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2-2

またも長くなりました。

できれば1話10kb位に収めたいんですが。

今回は13kbです・・すいません。(土下座)


3月の更新は今日が最後になります。

四月もできれば週一更新を目指したいです。

毎日更新してる人ってすごいなあ。

2ー2


もしかしなくても、ここの王族は王族の自覚がないのかしら?

それとも、そもそも王族の心構えという考え方自体がないのかも。


そんな想いがわき上がってきた。


王族で有るということは、良くも悪くも国を代表する存在であり続けなくてはならない。

それは政治軍事についての主導権、決定権という重大な決定を下すという決定権という最低限の代表権は言うまでもない。

その上に毎日の生活や立ち居振る舞いにおいても生きている間はそれがついて回る、それが王家に生まれたモノの宿命であり義務でもある。

常に上に立つものでなくてはいけないのだ。

 アルシェスにおいての教育方針はまさにそれを徹底的にたたき込む、ということだった。苦手なものでも平均レベルまではできること。その上、得意なモノは右にでるものがいないほど極めること。

それが王族としての教育だった。

 大兄様は広くまんべんなくすべてに通じている、が大兄様の得意は実は横笛である。その辺の楽師では到底かなわないし、音の外れも見逃さない絶対音感の持ち主だ。

 中兄様は少し身体が弱いので、剣術は程々しかできない、その分古今東西あらゆる法を学び、極めた。神国の裁判官が意見を求めに来たことも有るくらいだし。

 小兄様は身軽で剣術をよくこなす。その上、口がうまく社交家であるので、宮廷の噂話から一兵卒の恋愛相談までこなす、情報通である。まあ端からみてると、ただの脳天気にみえるんですけどね。

 姉様はそりゃもう超絶美形のナイスバディですからね、一見おバカにみえるのです。ええ、「巨乳に天才はいない」っていう格言通りにみえます。ええ、一見ね。天然に見せかけた精神攻撃はもう心底理解している、妹の私にだって、ダメージが大きいですから。きっとなにも知らない人が受けたら、一ヶ月くらい立ち直れないかもしれません。

姉様に振られて、そのまま神官(結婚できない)になった方が入るとかいないとか。

 私は上の4人みたいな華々しい特技なんかありませんから、一通りマナーなんかを身につけていたときに、ふと、世界各国のマナー全部身につけたら面白そう。なんておもっちゃっただけで。そのためにいろんな文献を読みあさりました。で、なんかいつの間にか「典礼の姫」なんて呼ばれてしまいました。まあ容姿で褒められないから立ち居振る舞いを褒めるしかなかったんでしょうね、周りの方々も。


まあ、そんなこんな小国のアルシェスでも、一般国民よりもよい生活をさせて貰っている以上、その分の働きを期待されていることであり、その国民の願いに答える義務を生まれながらにして負っている、ってことが身にしみているわけです。ほら、国の民のみなさまも、「うちの王族はこんなすごいんだぜ!」なんて、他国から旅人に自慢したいでしょ?それくらいのお返しはいたしませんと。王侯貴族は皆様の血税で生活できているのですしね。この国にはそういう貴族的義務ノブレス・オブリージュはまだ根付いていないんだ。


