好きな人と一緒になると言う事はとても素晴らしいと私は思うわ(上)
ナーロッパ歴1056年11月15日7時
アルベルトとアリシアは共に朝食を取り、早速
「昨夜は床を共に出来ず申し訳ありませんでした。」
と頭を下げる。
「頭をお上げください、アルベルト様。今が戦時である事は私も重々解っておりますわ。」
「そう言っていただけると助かります。」
アルベルトが頭を上げると
「明日、私は午後2時ぐらいから黒狼隊の閲兵式に参加する予定ですが、アリシアはどうされますか?」
と尋ねる。
「わたくしも参加しても宜しいのですか?」
アリシアが尋ねると
「アリシアはもう王太子妃ですから、問題はないでしょう。宜しければそのように手配させていただきますが……」
とアルベルトは答える。
アリシアは一瞬考えこむような姿勢を見せるが直ぐに微笑を浮かべて
「宜しくお願いします。」
と答えた。
☆☆☆☆☆☆☆
ナーロッパ歴1056年11月15日10時、聖都ラテノ。
一昨日ラテノについたルイ・ディクレー司祭は神姫イリスに招かれていた。
女性神官の案内を受け、大きな木製の扉の前に立つ。
扉の前に立っていた女性の神官兵が扉を開けるとそこには大きな柱があり、そこには主神テンプレの姿が彫られていた。
その柱に一礼し、脇を通り過ぎるとそこにはいくつもの部屋に繋がったホールに到着する。
そして、ホールには等間隔に女性の衛兵が立っている。
ここは教皇の執務室より警備が厚く、また教皇を初めとした高位神官もここに訪れるには事前に神姫の承諾が必要と言うぐらいの厳重な警戒態勢が敷かれている。
そして、ついに神姫の自室の前につくが、そこにも女性の衛兵が2名立っており、ルイの姿を見るとドアを開ける。
(毎回会うたびに思うのだけどお姉様に会うだけで大事よね。まあ、今の私があるのはお姉様のおかげだけど……)
内心ため息をつきたくなるが、それを面に出す事なく部屋に入る。
部屋に入るとテラスに面した窓際に置かれている椅子に座り、本を読んでいる空色の髪をした女性がルイの眼に入る。
その女性も気づいたがしおりを本に挟めた後立ち上がって柔らかい笑みをルイに向ける。
「久しぶりね、ルイ。あなたの無事な姿を見れて安心しましたよ。フラリン王国がアストゥリウ王国に攻め込まれたと聞き不安でいっぱいでした」
ルイが頭を下げる。
「神姫に心配をかけたのは私の不徳と致す所です。どうかお許しください」
ルイの前に立っているのはテンプレ教の頂点に立つ姉のイリスであった。
「そう他人行儀をされると姉として寂しいわ。誰もいない時ぐらい姉として接してくれても良いのよ」
イリスは寂しそうな笑みを浮かべてルイを見つめていた。
☆☆☆☆☆☆
その頃
旧フラリン王国ヴェルサルユス宮殿国王執務室。
そこにはフェリオル王と黒旗軍の軍団長3人(老将カリウス・オブラエン、ロンメル、リカルド・アノー)とフェリオルの補佐であるギニアスが対教皇戦の計画を協議していた。
3つ程の案が事実上練られていた。1つ目は教皇庁を含むテラン半島諸国だけが敵になった場合の作戦計画。2つ目は教皇庁を含むテラン半島諸国と旧フラリン王国と同盟を締結していた北方小国群を敵と想定して練られた作戦計画。3つ目は教皇庁を含むテラン半島諸国と旧フラリン王国と同盟を締結していた北方小国群とロアーヌ帝国と戦うとして練られた計画である。ロアーヌ帝国との戦争は現段階では避けたい所であるが、最悪な事態を想定した計画も練っておくのは軍として当然と言えた。
ラテノから教皇の使節団が出立したと言う報告もバリに届いており、それを迎える準備も同時並行で進めている。
そして、ロンメルから提案があった。
「帝国にアルザス、ロレーヌ、チロルの3カ国をくれてやれと……」
ロンメルの提案を聞いたフェリオルの言葉にロンメルは頷く。
「はい。教皇勢力を打倒したあかつきにはロアーヌ帝国がその三カ国を勢力圏に組み込む事をアストゥリウ王国は認める。代わりに北方のフラリンの属国群及びテラン半島北部をアストゥリウ王国の勢力圏とする密約を締結します」
ロンメルの提案にリカルドは成程と頷く。帝国に飴を用意してやればロアーヌ帝国が教皇側で参戦する可能性はさらに低くなる。帝国にとって教皇庁が目の上のたんこぶと思っているのであればなおさらである。
さらに、チロル王国、ロレーヌ王国、アルザス王国の3カ国は帝国が領有権を主張している国であった。そしてチロル王国は教皇庁を盟主としたテラン半島諸国、そしてロレーヌ王国、アルザス王国はフラリン王国の圧力で超大国の帝国すら手を出せなかった地域である。
これをフラリン王国を併合したアストゥリウ王国が認めるとなれば教皇戦ではアストゥリウ王国と敵対的な行動を取る可能性はさらに低くなる。
「成程。さらに帝国も新しい領土を制圧し、安定化させるにはそれなりの時間はかかる。教皇戦の後も当面はロアーヌ帝国に対して保険となり、その間に我々も戦力の回復に努められると言う事だな」
老将カリウスも頷く。
さらに、周辺国の力の結集を図りアストゥリウ王国の対抗しようとする帝国への嫌がらせに繋がる。帝国は盟主的な立場になるだろうが、反アストゥリウ国がアストゥリウと密約を組んで領土を拡大したように見える帝国を本気で信用する訳がない。帝国への信用を落とす嫌がらせにも繋がっていく可能性もおまけでついてくる。
そして、他国の領土である以上アストゥリウの手出しは0である。この案に反対する者は誰1人いなかった。
「異論はないようだな。では、ロンメルの案を採用する」
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