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平凡な王太子、チート令嬢を妻に迎えて乱世も楽勝です  作者: モモ
第1部第1章

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大使と再び会談

 翌日、アルベルトはロアーヌ帝国の大使であるローン伯を再び呼び出し会談を開いた。

「昨日会談したばかりだと言うのに本日も急に呼び出して済みません。」


「何をおおせになりますか。摂政殿下のお呼びとあらば直ぐに参上するのは大使として当然の事……」


「そう言って頂くと心が楽になります。早速本題に入らせて頂きますが」

 アルベルトは挨拶もそこそこに早速本題に入る。

「我が国はピルイン公令嬢を王太子妃として迎え、そして貴国との同盟を締結を前向きに検討していきたい。」


「有難き仰せにございます」

 ローン大使はこのように言いながらも訝しそうな目をリューベック王国の王太子に向けるが、それもまあ仕方ないとアルベルトは思った。

 普通に考えれば時間をぎりぎりまで稼いで状況をできる限り見極めるのがリューベック王国にとって最善の策である。フラリン王国がアストゥリウ王国遠征に失敗していない限りは……


(やはり大使の元にはフラリン王国の敗報は届いていないようだな)

 とアルベルトは大使の態度でそう判断する。


「お詫びと言っては何ですが一つ面白い話があります」


「面白い話ですか?」


「はい。我が国の諜者の報告によりますとフラリン王国はアストゥリウ王国に大敗を喫したそうです。これはまだ確認されていませんがフラリン国王が討ち死した可能性もあると……」


「何と。それは……いやだからこそ貴国は早急に我が国との同盟を決めたと言う事ですね?」


「そういう事です。恐らく貴国の北伐も大きな修正が加えられるんじゃないんですか?例えばフラリン王国本土への侵攻も連動して行うとか」

 国王が討ち死していれば当面フラリン王国は中枢が混乱する事は避けられないし、軍事力も大幅に低下している以上、フラリン王国本土侵攻を行うには好機と言えた。


「フラリン王の死が事実であれば我が国も戦略方針を変えるやも知れません。いや、むしろ……」

 とここでローン伯は顔を上げて

「今は摂政殿下から教えて頂いた話を前提に、早急に取り決めた方が良いかも知れませんね」

 と続ける。

「ええ。その方が貴国にとっては、色々と都合が宜しいと思います」

 それにその方が貴方にも都合が宜しいでしょう、とアルベルトは内心で付け足す。状況の変化に合わせた協定を早く組めれば、それだけ大使への帝国本国の評価も上がる。

 そして、帝国大使に貸しを作る事となるため、リューベック王国も帝国大使であるローン伯とのパイプが強くなり、彼が出世してくればそれが後々に役に立つ事もあるかも知れない。

 またリューベック王国からすれば帝国本国からもいずれ伝わる情報を先に教えただけである以上、手出しも特にないため、お得な買い物とも言えた。

 貴族社会では貸し借りは重要なのだ。


「その通りですな」

 帝国大使も頷いて答える。

 細かい事はいずれ帝国本国の方針を待つとし、リューベック軍も物資を集積しながら動員を開始し、直ぐに動ける準備を整える事でアルベルトとローン大使は合意したのである。





 同時刻


 ロアーヌ帝国帝都シュバインフルトにあるピルイン選帝公の屋敷



  アリシアは父サイラスに再び執務室に呼ばれた。父はアリシアが予想した通りの事を口にする。

「とりあえず北伐は一旦保留する事となった。フラリン王国が無様にも簒奪王に敗北したからな。これから帝国諸侯や場合によってはリューベック王国を協議次第となるがフラリン本土侵攻が主攻となるだろう」


(何を悠長な事を言っているのだろう。)

 と心の中で呟きながら、アリシアは意見を口にする。


「父上、そういって時間をかければすぐにフラリン王国はフェリオル王に制圧されますよ」


  サイラスは一瞬呆然となるが、すぐに彼の目には侮蔑の色が混じる。


「少々頭は回ると思っていたが私の勘違いだったようだな。常識で考えてみよ、内戦が起きていた国の国王がすぐに外征等出来る訳なかろう」


「お言葉ながら常識が通じる男なら父を武力で殺して王位を奪ったりなどいたしません。父王を討って王位を簒奪する程の野心家が弱っている美味な獲物を放置するでしょうか?」


  アリシアが冷静に言うが、サイラスは聞く耳を持たない。

「そのような事をすればヘルメス派諸侯が黙っていない事は簒奪王でも理解していよう。それすら解らぬ無能は黙っておれ……まあ、所詮女ではその程度の考えも頭には浮かばぬのだろうが……」


(ヘルメス派諸侯がラーンベルクで大勝利を収めたフェリオル王に現状対抗出来る訳がない。大半の諸侯がフェリオル王の顔色を窺い、例え謀反のような迂闊な動きを見せる者がいたとしても、近隣の諸侯が功名稼ぎの好機とばかりに告発して侵攻するのは目に見えているでしょうに……)

 とアリシアは心の中で突っ込む。

  余程の状況の変化がない限り、反フェリオル派諸侯は当面は黙々と簒奪王に従う光景がアリシアの目には見えていた。

 だが、これ以上言っても無意味なのを彼女は理解している。


「出過ぎた事を申しました。お許しください」

 アリシアが頭を下げるとサイラスも落ち着いた。

「北伐はどうなるか解らんがリューベック王国王太子とそなたの婚姻は進める。そなたは王太子妃、そしてピルイン公の娘としての務めを果たせばそれで良い」


「……承知しました」



☆☆☆☆☆☆


 帝国大使との会談を終え、執務室に戻ったアルベルトは従者兼補佐のエミリアに命じる。

「ここ数日は忙しかったが今日はそこまで夜遅くならぬだろう。エディトに夜伽を命じてくれ」


「まだあの年増に手を出すの??」

 エミリアが呆れたように言うとアルベルトは

「彼女は確かに38歳だが、あの熟した豊満な身体が最高なんだよ。まあ、エミリアは解らないかもしれないけど……うん、もしかして妬いているのか?」

 と揶揄う。


「そんな訳ないじゃない。ちょっと自信過剰すぎよ。私はただ貴女の熟女好きに呆れているだけよ」

 エミリアは呆れるようにため息をつきながら

「わかったわ。エディトにそのように命じておく」

 と続ける。


「頼むよ」

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