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花言葉シリーズ

ハナミズキの招待状

作者: 紅葉

こんにちは、紅桜です。

この小説は私が書かせていただきました。お楽しみいただければ、と思います。

「俺がこのクラスの担任だ。後から思い出していいクラスだったって思えるようなクラスにしたいと思ってるから協力してくれよ。…っと、忘れるとこだった。突然だが、1ヶ月後、つまり5月の初め頃に合唱祭がある。明日から練習始まるから、そのつもりで。」

「「…えぇぇぇぇえええ!!!」」


今日は入学式だった。全員が受験で入ってくるこの中学で、当然ながらほとんどの人が初対面である。入学からたった1ヶ月後の合唱祭、クラスで協力して競うことで一体感を生むのが目的だそうだが、一体全体誰が初対面だらけの人の中でクラスをまとめるのか。俺はそんなのは絶対にごめんだと思った。が、いた。俺が絶対に嫌だと思った、そんなの、をさも当たり前かのように引き受けた、このクラスにとってある意味天使とも言えるような人物が。クラス委員長決めの時に、堂々と1人手を上げた、ピアスを着けてるチャラいやつ。校則が緩いので問題はないが、つい1ヶ月前まで小学校に通っていたのに既にピアス空いてるとか、突っ込むところだと思う。ちなみに、俺の幼馴染である。


1ヶ月後。結論から言ってしまうと、優勝した。いつの間に身につけたのか、俺の幼馴染はいとも簡単にクラスをまとめ上げ、盛り上げた。そうしてクラス中がやたらとやる気に満ちた中での優勝だったものだから、皆狂喜乱舞である。かく言う俺も、かなりテンションが上がっていた中の1人なので、若干泣きそうになっていた。表彰が終わり、それぞれが帰った後、担任を含む、クラス委員長のあいつ以外の全員でメールが飛び交った。内容は、「委員長に感謝の気持ち込めてパーティをしよう。」である。担任もあっさりと認め、自分の受け持つ教科を2時間分、それにあててくれるらしい。メールはひっきりなしに飛び交い、どんどん、準備の係りが決まっていった。ちなみに俺は飾り付け係と、幼馴染であることから、当日ターゲットを誘導する役割である。


サプライズパーティ当日。俺は今日は昼ご飯を食堂で食べるから、一緒に来て欲しい、とあいつを連れ出した。わざとゆっくりと食べて、食べ終わってからもくだらない話を交わしながら引き留める。昼休みが終わる5分前くらいまで待って、声を掛けた。

「そろそろ教室帰るか。」


もうすぐ授業が始まるのに、帰ってきた教室の中には誰もいない。

「誰もいないね。」

疑問符を浮かべるあいつに、計画通りだと若干悪どい笑みを浮かべて、俺は教卓の上に置いてあった便箋を手渡した。

「お前宛だ。」

なんだろう、と呟きながら便箋の中から取り出した手紙には、可愛らしいハナミズキの模様と共に、昼休みが終わるまでに102教室へお越しください、などといったことが書いてあるはずだ。ちなみに昼休みが終わるまで、後3分弱。俺は、時計を見て焦りを浮かべたあいつの後ろから手紙を覗き込み、行こうぜ、と声をかけて教室を出た。


ガラリ、と音を立て、扉を開けたあいつに向かって、一斉にクラッカーが鳴らされた。

「「ありがとう、委員長!!」」

「…え。な、何?」

戸惑うあいつの背中を押して教室の真ん中へ連れて行く。

「委員長、本当にありがとう!」

「合唱祭燃えたおかげで友達出来たし!」

「すっげー、楽しかったし!」

「「ありがとう!!!」」

助けを求めるように俺をみたこいつに、俺はにやっと笑ってとどめを刺した。

「俺もお前のおかげで楽しかったぜ、サンキュ。っつーわけで、これからお前が主役の優勝パーティだ。楽しめよ。」


パーティも終わりの頃、肩を叩かれ振り向くとそこにいたのはパーティの主役だった。

「どうした?」

「いや、ちょっと聞きたいことがあって…。」

「聞きたいこと?何?」

「…部屋中にさ、ハナミズキが飾ってあるけど、なんで、ハナミズキだったのかなあって。近くにいた奴に聞いたら、それは飾り付けを決めたやつに聞けって。」

「なんでって、ちょうどハナミズキが咲く時期だからだけど。そっこら中に植わってるから、流石に俺だって知ってるし。」

わざとなんでもない事の様に軽く返す。

「そうだよね。お前が知ってるとは思ってな…」

「ま、ありがとうって伝えたかったのもあるけどな。」

なんだか若干失礼な台詞を遮って俺が付け足した言葉に、こいつの目は真ん丸に見開かれた。…失礼な。

お読みくださりありがとうございました。


ハナミズキの花言葉…返礼

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