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ようやくお互いの顔をあわせることに。

王子様の外見やいかに!


いよいよ王子様の麗しい御尊顔と御対面だわね。


先ほどの初対面では失敗してしまったみたいだし、今度はおとなしくお姫様をしなくちゃね。

あまり「裏のある会話なんか出来ません~。」なんて振りしてるとバカのレッテルが貼られちゃう。

それは国元のお父様お母様お兄様に申し訳が立ちませんもの。

ワタクシはこう見えても、王女なんですから。

その辺のウィットの効いた会話も出来なくては、恥ですわ。


「姫様。いただいた腕環に合わせて、今日は淡い黄色のドレスにいたしましょう。」

アンナがそう言って荷ほどきしたばかりのドレス達から、春の霞のような黄色のドレスを出してきた。


「そうね、きっとお気に入りの女優様は悩殺ドレスでしょうから、私は清楚や初々しさを前面に押し出していくしかないですし。

どうせ色気皆無のお子様ですし。」

そう言って年よりもさらに幼く見えるようなふわふわドレスに手を通した。


まだ正式に婚儀前なので、使用人も侍女も国元から連れて着た者たちが世話をしてくれている。

婚約期間のうちにこちらの国のしかるべき身分の方に侍女となっていただけるのだろう。

それまでは気楽な会話もそこそこ楽しめる。


ま、壁の裏には様子をうかがっているモノの気配もしますけど。

それはまあ、お約束ってもんで気にもしません。


だって王子様に愛人サマがいらっしゃるのは周知の事実ですし。

それを承知で私もこの国にきましたし。

まだ私は15の小娘ですし。

発育もこの国の方に比べればわ・・っわるい・・し。

どうせ胸小さいし・・・・。

まだ15だもん。母様位は大きくなる・・は・・ず・・だもん!

くそー。王子様の女の好みが巨乳なのは知ってるけど、まだ育たないものは仕方ないじゃないか。


いただいた腕環は、銀色。そこにはめ込まれたのは金色のスデライト。

金のスデライトは身につけている者の魔力に反応して輝く石だからね。

こっちのチカラを見極めたいって思惑もあるんだろうね。

ほどほどに光るようにこちらの魔力も調節しておいて。


さて、愛しの未来の旦那様と楽しくご飯を食べにいくとしますか。

少しは休みたいけれど、謁見から晩餐までの身支度に与えられた時間は休憩時間はとれないほどみじかいのよね。

やっぱり、大国とはいえ、武で鳴らした国はそういうところに時間を取らないのかしら。


そういう細かい作法も早く身につけなくちゃね。

やれやれ、国を背負って嫁に来るこの身は、上げ足とられ、批判の眼にさらされるの覚悟で臨まなくちゃあっという間に宮廷の暗部に取り込まれてしまうもの。

そんなことも教えずに他国に嫁にやる国があるもんなら見てみたいわ。


それでも、さらりとこちらの方が文化レベルは上なのよ。

という余裕も厭味にならない程度漂わせる。

なんて綱渡りもしていますが。


晩餐会の行われる大広間までゆっくりとしずしずと進む。

今私の手を引いてくださっているのは、クラクスー大臣。

すっかり私の保護者みたいになってしまって、なんだか申し訳ない。

本来ならウチの国の政治家も同行してなくてはならないんですが。

同行したのはこちらの宮廷に上がる資格のない、騎士隊長だから。

大広間まで私をエスコートできないんだよねえ。

ウチの大臣に手をひかれるより、こちらの有力者に手をひかれたほうが、

小国の姫ときつい目を向けてくるお嬢様方への牽制にもなりますしね。


しずしずと進む長い廊下には、ガラス窓と鏡が張られている。

すっかり日の暮れた廊下にこれでもか!と並んでいるろうそくの光を最大限に明るく見せる効果を狙ってのものだ。

夜だとしても薄暗い晩餐会なんてありえませんもの。王宮で。

その分火事が怖いが、その始末もまた王宮のプライドってものです。


ろうそくの炎に黄色のドレスにつけられた宝石がきらきらと輝く。

こちらではあまり紡績が発達してないので、フワフワのシフォンは珍しいのだ。

このシフォン生地も実は他国には言えないルートで出来上がったいわくつきの生地だし。

技術と文化を見せつける一品となっております。

私のドレスはそのシフォンをこれでもかー!と重ねてる。

そのシフォンに宝石を縫い付けているのでふわふわのきらきら。

ちょっと、いい気分になるドレスに仕上がっている。


私が通り過ぎる廊下の端にはドレスに見とれるこちらの御令嬢たちがいるし。

顔は残念な平凡だけど、ドレスは気合入ってましてよ!


まだ誰にも紹介されていないので、眼の端に入る御令嬢たちは私にとっていないも同然。

王子様に紹介された時に初めて意味を持つ存在になる。


私の今の扱いは、賓客であり、王子の婚約者(非公式)ですから。

向こうも意地悪することはできない。

この扱いが終わるのはこの晩餐会。

王子が私の手を取って紹介して周り終わったあとになる。

その短い間に私は、私の立ち位置を見極めなくてはならないのだ。


色っぽいねーちゃんたちの隠れ蓑として過ごさなくてはならないのか。

きちんと未来の王妃として扱われることができるのか。


アンナが言うには、今後宮には私しかいないそうだけれど、婚儀前にさすがに女を引っ張りこむのはと遠慮していることも考えられるしね。少し様子を見なくては。


私はクラクス―大臣に手を引かれて広間の前まできた。


ここで初めて王子様に引き渡される。

すっと隣に立った王子様。ちらりと横目でみるとヒールを履いた私の眼が王子様の首。

うん。いいバランスじゃない? このヒールにしてよかった。


そしてゆっくりと視線をあげる。


どうか平均程度でありますように。

隣に並ぶのがつらいような美形でも、もう一度見るのも嫌なほどのブサイクでもありませんように。


少し日に焼けた顔。

椿の葉のような暗めの緑の眼。

そして先ほどもきがついた、きらきらの金の髪。

こうやって色の配置はいいのに。


残念なことにおめめが。

捨てられた子犬チックに垂れ目さん・・・。

せめて切れ長だったら超イケメンだったのになあ。

釣り目さんだとこわくて近寄れない感じになっちゃうよなあ。

それ考えると、このくらいの垂れ目が愛嬌あって可愛いかも。


これだけ鍛えられたムキムキマッチョじゃなかったらな!

武を尊ぶ国柄でなよなよ優男王子は無理だとしてもせめて細マッチョくらいで止めておけば、バランスもよかったのに。


・・・・っち。ちょっと残念なイケメンか。モテモテのはずだわ。

こんなちんちくりんを嫁にもらう羽目になってごめんね。

やっぱ、ボーン・キュッツ・バイーンの女優さんのほうがこの王子様には似合うわ。

って言いたくなった。


これが私の旦那様か。


私の視線に気がついたのか、王子と視線が合う。


私はふんわりと微笑んで見せた。


これからよろしくね。と言わんばかりに。

妻にはなれそうにもないけど、共犯位にはなれるし、友達になれたらいいとおもってる。

そんな気持ちを込めて。




王子様の外見です。姫様的には75点とか思ってます。

まだ口に出してませんが。

姫様を見た王子様の評価はそのうちに。

ようやく「指先での手つなぎ」までこぎつけました。

でも手袋ごしだし、義務と儀礼ですから。

・・・・ノーカン・・ですよね?

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