まあ、考えてみれば旧フェルナータの版図をほぼ手中に入れたのはつい、20年前。

現王の度重なる戦とその後の統治のうまさという功績による力による支配、それじゃあ、礼節なんてかまってられないはず。


これ以上の侵攻や侵略は周辺各国が内政外交ともに特に問題がない分、無駄に血を流すことにもなる。

神国もこれ以上の侵攻はバランスを崩しかねない、として介入する姿勢を見せているという。

それに気が付いた現王は侵略による発展から内政を充実する方にようやく舵を切ったところで、病にかかったと聞いている。


つまり、現王の判断がまだ十分に行き渡らないうちに世代交代をしようとしているのだ。

そこで、政治制度が周辺国では一番安定しているアルシェスのヨメを貰うことにした。

周辺の大国からのヨメでは、逆に政治介入を受けるおそれもあるし。

アルシェスとしては、せっかく安定してきた北の国境が不安定になって交易に影響が出ることを望まないし、政治的軍事的にもタンジールに積極的介入するメリットがない。

正直いって、これ以上混乱する方がめんどくさい。

早く安定してくれないか、というのが周辺各国の見解なのだ。

しかし、いままで武力だけの小国よ、杜もない非公認国よと下にみていた国に王女をヨメにくれてやるほどのメリットもない。

周辺各国としては、安定をもたらす「お守り」と言われるアルシェスのヨメでも貰ってくれればいい、と思っていたようである。


つまり現王は「ヨメもらうならアルシェスから」を実行したのだろう。

国内の安定を選んだ、ということなんだろう。

その国王の意志をどれだけの人が私がヨメに来たことで気が付いている人がいるんだろう。

 ザッチョはそれを気づけているのだろうか?

 もしかして、アルシェスの典礼官の先行派遣を拒んだのがザッチョだとしたら、この国はまた戦乱へと舵を戻してしまう方向に行ってしまうのだろうか。

 幻のフェルナータ第二王朝時代(クーシェル王の春)のように。


アルシェスとしても、北の大国がまた内乱期に突入してしまうことは望んでいない。

それをくい止めるのも私の役目になるのだろう。

ザッチョの意志を確認することから始めなくてはならないのだ。

果たして戦乱をやめて国内安定を望んでいるのかどうか。


「そこから、か」


私は長い沈黙の後、思わず頭を抱えたまま立ち尽くしている宰相閣下につぶやいていた。


「は?」


宰相閣下が私のつぶやきに顔を上げる。


「私が間違っておりましたわ。宰相殿。

この国はまだ王国の体をなしておりませんもの。

私がこの国でやるべきことは、なんとかこの国のこの国らしい形を作ることですのね。


他国で当たり前の礼儀をこの国の人々に教えることが私の務めですのね。

周辺各国に恥をかかせず、かかさず、という最低ラインの礼儀を仕込むことからしなくてはいけないのが私の、典礼の姫としてのここでの役目ですのね。


私が勘違いしておりましたわ。本当に失礼いたしました。最低限の他国へ礼儀をわきまえている人の中に嫁ぐのではなく、まともに見えるように教育することが役割でしたのね。

それならそうとはじめに言っていただかなくちゃいけませんわ。

アルシェスから初歩のマナーブックをもって参りましたのに。」


私は頭をフル回転させていろいろと思考する。

2年前のお姉さまの結婚式の際、外国使節を迎えたときに町の子供たちに礼儀を教えた時位のレベルから仕込めばいいのね。


「あの、アーシェラーナ姫?」


「ああ、いけませんわ。その場合は、アルシェス王女殿下、と呼びかけるものです。

また基本的に位が下のモノから上のモノに話しかけることは大変な不作法になります。こちらの発した言葉に対する返事は簡潔にその事項のみを伝えなさい。質問をするときは、質問事項が解るように簡潔に。また「伺ってもよろしいでしょうか」と許可を得てから質問なさいな」


「はあ。

「あ、失礼いたしました。アルシェス王女殿下。」

宰相があわてたように、居住まいを正す。


「それから、宰相殿。あなたまだ自己紹介をしていただいてませんわ。

そのような人にからの問いかけは基本無視になります。


初対面ではまず家名や所属などを名乗るものですわ。

外国から来た人には、あなたが誰かなんて解るはずもないですもの。

そんなに有名人ではありませんでしょ?」


「はあ、申し訳有りません。王女殿下。」


「だめですよ、この国にはかわいらしい王女殿下がいらっしゃるのでしょう?私のことはアルシェス国王女殿下と」


私はこうやって宰相閣下が私にする自己紹介に一々のチェックを入れながらその言葉使いら所作までの指導をその場で続けた。


「はあ、アルシェス国王女殿下。大変失礼をいたしました。

拙官は、この国で宰相位を拝命しております、アルマンド・メランともうします。公爵位についております。以後お見知り置きくださいませ。」


「よくできました。宰相閣下。こちらこそよろしくお願いいたします。

本当は、私を呼んだあとに、少し私をほめるような言葉を入れれば完璧ですけれども、そこまでは武でならしたこの国には似合いませんし。

今度から、諸外国の王室関係者にはそのようにご挨拶してください。」


ここまでいえるようになるまで、7コニかかったわよ。

立ちっぱなしで。何回ダメだししたことやら。

ふう、コレで文官の長だということは、下はおってしるべし、ってやつね。武官に至ってはどれくらいのレベルなんだろう。

まさか、アルシェスの孤児院レベルよりは上よね?

