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パート・タイム・バッド・レイディ(日帰り悪役令嬢)  作者: 焼ミートスパ
第一章 婚約破棄された直後に入れ替わったちゃったよ
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11 最終話、宰相の懐刀の絶叫

「だ~か~ら~、あれは擬態だって言っているだろうがあああっっ!」


宰相の懐刀と言われているワイズメル男爵子息 ~宰相が最も信頼する部下である~ が国王陛下と宰相を前に絶叫していた



・・・どこかの貴族が見て居たら羽交い締めでもして全力で止めていたことだろうが残念なことに国王陛下と宰相とワイズメル男爵子息しかいなかった









時間を少しばかり巻き戻そう




ワイズメル男爵子息は最初、国王陛下からの御下問に


「あれは擬態です」


と丁寧に答えていた





ところが国王陛下が


「・・・最近は大人しいからもう大丈夫じゃないだろうか?」


などと我が子を擁護するというか、息子である第一王子可愛さに自分の都合の良い未来しか見ていない返事しかしなかった




大体、婚約者である公爵令嬢へ冤罪を吹っ掛けて婚約破棄しておきながらなんの仕返しがないと思っていること自体が甘いとワイズメル男爵子息は思っていた




まあ普通は家を通して苦情がくることだろう


だが王族という最上位の地位のせいか他人から苦言や苦情をほとんど言われたことがないの悪意に鈍感になっているのだ


それと王様という肩書のせいで、何から何まで自分の思った通りになる


国王陛下が自分に甘い未来しか予想できないのはある意味当然であると言えた




一方、宰相はというと臣下という一歩引いた立場から少しはまともだった


だが「少しは話がこじれるだろう」くらいの軽い認識であった




まあ通常は国政や外交に携わっているのだ


周りにいる人間はそれなりに優秀


というか常識があり、普通以上に頭の回る人間しかいない


勝手に婚約破棄するようなバカ、もとい第一王子のような頭がスカスカな人間を理解することはできないのは当然である





とまあ国のツートップが優先順位が高い案件を抱え込み過ぎて ~国王陛下においては親ばかもある~ 第一王子の失敗へのフォローが後回しになっているという訳だ




目の前の殿上人と宰相の部下である男爵令息じぶんとの認識に天と地くらいの差があることに絶望してクラクラと眩暈しながらも、ワイズメル男爵子息は最初は丁寧な説明を心掛けていた





ところが何度話しても国王陛下は


「(公爵令嬢は大人しくなったので)もう大丈夫じゃないだろうか」


と息子可愛さに楽観論に固執する始末




宰相も


「(第一王子が)婚約破棄やってしまったのは仕方がない」


ともう終わったことのように言っている




それが30分もエンドレスで続いた所でとうとうワイズメル男爵子息はキレた


自分一人が危機感を持って対処しているのに国のトップが理解しないのだ


当然と言えた


それが冒頭のシーンである





「いいですか、


『ちまちま文句を言っていたら謝るだけで済まされるじゃないか


だったらまとめて大きくしてしっかりってやるぜ


やられ損は嫌だからな』


などと言った公爵令嬢が大人しくしているんですよ?


不満というか仕返しするネタをため込んでいるに決まっているじゃないですか!」





国王陛下の前で大声を出しすぎたせいでワイズメル男爵子息はゼイゼイと息が絶え絶えになっていた





普通の官僚ならここまではしない


何かあったらどうせ責任は国王陛下と宰相閣下がとればいいのだ


下っ端は頭を竦めていれば断罪させることはない


いや危険ならすぐさま逃げていることだろう


自分の身が一番大事


それが一般的な臣下の姿であった


・・・この国は大丈夫か?





しかしワイズメル男爵子息は真面目だった


ほんのちょっとの正義感と他の人よりは真面目な性格


知らずに貧乏くじを引いている残念な人間であった


・・・おや、顔色が悪い人間がいるようだが、なにか心当たりでもあるのかな?





