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第2話 姫その4

 額から魔力が回路となって流れ出し、そこから全身に張り巡らすように感じた。しかし、腹の中心部には燃え盛る炎のような熱と鋭い痛みに悶える。意識がもうろうとする中、彼女の顔には心配している表情が微かに見えた。


 明るい日差しの光で目が覚めた。上半身を起こすと隣から声が聞こえ、その声の方向に体を向けると、アイラが隣で寝ていた。その事実に驚いてベットから落ち、頭に激痛が走る。物音に気付いて彼女はあくびとともに起きた。「おはよ」とともにベットから出た。俺の方へと近づきお腹をさすってくれている。昨日の、俺が苦しんでいる際に、どうすることもできずただ見ていることしかできなかった時の冷たい表情とは打って変わって、優しい顔になっている。


「こうなるとは思ってもみなかったの。初めての出来事でパニックになってしまったの、ごめんなさい。」


「いいや、いいんだ。俺のことを嫌いになっているとばかり思ってたんだ。嫌な役を任せられてるせいで、ずっと嫌な顔しているのかと。でも、今の君を見ていると、そうじゃないんだな、と思っただけだ。」


「そう、そんなふうに思わせていたなんて知らなかった。嫌じゃないわよ、むしろ感謝してる。」


服に隠していたペンダントを取り出した。


「これは、呪いの魔道具。所有者の存在を希薄にし、周囲の人々から疎まれるように、精神的な影響を与えるの。幼少期に好奇心で着けてしまったの。そこからよ、悪夢の始まりは。家族や知り合い、親友の**全員から突然見離されたわ。まるで私が存在しないかのように、あるいは何か不快なものでもあるかのように扱われた。最初は戸惑いと寂しさに苛まれた。で、今の私がいる。」


 そんな過去があったとは全く知る由もなかった。どうやらこの世界は、俺TUEEE(俺最強)みたいにお気楽にやっていけるようなものではないと、改めてそう感じた。ふとカードのことを思い出し、ポケットに入っていたのを取り出した。魔力が使えるかどうかわからないため問いかけた。


「俺は魔力が使えると思う?」


「多分ね。朝食を持ってくるからその間にでも試したら? えーっと神器のカードだっけ? 頑張って。」


 そう言って部屋を出ていった。ベッドに腰掛け、例のカードを取り出した。昨日感じた魔力を込めると光輝いた。光の中から見えたのは、全身が真っ黒で小型の生物。コウモリのような皮膜の翼が生え、その姿は地球のタスマニアデビルに似ている。ぼうっと見ていると、魔獣らしきソイツが話しかけてきた。


「よう、呼び出したのはあんたか? 効果は選んだ時に知ってるな、あんたの好きな名前を決めてくれ。」


 小型とは思えないほど極太の声だった。この生き物と一緒に過ごすことに不安が募る。能力がトランスフォームである以上、強いのかどうかも分からない。自分よりも大きな魔物や動物に変身できるのかも怪しい。性能を試すのは後に回して、名前だが、変化する,,,


「よし決めた。君の名前はダンドだ。よろしくな。」


「ああ、こちらこそ。まずは、もう一度俺の能力について話しておこう。能力はトランスフォームだ。無機物はもちろん、魔物、人間にだって変身ができる。変身できる大きさに限度はないが、さすがに地球サイズは無理だ。必要な情報はあんたの頭の中**にある。**もちろんこの世界にはない車だったり、銃にだってできるぜ。これ以上分かりやすく説明するのは無理だが、何か質問あるか?」


「大きさに限度がないと言ってたけど、重さはどうなるんだ?」


「ああ、質量もある程度は操作できるから、重くすることも軽くすることもできる。以上か?」

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