冗談とかノリで、とかだろうなとか考えながら2人ならんで学校へ向かう。

 

 「おう、あるぞ!例えばその毎回俺と会うときにかけるその『相変わらず』っていう言葉とかな。」



 …そんなに言ってたか。この頃退屈で仕方ないからな。そんな様子を察してか悠が苦笑する。


 「どうせすることがない、とか考えてんだろ。もう少し明るく生きようぜ~。お前は何でもできるんだから、その分楽しんでねぇと余裕がない奴等から妬まれるぞ。」

 遊びすぎるとそれまた反感を買うんだけどな、と言って悠は笑う。


 実際、悠は俺にはもったいない程良い奴である。初めの頃は周りから妬まれて良い扱いをあまり受けることがなかったが、悠は普通に接してくれた。周りとの接点を設けてくれたりして、現在クラスで俺は孤立せずにすんでいる。かといって、何か見返りを求めることもない。こんな発言をしてはいるが悠は要領も人柄も成績も良いし、運動もできる。

 俺と比較してのことか過小評価することが多いが、明るく気さくで話しやすい。何から何まで俺にはもったいない気がしてならない。


 そんなことを考えながら歩いていると学校へ着いた。クラスは3組で、悠と同じクラスである。


 「おっ!もう着いたか。早いな~」

 昇降口に着き、下駄箱を開けると10枚弱の封筒が入っていた。


 「あ~。これも相変わらず、だな。」

 そう言ってのぞきこんでくる悠。はぁ~、こりゃ凄ぇ、なんて言って封筒を1つずつ表裏見ている。これも俺たちのいう相変わらずであり、いつも通りの日常である。


 「ん?これは珍しくねぇか?」

 ただ今日は何かあったらしい。たくさんある内の1つを手渡して来る。

 教室へと向かいながらその封筒を受けとると、確かに他の封筒とは浮き足だったというか人並み外れたものであった。

 悠も興味があるらしく、開けてくれと催促がかかる。かくいう俺も非日常を求め、ドキドキという緊張感を味わっていた。




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