でも王都の孤児院の子供たちはものすごく可愛くご挨拶できた、のよねえ。

あの時のみんなのかわいらしい姿を思い出して思わずほほを緩めた。


気が付くと、私たちの周囲には侍女や下官などが遠巻きに私たちを見つめていた。

私はその視線にきがつくと、にっこりとほほえんだ。

「皆様もマナー、結婚式までに身につけていただきますわよ」

と付け加えて。

「下官の恥は王家の恥。ひいては新しいこの国の大きな失策ともなりますわ。」

そう聞こえるようにはっきりと言い渡す。

その声が聞こえた人たちの中には少し背筋を伸ばすものがいる。

大丈夫、こういう人がいるならまだこの国は捨てたもんじゃない。


そして宰相閣下に向き直る。

さすがの私も疲れた。座りたい。というか、朝食もまだなんですが。


そして目の前でちょっと疲れて陰がでている宰相閣下に目でエスコートを促す。


・・・・・・反応がない、ただの屍のyrd・・・

ではなくて、ここも教えなくちゃいけないのか。

隣にいる神王猊下をみると、脇を向いて肩を揺らして笑いを必死にこらえている。

ちょっと、リック。笑ってないで少しは助けてよ。

リックの手助けも期待できないとすれば、自分でやらなくてはいけないのか。やれやれ。私は内心ため息をついて口を開いた。


「メラン公爵殿。いつまで私はこのような廊下で立っていなくてはいけないでしょうか?」


遠回しにそろそろメシくわせろやー、って言ってみた。


「あ、はい。ではこちらに」

そう言って、くるっと背中を向けた。


「お待ちを」

私は、ため息ともに宰相閣下を呼び止めた。そしてまたエスコートや先導の仕方をまた一々最初から教えることになったのだった。

もちろんアルシェス風ではなく、旧フェルナータ風に少し軍人ぽいアレンジを加えたモノを教えている。

そしてどんどん即席礼儀教室は廊下で続けられ、噂を聞いてあつまってきた官・侍女の数も増えていったのである。


「こんなもんでしょうか」

ようやくエスコートの仕方を宰相殿にたたき込む。

やっと朝食だわ。ふう。


歩きだそうとしたその先、廊下の端で膝を折っていた、女性がすっと前に立ちふさがった。

リックがその女性を剣で制止にかかる。


「あ、あのっ。わ、わたくしっ、女官のエンフォーリ子爵の娘でディーともうします。」

そう言って私の横でガバッと言う感じで最敬礼をとる。

優雅ではないが、しっかりと先ほどの宰相と私の会話を聞いていたようなぎこちなさはあるが、誠実にこなしていた。

私はリックを制して足を止めた。

そして、彼女の言葉を待つ。

「アルシェス王女殿下。お願いがあるのですが。」


「無礼者。」

私が許可しないのに話を続けようとするその女官との間にリックが身体を入れる。


「リック。よいのです。発言を許可します。言ってみなさい」

私はそのリックの身体に手をかけて制止する。


「はっ」

リックは剣を納めたが、柄に手をおいたまま、一歩横にずれた。


「あ、あのっ。結婚式までに一通りのマナーを覚えたいです。

是非、お時間をいただけませんか。

姫直々でなくてかまいません、侍女の方からでも。

お忙しいのは承知してます。一日2コニでも、いえ、1コニでもかまいません。お願いします。」

そう一気にまくし立てると、膝をついて私を見上げてきた。

その真剣な眼差しに、私は内心ほくそ笑んだ。

「コレで、いける」そう思ったのである。


「私は、厳しいですわよ」

私は手に持った扇をその彼女の顔の前にビシッとさしだしながら厳しくそう言った。


「宰相のみてて、そう思いました」

一瞬あっけにとられたように扇と私の顔を見比べるその女官は、

少しほほえみながらそう言った。


「いいえ、その言葉使いはちがうわね。『閣下の様子を見ておりました』っていうほうがいいわね。自分の感想をつけ加えるのは私にも宰相閣下にも大変失礼です。目上の失敗をその場で指摘するものではありません」

