表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/32

1-4

マジマジ顔をみていたら

王子様がびっくり発言を。

SNDMどころか急展開?

さて、いよいよ御対面とあいなりまして。

引き続いてのお披露目の晩餐会の前です。

王子様・クラクスー大臣・私は控えの間でお互いの顔をマジマジと見る機会をえました。

まあ初対面ってことですね。

王子様も露骨な嫌悪をこちらに示してきませんし、及第点はいただけたのではないでしょうか?

たぶん、ですけど。

私からみましても。王子様は優しそうだし、それなりに教養ありそうだし、顔も背けたくなるほどブサイクじゃないし、触ると脂がしみだしてきそうなおデブでもないし。で良かったと思うほどほっとしているわけですが。


王子様的にはどうなんでしょうか?

やっぱり妖艶な女優さんとか見なれてると、私なんかお子ちゃまですよねー。

わかってますよ。でも、まだ15ですから!

頑張れば好みに育つかもよ!

あ、でもウチの両親考えるとちょっと、いやだいーぶ頑張らないとだめかなー、とは思うけどね。


なんか、どうして黙っているのよ。

心にもないお世辞の一つや二つかまさないと、外交的にもやばいんじゃありません?王子様。


まだ晩餐までは時間がありそうです。

できれば一度座って休みたいのですが、王子様。

いつまで人の手握って立っているつもりですか?

私、そんなに体力自慢にみえますか?


そんな気持ちを込めて王子様の眼を見つめてみた。


人の顔みて、動かない王子様。


「あの。出来ればお時間まで少し休みたいのですが」

動かないならばしかたない、私が小声でそう告げる。

ここは少し体力ないアッピールしとかないと。

この国では女子も適性があれば騎士団に入れるほど、女性の体力がある国らしいし。

そんな体力は私ないし。

そういう気遣いができないのかなー。と思った。


「・・・ああ、気がつかなくて申し訳ない」

そう言って私の手を引いて二人掛けの椅子に連れて行ってくれる。

ああ、よかったやっと座れる。

ふわふわのスカートを二人掛けの椅子一杯に広げて座ろうとした時に、すっとメイドが寄ってきてお茶や軽いお酒などを視線で勧める。

「お茶をお願いできますか」

わたしは会話が進まない時のためにお茶をお願いした。


向かいの一人掛けに王子様がおかけになるものと思っていたのに、王子様がスカートかきわけて隣に座ろうとする。

あれれ?

