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第1話 神様(偽)が残酷すぎた その2

「最後に、僕の話を黙って聞いてくれ。僕はラ・オーヴェルニュ家の息子として生まれ、貴族らしい平凡な育ちを経て、やがて伯爵になった。」


拘束を解かれたオーヴェルニュさんと、鏡合わせのように座り、彼の話を聞いていた。


「最初は順調だった……。だが、徴税の額が次第に膨れ上がっていき、平民たちの怒りが頂点に達した。反乱が起き、私は家と家族を置いて逃げたんだ。そして、さまざまなことがあって、こうしてここにいる。私を殺すのだろう? 構わない。もう思い残すことはない。」


 彼は悟ったような顔で天を仰いだ。確かに彼は罪を犯した。だが、命を奪うほどの罪だろうか? 命を奪わない選択肢もあるのではないか? だが、僕のその思いが通るかは分からない。不安を抱えながら、偽神と呼ばれる男に問いかけた。


「なぁ、待ってくれ。もし僕がこの人を殺さないとしたら、どうなるんだ? オーヴェルニュさんは確かに罪を犯した。でも、大罪というほどじゃない。情状酌量の余地はあるだろう?」


偽神は冷徹な声で断じた。


「殺るか殺らないかではない。殺す一択だ。さっさとやれ。」


「わ……わかりました。」


 どんな言葉も通じないと悟った僕は、机の上に並べられた武器に目をやった。その中から、最も短時間で楽に終わりそうな銃を手に取る。「すぐ終わる、すぐ終わる」と自分に言い聞かせながら、オーヴェルニュさんの頭に銃口を向ける。息を整え、一呼吸置いて引き金を引いた。


轟音が静寂を引き裂いた。


 彼の額には弾が貫通した跡が残り、その光景に思わず目を背ける。銃を放り投げ、彼の亡骸を見ないように背中を向けた。だが、頭をよぎるのは、撃った瞬間のあの表情――。目を閉じても、開けても、彼の顔が脳裏から離れない。静まり返った時間が、ただ淡々と過ぎていく。


「まぁ、よくやった。ずいぶん落ち着いた声になったな。さっきまでの、おちゃらけたガキの勢いが消えちまった。」


「うるさいな……あんたのせいで、こんなことになったんだ。」


「それはない。ま、これで条件は揃った。異世界に行く準備が整ったぞ。神器を一つ選べ。」


 偽神は人が死んだというのに、何事もなかったかのように淡々と話していた。自分の手で命を奪ったことへの罪悪感や後悔よりも、この男の冷酷さに強い恐怖を感じる。逆らえば今度は僕が殺されるかもしれない――そう考えながら、床に散らばる数十枚のカードに目を走らせた。


その中から、変身能力を持つ獣魔のカードを選び取る。


「選んだぞ。これで満足か?」


「ああ、向こうの世界でもうまくやれよ。」


 先ほどまでの威圧感は消え去り、まるで普通の青年のような穏やかな表情を浮かべる偽神。恐らくだが、この男もかつての転生者なのだろう。そうでなければ、人が死んだ直後にこんなにも穏やかな表情はできない。どんな世界に送り出されるのかは分からないが、この殺人の「テスト」が、僕がそこで生き延びるための最善の準備だったと、今はそう信じるしかなかった。


 突然、青白く光る魔法陣が足元に現れる。これが異世界への入り口なのだろう。僕は魔法陣の中心に立ち、「ありがとう」とだけ呟いて白い光に包まれた――。

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