そういうと、彼女に微笑みかけた。


「あ、あのっ」

マナー教室の開催についての返事がどうなったのかきになるのか、

どう聞いていいのか解らず、口ごもる彼女に私は婉然とほほえんだ。


「マナー教室はわたくしの方からもお願いしたかったの。

ただし、希望者のみで行いましょう。やる気のない人に教えるのは時間の無駄ですし。皆の仕事が終わるのは何時かしら?エンフォーリ子爵令嬢。」


「だいたい暗黒時位です」

私の問いに彼女はそう簡潔に答えた。


「じゃあ、その時間から私の晩餐室でやりましょう」

国賓クラスの部屋には、個人的に晩餐を開くことができるくらいの部屋がついている。そこの調度を片づければ、まあ10人程度は入れるだろう。


「いいんですか?」


「よろしいのでしょうか?、よ。もしくは素直に、光栄でございます。かしら?」

面食らっている彼女にさらに続けた。

「そのかわりこんなモノではなく、厳しいわよ。」


そこまで言うと、呆気にとられている宰相閣下に向き直る。

「宰相閣下。このことを城内に告知してください。

毎日暗黒時から4コニ、マナー教室を開く、と。」


「は、承りました。アルシェス王女殿下」

そういって礼をとる宰相閣下の所作は先ほどまでとは打って変わってかなりの優雅さを身につけてる。

くそう、さすが武人はこつをつかむとうまいな。

この美中年め。

 ふと、気が付くと、廊下においてある時計は次の予定までほとんど時間がないことを指し示している。

「さて、もう時間ね。私は部屋に戻ります。次の予定をこなさなくてはね。」

頭を下げている宰相にそう告げて、リックが差し出している腕に腕を預ける。


「お待ちください、式典の打ち合わせは」

焦った宰相が私の背中に声をかける。

でもねえ、王族は忙しいのよ。

王宮にこれだけたくさんの時計がおいてあるのは、飾りじゃないの。

王族の生活を時間管理するためなのよ。

まあ、時計は高いから、見栄をはって、っていうのもあるけれど。

「もう時間がありませんね、リック今日は何時があいてたかしら?」

自分の予定なんぞ把握しているが、それをおくびにもださず、リックに訪ねる。

「たしか、晩餐前に5コニの空き時間がありましたが。

お支度がございますので、そのうちの3コニなら、ヘアメイク中にご面談ということで、対応できますでしょう。」


「では、宰相閣下、その時間においでなさい。

宰相閣下、お願いが有るのです。明日からこちらの王女殿下と毎日お昼かお茶をご一緒できませんか?

お互いに母と娘になるのですから、いろいろお話がしたいのです。」

そうそう、娘っていうより妹感覚でかわいがりたいの。


「あ、そ、即答はできかねますが、王子にまずお伺いしてみないと」

王女殿下の話題をだすと、とたんに宰相の顔色が変わる。また周囲の下官、侍女たちの顔も少し複雑そうになる。

なんだ?この反応は。

もしかして外には出せない何かがあるのかしら?

ご病弱と伺ってはいたけど、なにかありそうね。


「あら、そうですの?では私の方からタンジール王子殿下聞いてみてもよろしいかしら?」

カマをかけてみた。


「わ、わたしのほうから、まずお伺いをたててみまス。」


あれ?

もしかして幼い姫は、タンジールにとって地雷なのかしら?


明らかにおかしい宰相の反応。

まあ、部屋に戻って腹ごしらえしながら、いろいろ考えよう。

朝からなんか疲れたわ。


とにかく、王族は忙しいのだ。

賭け事に興じたり、離宮にこもったり、お気に入りだけ集めておしゃべり、なんてどこの話?

王族の務めは死ぬまで休めないのですよ。


それが綺麗なドレスと豪華な宝石を着る代償、ってもんです。

アーシェがんばれーっ!

えー、と。当分の間、ザッチョは放置プレイです。

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