2-5
長いのを分割したため
ちょっと短めになってしまいました。
そして5月になってたー!il||li (つω-`*)il||li
毎日更新できる人ってすごいなあ。
2ー5
「姫様」
「気持ち悪いよ、アンナ」
体中に鳥肌が立っていて、おさまらない。
なんかもう、どうしていいかわからない。
一枚皮をむいてしまいたいくらいおぞましい感覚が消えない。
「解りました、すぐにお風呂のお支度をしますね。
それまでこちらをお使いください。」
そう言ってアンナがエリンに渡したのは、手のひらサイズの手拭きだった。
「コレでお拭きしますね。お召し物もおとりかえしましょう。」
私はとにかく気分を変えたくて、エリンのなすがままになっていた。
エリンは優しく丁寧に私の身体を拭っていく。
そうやってなだめるようにされていると、先ほどまで毛羽立っていた神経が落ち着いてくる。
「姫様、お風呂の用意ができました」
手拭きであらかた拭ってもらったせいか、気色悪さはかなり減っていた。
それでもやはりさっぱりしたい。
エリンとアンナに身体をお風呂の中で清めてもらう。
チャプチャプと水音だけがバスルームに広がっては消えていく。
その規則的な音に、どんどん自分が安らいで行くのを感じる。
余計な力がお湯に溶けていく感じがする。
どんどん自分がいつもの自分に戻っていく感じ。
ふっ。
私は小さくため息をもらして、ようやくアンナとエレンの顔をみることができた。
「姫様、もうお伺いしてもだいじょうぶですか?」
そんな様子を見て、アンナがそっと聞いてきた。
うん、だいぶ落ち着いてきたし、大丈夫。
自分にそう言い聞かせる。
「大丈夫、だと、おもう」
自信はまだないけれど、自分はだいぶ平常に戻ってきているのが解る。
「おつらいかもしれませんが、お聞かせくださいませ」
アンナがそう言って私の背中をスポンジで流す。
「つらくはない、と思う。とにかく等身大のナガルと会話したという感じなのよ。」
そう言ってふっと笑う。
あの詐欺師は姿形は人間をしていたけれど、内面は人とはほど遠い感じがした。それは魅了を私にかけ損ねたところですぐ解った。
「そ、それは・・・」
アンナが私の返事を聞いてスポンジを取りそこねた。
「ちょっと・・いやだいぶイヤですね。」
そして考え込むようにしたあげく、身震いしながらそう言った。
「でしょう?」
私はその様子にクスクスと笑いながらそう相槌をうった。
「我慢はしたのよ、コレでも。
でもね、触られた時にもう無理だった。
大騒ぎして申し訳なかったわ。」
思い出し笑いをしながらそう付け加える。
大丈夫、もう笑い話にできている。
でも、本当に気持ち悪かったのよ。
理屈じゃないところでもうダメだったんだもの。仕方ないじゃない。
「仕方ないですね。そんな事情じゃ。
あ、もう上がられますか?」
「ええ、もう上がるわ。なんかすごいさっぱりした気がする。」
私は心から笑えた、気がした。
「それはようございました。じゃあお着替えをなさったあと、皆に説明をお願いしますね、姫様」
アンナがそう言ってタオルを広げた。
「解ったわ。とにかくこれだけイヤな目にあったけど、いろいろ収穫はあったから。
兄様とケイブ・カリヤもできれば呼んでくれるかしら?
きっちり落とし前つけられるだけの情報を図らずももらえたと思うわ。」
身体から丁寧に水気がふき取られていく。
「本当ですか? それはよかった。」
真新しい、ふかふかのバスローブが着せ掛けられる。
「そうだ、アンナ。さっき思ったのだけど、あの詐欺師のことを呼ぶときに、アレ、とかあの詐欺師とかいってたじゃない?」
「ええ、そうですわね、本名もその時はわかってませんでしたし」
「いっそのこと、『ナガル』って呼んでしまおうかと思うのだけど。
どうかしら?」
「いい考えかもしれませんね、どっちも見るのもイヤですし」
「でしょう?」
「では決まりですね、全員が集まったら、それ、提案してみましょうね、姫様」
あれだけイヤな思いをしたけど、その分いろいろ情報を手に入れることができたのはよかったかしら。
全く、あの程度の魔法でいままでよくやってこれたものだわ。
まあ、この国の魔法レベルは、神王から見放されてきた分遅れているし。
仕方ないって言えば仕方ないけど。
実家がだまされていたのはどうしてなのかしら?
とにかく、しっぽはつかんだわ。
どこにも行き場所がないほど追いつめてやるわよ。
リリコの苦しみ思い知るがいいわ。
未だにリリコが人間不信気味で人前に出たがらないのはナガルのせいなんだから!
詐欺師一味=ナガル(ゴキブリ)呼び決定。
姫さま・アンナは虫類が嫌いです。
お風呂シーンはシズカちゃんよりお銀イメージ(ナンダソレ