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平凡な王太子、チート令嬢を妻に迎えて乱世も楽勝です  作者: モモ
第1部第1章

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フラリン王国第2王子捕まる(上)

 ルイとの話が終わろうとしたその時、一人の侍従が扉を撥ね開けて入ってきた。


「アラン殿下、至急お逃げください!」


 アランとルイは目を合わせた。その動きは、互いを気遣う恋人同士ならば相応しいものだったかもしれないが、およそ大事に接した王子の示すべきものではなかった。侍従長が苦言を呈そうかと逡巡したのも無理はない。


「何が起きたのだ。逃げよと言われても火事と敵襲では話が変わる」


 が、侍従長は説教の時間を惜しみ、あくまでも状況把握を優先した。その言葉に冷静さを取り戻した伝令役の侍従が答える。


「謀反です。傭兵どもが反乱を起こしました。最初は一部の不満分子の仕業かと思ったのですが、兵達が次々に反乱に加わり、もはや手をつけられません」


「そうか。……殿下、10分だけお待ち下さい。脱出路を探って参ります」


 そう言い残して、侍従長は反乱の報せを持ってきた侍従を伴い、部屋を出て行った。ルイと二人部屋に残されたアランは、どうしたものかと立ち上がって部屋の中を見回す。


 反乱が起きたのは驚きではあるが、理解は出来る。恐らく勝ち目なしと見た傭兵らがアランの首を持ってアストゥリウ王国に投降し、褒美を得ようと考えたのだろう。しかし、疑問が残る。


 アランですら、たった今ルイの口から告げられて初めて王都の陥落を知ったほどである。傭兵達に目端の効く者がおればフラリンの劣勢は察せられたであろうが、それにしてもここまでの行動に出るとは、あまりに唐突に思えた。そんな中、空色の髪の少女は軽蔑をこめて呟く。

「傭兵に忠誠を求めるのはバカらしいですが……」

 ルイは首を傾げながら続ける。

「しかし、傭兵らだけでここまでやるでしょうか?裏で操っている者がいるのかもしれませんね」


 その意見にはアランも同意する。

 いくら、傭兵らが抜け目ないとは言え、ここまで大それた事をそう簡単にやれるとは思えない。


 裏で誰かが煽動したのだろうという予測は容易についた。







 ローベラ要塞から東に10キロ離れた街道沿いに、黒い甲冑姿の軍勢が展開していた。


 その中で騎乗した青髪の青年騎士の側にいる副官と思われる騎士が青髪の騎士に話しかける。


「ロンメル軍団長閣下、本当にアラン王子はこちらに来るのでしょうか?」


 ロンメル軍団長と呼ばれた青髪の騎士は首を横に振る。


「分からん。だがアラン王子に取れる道は二つ、他国に亡命するか、フラリン東部守備軍主力が籠るマジノ要塞に入るかだ。我らとしてはマジノに入って周辺諸侯を糾合の上で徹底抗戦されるのが一番困る。それぐらいならいっそ、帝国にでも亡命して欲しいぐらいだ」


 帝国に亡命された場合、帝国はフラリン王国領侵攻の大義名分を手に入れてしまうと言う問題を抱えてしまうが、それでもこの戦役が長期化するよりははるかにマシとロンメルは判断していたのである。そのため、すでにフラリン王国王太子にも彼は手を打っており、近日中にはローズベルトの首がフェリオルに届く運びとなっている。ロンメルにとって残す大きな問題はアラン王子のみである。


 そのためこの場所以外でも、マジノ要塞に通じる街道の全てに部隊を展開させ、警戒線をはっている。それも通り一遍のものでなく、文字通り、誰一人として見逃さないほど厳重に。

 ロンメルは苦笑を浮かべながら続けた。

「まあ、帝国に亡命するにしても、この街道は選択肢の一つに入るがな」

 すると副官が疑問を口にした。

「ですが、こんな手間をかけずとも、我らでローベラ要塞を攻め落とせばそれで済んだのではないでしょうか? ローベラの兵力は2千と言いますが大半は傭兵や雑兵。あくまで王国に忠誠を誓うものなど少数でしょう。内通者を動かした上で、我が軍団4千2百で攻めかかれば、簡単に落とせたのではないでしょうか」

 ふむ、とロンメルは少し考えてから答える。


「確かにそれも悪い手ではない。上手く運べばすぐに決着が付く。だが内通者が思い通りに動くとは限らぬし、下手をすれば、黒旗軍を無為な攻城戦ですり減らす羽目になりかねない。それに何より、攻城戦のために兵力を集中させれば、マジノ要塞に向かう街道の警戒線がどうしても手薄になる。その状況で万一、アラン王子に脱出されたらどうなる?」


「だから傭兵らを煽動したのですか。しかしそれでは連中に『手柄』をとられる事になりかねないのでは?」


「そんな小さな手柄など、奴らにくれてやれ。我らが優先すべきはフラリン全土の平定だ。戦争が長引けば周辺諸国に隙を見せることになる。下手をすれば大国の介入を呼び込むことになるぞ」


 ロンメルはアラン王子の身柄を「小さな手柄」と言い切った。彼にしてみれば早期のフラリン王国の平定が第一であり、それこそが狙うべき「大きな手柄」である。戦乱に乗じた大国の介入は、フェリオル王の破滅すら招きかねない危険である。


 だからこそ、フェリオル王は寝返った諸侯軍や傭兵隊に、抵抗を続けるフラリン諸侯やフラリン国軍部隊への攻撃を命じる一方、自らは精鋭である黒旗軍1万7千を率いてフラリン王国王都バリに速攻を仕掛けるためである。

 フェリオル王は黒旗軍で王都の攻城戦をやる気はなかった。敵を誘い出せれば野戦で叩き、籠城を選ばれたら包囲してフラリン王国の中枢を圧迫することでフラリン軍の指揮系統にダメージを与え、アストゥリウ諸侯軍や傭兵隊が到着次第、彼らに王都の攻城戦をさせる予定であった。が、王太子の逃亡により王都守備軍1万は包囲した即日に降伏したのである。



「黒旗軍はこれ以上大規模な戦闘に耐えきれぬ。イスラン半島のザマー教国を平定した後すぐにアストゥリウ旧国王派やヘルメス王子派との内戦に突入し、そしてラーンベルク戦。全てに勝ったとは言え戦力の消耗が著しい」


 黒旗軍は元々テンプレ教教会やそれを国教とする国々から、アストゥリウ半島の異教徒の蛮族を一掃するために提供された資金を元にフェリオルが編成した軍勢である。

 今までの戦争毎に編成される徴兵された兵士を主力とする徴兵軍と違い、大貴族に圧迫され、彼らに不満を持っていた下級貴族や平民の富裕層を幹部とし、兵士にも平時から給与が支払われ、厳格な訓練をほどこした後世で言う完全常備軍に近いもの。

 無論、従来の軍にも常備兵はいるが、割合はそこまで高くないし、また彼らは都市等の治安維持任務等もあるため、訓練時間は短い。

 そんな黒旗軍だからこそ、戦の度にかき集められる徴兵軍が主力である従来の軍隊を圧倒するのはある意味当然とも言えた。しかし、それが弱点でもある。良く訓練された将兵のため、補充兵を作るのにどうしても長い時間が必要となってしまうのだ。


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