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えりまきねぅの童話集

小さなこねこの小さな世界

小さなこねこはある夏、小さなベランダで産まれました。


小さなベランダでしたが、そこが小さなこねこの世界の全てでした。


小さなこねこには2匹の小さな兄弟がいて、その小さな兄弟達の事が大好きでした。


小さなこねこは毎日を大好きな兄弟達と、小さなベランダを走り回って遊んだり、母ねこを呼ぶためににゃーにゃー鳴いたりして過ごしました。


小さなこねこは雨が降ると小さな兄弟達とかたまって過ごし、雨があがるとまた小さなベランダで遊びました。


小さなこねこは小さなベランダしか知りません、だってそこが小さなこねこの知っている世界の全てだったからです。


小さなこねこは小さな兄弟達と楽しい毎日を過ごし、少し涼しくなって来た頃にはだいぶ大きくなって、大きなこねこになっていました。



ある日、大きなこねこは遊んでる途中に、小さなベランダから落ちてしまいました。


大きなこねこは目の前が知らない世界だらけになったので、少しドキドキしましたが、なんだか楽しくなりました。


大きなこねこが小さなベランダを見上げると、大きなこねこの兄弟達は大きなこねこの事を心配そうに見ていました。


でも、大きなこねこはもう小さなベランダには戻ろうとは思いませんでした。



大きなこねこは色んな所を歩いてみたいと思いました。


大きなこねこは塀の上を歩いてみたり、路地裏を見つけてみたり、大人のねこを見てびっくりして逃げたり色々な事をしました。


大きなこねこは、夜になると眠る場所も見つけました、大きなこねこはそこで丸くなって眠りました。


目が覚めたとき、大きなこねこは少しおなかが空いたなと思いました。


大きなこねこがそう思っていると、大きなこねこを見つけた人間がごはんをくれました。



大きなこねこは、すぐにその人間を好きになりました。


大きなこねこは、その人間の後をついて歩きました。


何日か経って、大きなこねこはいつもの様にその人間の後をついて歩いていると、人間が大きなこねこに、そこで待っていなさいと言いました。


大きなこねこは、ここで待つことにしました。


待ちながら大きなこねこは、あの人間が帰って来たらまた後をついていこうと考えました。


大きなこねこは、その人間が大好きだったのです。



その時、大きなこねこの後ろから大きな車の音がして、大きなこねこは大きな車にひかれてしまいました。


それでも大きなこねこは、はやくあの人間が帰ってこないかなと思いました。


大きなこねこの目は、だんだんよく見えなくなって行きました。


少しして、おおきなこねこは誰かに抱えられました。


大きなこねこのぼんやり見える目から見えたのは、やっと帰ってきたあの人間の顔でした。


大きなこねこは、やっと帰ってきたなと思いました。


そして耳をぴくっとさせると、大好きな人間の腕の中で静かに息をひきとりました。


大きなこねこが大好きだった人間は 大きなこねこの為に涙を流しました。



大きなこねこは、大好きだった人間の家の花壇に埋められました。


月日が経ち、また夏になった頃、おおきなこねこの埋められた花壇に小さくてきれいな花が咲いていました。


動物にとって死とは日常的なものなのだと痛感しました。

このこねこの兄弟達は、今日も元気に生きています。


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