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長くなりましたので2つに分けました。
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もうすぐ始まるはずの、私を正式に紹介するための晩餐会。
その控え室で私は夫となる人にあった。
たれ目が全体のバランスを残念にしてしまった、マッチョ・メン。
それがこの軍事大国の唯一の王子サマ。フィジョン殿下。
で、私は10日後にこの人と結婚することになっていて。
私が頭の中で走馬灯をグルグルめぐらしているのは、その結婚式と一緒に戴冠式をやると、この残念なイケメンマッチョ、略してザッチョ、がこんなところで言い出したから。
そして、戴冠式の話は、私、すなわち結婚相手であり、『ついでに王妃にならねえ?』と言うべき相手にはまったく知らされてなかった上、おそらく両親にも伝わっていないだろう。
ということは、この国は私を、私の祖国をないがしろにする、と宣言しているようなもの。
しかし、面と向かってこの王子を叱責するわけにはいかない。
ここで諍いなど起こせばそれこそ外交問題になる。
たとえそれが義憤によるものだといえども、だ。
私はゆっくりと手に持ったティーカップをソーサーにもどす。
ここでどう対処するかによって私の評価もアルシェスの評価も決まってしまうかもしれない。
なんか、もしかして試されてる?私?
この国に入った時点で私は、良くも悪くも『殿下のヨメ』であり、この国に属するものともなる。つまり、面と向かって王位継承者を叱責することは不敬罪で処分されても文句はいえないのだ。
もしこれで近くの警護の兵士などに当り散らせば、祖国の評判を落としかねない。
私が直に叱責しても大丈夫なほどの高位の者。
そこに、いるじゃない。
私は内心ほくそえんだ。
バシン!
私は怒りを込めて手にした扇で椅子の肘掛をたたいた。
その音に部屋にいる全員の目が集まる。
ターゲットも。
私は押さえに抑えた怒りを声にした。
ちょっとまがってしまった扇を少しだけ広げて口に当てると、ターゲットとなった男をにらみつけてゆっくりと口を開いた。
「クラクスー大臣。これはどういうことです?
このような大事を私を迎えにいらっしゃるとき一言もおっしゃいませんでしたわよね?
確かにアルシェスは小国ですが、このようにないがしろにされるとはおもいもよりませんでしたわ。」
私はクラクスーをしかりながら扇で片目でチラリと王子を見やった。
王子は私の言うことを聞いてはいるが、その表情に変化はまったく見られない。
つまりこれは、アルシェスを属国とみなして格下の扱いをしていると王子自身がいっているようなものなのだ。
焦るとか、取り繕うとかそういう行動は一切ない。
それどころか何で私が怒るのかわからないというかのようにこっちをみてきた。
この人、何考えているのかしら。
でも、ここは抗議しないと外交ならば対等が基本。
対等に扱う必要もないという、意思表示なのだとしたら。
ここは怒りを見せておかないと、でもキーキー怒っても大人気ないし。
そうだ嫌味よ!嫌味かましてやるわ!!
クラクスー大臣が言い訳をしようと口を開きかけた途端。
第二の爆弾が王子様から投下されることを私たちはしらなかった。
どれだけ、王子視点なしで行けるか。
変な意地になってきています。