何考えてるの。公式ドレスの時は向かいに座ってもらわないと。

それに気がつけばまだ手、預けたままじゃん。

スカートを整え王子様の座る場所を確保しなくちゃ。

手を取り戻して私はドレスを抑える。まったく。手間かかるわね。下手に上に座られたら、しわになっちゃうわ。


ドレスを整えようとすると、アンナがすっと寄ってきてドレスを押さえてくれた。

目でお礼をいう。


隣に座った王子様は盛装である軍服にたくさんのモールと勲章をつけていた。

そしてふわふわのドレスの一番上、クモの巣みたいに薄いシフォンをつまんでいた。

ああ、なるほど、ドレスの生地が不思議だったってわけですね。

そりゃ、これウチの最新技術のたまものですもの。まだ門外不出ですしね。

珍しくもあるでしょうねえ。


「姫。一段とお美しい」

(ドレスが)という言葉が透けて見える台詞。

まあ社交辞令の決まり文句ですわね。でもここはちょっと頬を染めて、お礼を申し上げないと。

「・・・まあ、ありがとうございます。王子も素敵です」


・・よし、うまく行ったわね。

しっかし、この王子声も低くて20に見えないくらい大人びてるな。

5歳差で今年20歳ってことは中兄さまより2個年下なんだよねえ。

中兄さまよりずっとフケ・・いや大人びて見える。

声が低いから背中にゾクっとくるわ。

私幼くみえるらしいから、下手すれば夫婦どころか年の離れた兄弟ポジかなあ。

王子様は先の王子妃さまを、出産時に失くされてるから、その不幸がフケて・・・いやいや年上に見せてるのかもしれない。


私と並ぶとやばいよなあ5歳どころじゃない差に見えるような。

もう少し大人っぽいドレスにすればよかったかなあ。

でも新作のシフォン生地の発表の場でもあるし、ふわふわドレス以外の選択肢なかったし。

まあ、ここは開き直るか。

まだ、私15だしー。

中兄さまを基準に衣装考えてきちゃったしなー。

まさかこんなに老け・・ゲフン・・大人っぽい方だとは思わなかったわ。


「姫、遠路よくいらしてくださった。

仲良くやって行きたいと思うのでよろしく頼む。」

隣でワインのグラスを傾けながらそう王子がいった。


「はい、お心にかなうよう努力します」

お茶のカップを持ち上げながらそういった。


「姫、貴方に伝えなくてはならないことがあるのだが」

そこで言いにくそうに言葉を切る。

な、なんかあるのかしら。やっぱ子供過ぎて無理だから帰れ、とか?

私はすこしびくびくしながら少し身体の向きを変えて王子様のほうを向いた。

その視線を受け止めて王子様がゆっくりと話しだす。


「姫も御存じのことかと思うが、国王陛下の身体の具合があまりよろしくない。

今日の晩餐会にも出席されない」


まあ、お倒れになった言うことは正式に発表されているので聞いている。

正式な晩餐にも出てこれないほどお悪いとは聞いていなかった。

「お大事に、結婚式の前にお見舞いにおうかがいしたいのですが」

私はそうするようにとお父様お母様にも言われてきてるし、お見舞いは娘になる身としては当たり前だろう。


「いやそれには及ばない。離宮で静養なさっているし。

結婚式には出席されると言ってきているのでその時にお逢いできるだろう」

そこで王子の話は切れた。

ふむ、見舞いは不要と伝えたかったのか。


「父は、いや国王陛下は、私たちの結婚式を機に退位して私に位を譲りたいと言ってきてる」

そこで一旦話が切れた。何返事すればいいのよ。

「・・・・はあ、国王となられるってことですよね。おめでとうございます。」

気の抜けた返事が口から洩れる。


「貴方との結婚式と同時に戴冠式になるので、そのつもりでいてほしい」

戴冠式かまだ見たことないなあ。カッコいいだろうなあ。近くで見られるのは幸せかも。

と思ったところで気がついた。

「あれ?・・・ということは、私はどうなるのでしょう」

まさか、まさかですが。女優サマを王妃ポジにつけるので、脇で見ていろとか?


「結婚式のあと続いて戴冠式をする。ということで・・・あなたは王妃となってほしい。」

うわー。どうしよう。そんな立派なドレスもってきたっけ?

すごい話を聞かされた時、一番最初の私の頭に浮かんだのはそんな疑問だった。

ウエディングはもってきたけどウエディングのままで戴冠式ですか?

それはちょっとやだなあ。

あ、それともコチラ伝統の王妃用ドレスとかあるのかな?


もう少し早くそういうことは言ってよ!王子様!!

女の支度には時間がかかるんです!


私のドレスを直していたアンナが硬直している。

ってことは外交ルートでもそんな打診は一切なかったってことかよ。

無謀にもほどがあるよ。


持ちあげたままのカップに口をつけていないくらいなみなみと入ったお茶をこぼさなかったのは奇跡だったと思う。


だって、結婚式は10日後なんだよ。

どうしろと?





昔のドレスは手織物。

10日で戴冠式にふさわしいドレスを作り上げるのは無理だろう。

王子様は軍服のままだからいいけどナー。


王子、オンナゴコロとか国威とか少し考えてあげてね。

武を重んじると言ってもちょっと連絡不足だと思います。


さて、姫はどうする?

実家との距離は飛ばしても陸路3日+川の水路2日ほどかかります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