話を戻そう



「『いままで貯めた借金だから~」


と言いながら鍛えた男相手に目を刳り貫く令嬢がどこに居ます!


命と言っても過言でない女の顔を喜々と火魔法で焼く令嬢がどこに居ます!


相手は令嬢の皮を被った異常者だということを判って下さい!」


国王陛下と宰相相手に自分が何を言っているのか判らなくなっているワイズメル男爵子息だった


・・・人はそれを暴走と呼ぶ(笑)





「大体、公爵様が傘下の貴族全員を王宮から引き揚げているんですよ!


おかげで日常業務どころか国外の交渉まで遅延する始末


最初は国王派の貴族達が「これで我々の天下だ!」などと言っていましたが数日で人手不足で仕事が回らなくなって王宮の下級貴族用の食堂なんて開店休業状態で皆が腹を空かせています!」


国王陛下や宰相は自室に昼食が運ばれてくるので厳しい現状を知ることはないのでびっくりしていた



そのびっくり顔を見てちょっとだけ気分が良くなったワイズメル男爵子息だった


ココだけの話、内心は「ざまあみろ!」である







「王立学園なんて生徒が半分以下でガラガラなんですよ!


判っています?


第一王子からのお願いで冤罪の証人となった令嬢や令息は公爵令嬢からの報復を恐れて家でブルブル震えていますからね?


学園に行ったら目を刳り貫かれるか、顔を焼かれると思っていて「絶対に学園には行きません!」とか言っている始末ですからね?


それに見て見ぬふりをした生徒達もいつ自分に火の粉が降りかかって来るか判らないため「学園には行きたくない」とか言って出てきていません


今学園に通学しているのは公爵令嬢と、公爵家との関係が良い家の子息と全然接点がなかった下級生だけですよ?


もちろん教師の半数は出てきていません


「監督不行き届きとして絶対に報復してやる」と公爵令嬢が言っているとの噂があるためです」


息継ぎもなしに一気にまくし立てたワイズメル男爵子息の息は絶え絶えだった




<ゼイゼイゼイゼイゼイゼイ>


100mを全力で駆け抜けたように冬だというのに汗だくだった





「「・・・わ、判った」」


ようやくここにきて現実を直視し始めた ~国のツートップ相手にここまで醜態を見せられたとも言う~ 国王陛下と宰相ははるか格下であるはずのワイズメル男爵子息の言をようやく認めた




だからと言ってどうにでもなる訳ではない


なにせ王宮どころか王都からも公爵派の貴族の大半が消えているのだ






公爵領を中心にした南部に集まり内政に励んでいる


食料を増産して、街道を整備し、盗賊相手と言う建前で私設騎士団を鍛えている姿はワイズメル男爵子息とってどう見ても第一王子への仕返しをした後、国王陛下の首をとって、王家の血を引く公爵家が新しい王朝を開く準備をしているとしか見えなかった



その一端が国王陛下と共有できたことでワイズメル男爵子息はホッとするとともに戦乱の予感しかないことに冷や汗がでていた

たった1日、公爵令嬢と入れ替わっただけなのにこの始末

嗤えますね

なお、これで第一章はおしましです

主人公が出て来たのは最初の1話だけなのに外伝がその何倍にもなっています

外伝を本編以下にするのがポリシーの田中芳樹先生がみたら額に手を当てて呆れられることでしょう(笑)


見事なオレ戦(オレ達の戦いはこれからだ!)エンド


ちょっと前まで病気で寝たきりだったときにSirobakoを見たんだよ


『オレ戦エンド』に関心したんで一度はやってみたかったんだよね

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― 新着の感想 ―
これ一番怖いと思ってるのは当の公爵令嬢でしょうかw 気を失ってる間に事態は動いてる上にそれを扇動したのは自分だしで それとも周りが察して耳に入らないようにしてて「なにが起こってるんですの??私何をした…
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