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平凡な王太子、チート令嬢を妻に迎えて乱世も楽勝です  作者: モモ
第1部 第2章

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可愛い妹のお願い(上)

 ナーロッパ歴1056年11月15日12時30分


 政務も終えアルベルトは久しぶりに可愛い妹とともに昼食を取る。

「お兄様、今とてもお忙しいのに私のために時間を取っていただいてありがとうございます。最近お忙しそうでしたから……」

 可愛い妹が申し訳なさそうに言う。

 朝、妹のシャルロットから真剣な表情で相談されたアルベルトはすぐに乗ろうとしたけど補佐官と言う名の監視者エミリアから阻止されて、結局この時間になってしまった。

 仕事中に可愛い妹の頼みを優先させるべきだとアルベルトは補佐官に何度か主張はしたんだが、綺麗な笑顔で拒絶された。そして、やっと仕事と悪魔エミリアから解放されて今に至っている。


「可愛い妹の相談と言われれば兄として喜んで受けるよ。むしろ、こんなに遅くなってごめん」

 妹が内密に相談があるとの事であったのでこの部屋は2人っきりであり、侍女とメイドには昼食と紅茶を置いて出て行ってもらっている。


「いえ。お兄様がお忙しいのは分かっていますわ」

 シャルロットと他愛のない話を少した後、シャルロットは本題に入ってくる。

「お兄様にお願いがあります。私にも何らかのお仕事をお与えくださいませんか?」


 (ん、仕事? 何故また。)

 とアルベルトは心の中で呟く。


「仕事? どういう事だ?」

 そしてアルベルトは首を傾げながら尋ねる。


「私も王族の一員です。国の緊急時に何の仕事もしないと言うのは……すみません。上手く言葉にまとめきれずに」


(大丈夫だ、妹よ。だいたい理由は分かった。)

 とアルベルトは心の中で頷く。


「シャルロットは14歳になったばかり。今いろいろと学んで……」

 兄の常識論を妹は遮る。

「お兄様は13歳で立太子され、14歳には政務に関わっていたではありませんか?」

 (妹よ、言っている事は一理あるけど、途中で人の言葉を遮るのはどうかと……あ、俺も結構遮ってる。人の事言えないな。)

 とアルベルトは少し自己反省しつつ、口を開く。

「確かにその通りだ。しかし……」


 妹に任せられる政務は今の所なかった。無論王族であるシャルロットには嫌な言い方だが価値はある。王家が出席を求められる式典に出席等してもらえるだけでもアルベルトからすれば負担は大きく減る。

 しかし、戦時下となるとそんな式典は中止か延期せざるを得ない。何か担当してもらうにしても優秀な補佐官をつけなければならないが、それなら最初から官僚に任せた方が効率が良い。平時ならともかく戦時にそんな余裕はないと言うのがアルベルトの結論であった。


(さて、どうしたものか。)

 アルベルトが迷っているとノックがなり、エミリアの声が聞こえる。

「ご歓談中の所を申し訳ありません、摂政殿下。デーン王国に放っていた諜者のうち、ユクド半島に派遣していた者らより報告が入りました。」


「少し良いかな?」

 アルベルトがシャルロットに尋ねると、妹は頷く。

「入れ」


「はっ」

 アルベルトの言葉に従いエミリアはドアを開けて入ってくる。


 アルベルトとシャルロットに一礼するとエミリアは報告を始める。

「ユクド半島にて軍を動員している所はオレンボー辺境伯領とその近隣のみとの事です」


 (ユクド半島北部で軍の動員が始まっていないと言う事はデーン王国は国として軍を動かす気がないと見ても良い。これで不安要素は1つ減ったな。)と心の中で喜ぶ。

 そしてエミリアの報告は続く。

「オレンボー辺境伯領の食糧調査もほぼ終了しております。小麦は1プント25グローネ(デーン王国の銀貨通貨単位)、ライ麦は1プント15グローネぐらいです。」


(穀物はリュベルでの流通価格の5倍ぐらいか。)

 とアルベルトは心の中で計算する。


  デーン王国とリューベック王国の通貨は違うが、現状リューベック王国とデーン王国の通貨価値に大差はない。


 さらにエミリアは報告を続ける。

「さらにデーン諸侯は去年のナビア王国との小競り合いを名目で増税されましたが、オレンボー辺境拍は大きく税を取り立てられたようです。」

(成程ね。理解出来なくないが……)

 アルベルトは心の中で呟く。

 

  オレンボー辺境伯はデーン王国で一番の大領主である以上その力を削いでおこうと考えるのもアルベルトから見ても理解出来ない話ではない。しかし、国境警備も行う辺境伯の力を削ぎすれば国境警備にも支障が出て国家として大きな問題であるし、有力諸侯の反感を買うデメリットは大きいとアルベルトは思うのであった。



「外務卿に予定通りオレンボー辺境伯に使者を出すように伝えてくれ。内務卿にも予定の食物の輸送準備を開始するようにと……」


「了解しました」

 エミリアは頭を下げて部屋を出ようとするとアルベルトは視線を一旦シャルロットの方に視線を向けると、一瞬はっと気づいたような表情を見せ、直ぐにエミリアに

「待て、エミリア。」

 と声をかける。

 エミリアは立ち止まり、アルベルトらの方を向き、頭を下げる。

「外務卿に伝えてくれ。本日、相談したい事がある。都合が良い時間を知らせてくれと………」

「解りました。そのように伝えます。」

 エミリアは再び一礼した後、部屋を出る。



「シャルロット。もしかしたら君に頼みたい仕事が出来るかもしれない」


 シャルロットは嬉しそうに頷く。

「は、はい、お任せください。」


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