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パート・タイム・バッド・レイディ(日帰り悪役令嬢)  作者: 焼ミートスパ
第一章 婚約破棄された直後に入れ替わったちゃったよ
1/39

1 婚約破棄をされちゃったよ

「おまえとの婚約を破棄する!」


気が付いたら婚約破棄の真っ最中だった


・・・トラ転も神様説明もない異世界憑依ってどうなんだ?と言いたい





オレは、『小説家になろう』ってネット小説の読専だ


『なろう』は日々の会社でのストレスを解消するにはもってこいのアイテムだ


無人島になにか一つ持っていけるとしたら絶対に『なろう』をお願いすると思う




という訳で今日も遅くまで残業をしてヘトヘトになったオレは夕食の弁当を食べながらなろう小説を読んでいた





時計の針がテッペンを回ったことにようやく会社でのストレスが(大体)解消された


いや完全には解消されないよ


でも明日仕事をしてもいいかも?ってくらいには回復した(と思う)


・・・おや、頷いている人間がいる気配が沢山するのは気のせいかな?(笑)





「はあ~、満足した」


こたつに座ったまま後ろに倒れて寝転がる


背骨が伸びて気持ちいい




温かいこたつと弁当を食べてお腹が一杯になったこともあり眠気が襲ってきた




5分だけ


そう思って目を閉じた


まあ朝まで寝てしまうフラグなんだけどな(笑)






視界が暗転して寝れたと思ったらなぜか婚約破棄された令嬢になっていた


それも婚約破棄された真っ最中


・・・俺の睡眠はどうなったと言いたい





まあ異世界憑依してしまったものは仕方がない


気持ちを切り替えて行こう!




という訳で


「婚約を破棄する!」


と言われたので扇で口元を覆って蔑んだ目をしてやった





・・・蔑んだ目はオタクなら全員が標準装備しているんだよ





アニメでは至る所でやっている


某薬屋とか某戦闘メイドとか(笑)




だから毎日が見取り稽古


それゆえにオタクなら誰でもできる(はず)





もっとも会社や学校ではやっちゃダメなやつだけどな


やったらそこで人生が終わるだろう(笑)





そんなわけで日々の鍛錬の成果をようやくお披露目できた訳なのでノリノリでやってみた


効果?もちろん抜群だった




なにせ何回、いや何十回もなろう小説を読んでいるからな


できない方がおかしい(はずだ)


見取り稽古サイコー!(笑)








話を戻そう





「婚約を破棄する!」


と第一王子に言われたところでこの身体の公爵令嬢と入れ替わったようだった




なんで婚約破棄って叫んでいるのが第一王子だと判ったかというと入れ替わった時点で記憶の引き継ぎがあったからだ




OSがWindowsだろうがMacだろうがPDFは読み取れるということだろう


多分だけど




ついでに言うと第一王子の腕に引っ付いてるのが男爵令嬢で、取り巻きの騎士団長と魔法士長の子息達は男爵令嬢に篭絡済みだというのも全部マルっと丸わかりだ!(判る人間にだけ判るネタ)



あまりにもベタすぎて嗤っちゃうよな




有史以来すべての魔法、ではなく、婚約破棄もののネット小説を読んできたオレにしてみれば勝って当然の案件だ


勝利か、より完璧な勝利か、のどちらか、という訳だ





という訳で蔑んだ目で見てやったら


「貴様、王族に対して不敬だぞ!」


と王子様が顔を真っ赤にして怒ってきた




・・・見事な自爆だった




でも判っているのはオレと観客となっている生徒達だけ


言った第一王子とその腕に縋りついて胸を押し付けている男爵令嬢やその取り巻きも判ってない


・・・この国の将来は大丈夫かね(汗)





大体、卒業式の在校生代表として送辞を送るはずの第一王子が、送辞ではなく婚約破棄を宣言した時点でアウトだろう


さらにあまりの阿保らしさに呆れて物も言えなかったら『不敬罪だ!』などと言う始末


一体何を言えというのだろう




・・・まあジト目で睨んでそう言わせてのはオレだけどな





オレ、もとい公爵令嬢と周りの在校生と卒業生と教師達が呆れているのが判らないスカポンタン達にあえて判らせるために大袈裟に呆れて見せてやった



たとえるなら舞台俳優が劇場の一番後ろの観客にでも判るように、だろうか





あほにでも判るようにオーバーアクションをしたおかげかやっと第一王子様御一行様(笑)は周りから呆れられていることに気が付いた




「お、おまえはキャッシーに嫌がらせをしただろう!」


お約束のイジメの冤罪が降って来た




・・・ここまで鉄板だとなんかやる気がなくるんだけど、最後までやらないとダメだろか(呆)




まあここで降りる訳にはいかない


何十回、いや何百回も読んだ手垢の付きまくったセリフを嫌だけど言ってやった


「わたくしはやっていませんわ」





「取り巻きにやらせたんだろう!」


返事が速攻で返ってきた




・・・お約束すぎてもはややる気がない




だがやるしかないのか?




証拠もないのに冤罪をぶっこんでくるバカ相手に無駄な時間と労力を使い虚しさ


どんば罰ゲームだよ!、と言いたい(涙)




「そんなことありませんわ、もしもわたくしの命でやったという方がいらっしゃったら公爵家として断固抗議させていただきますわ」


と言うと


「トカゲの尻尾切りか!」


などとさらに冤罪をぶっこんでくる始末




「証拠もなく権力や大多数の言葉のみでわたくしに罪を擦り付けるというのならば公爵家の名誉のために断固戦いますわ!当主たる父もきっと賛成してくれると思いますわ!」


そう言うとともにモブと化している観客の一部に目をやるとギクッと反応した生徒が数人居た




公爵令嬢の記憶から男爵令嬢への嫌がらせは大体こいつらだろう、ってのが推測できるから睨んだんだけどビンゴだった


後日、きっちりと責任を取って貰おう





「うるさい、うるさい、うるさい、やってやれ!」


言葉で言い負かされた第一王子様はブチ切れて手下の騎士団長の息子にオレを襲うように命令しやがった





剣を抜いて騎士団長の息子が迫って来たので


「きゃっ」


と可愛く声を上げて頭を抱えてしゃがんでみた




それでも剣を抜いて迫って来る


そしてしゃがんでいるオレに向かって剣を振り下ろしてきた


・・・無手の女性に騎士的にそれでいいのか?と言いたい




しゃがんで下を向いているので剣筋は見えない


でも足元は見える


だから膝の伸び縮みから剣を振り下ろすタイミングを計り半身になって避けた


そして目標がいなくなったせいで剣を床に叩きつけたことに驚愕している間抜けの目に指を突っ込んだ


いわゆる抜き手である


・・・令嬢の細い指で目つぶしするのは無謀だかららな




「目、目がっ」


と目を抑えてのたうち回る騎士団長の息子


・・・一瞬作品が違うよ、と思ったのは秘密だ





オレがしゃがんで頭抱えているから舐め腐ってなんの捻りもなく振り下ろさせるからできたことだ


油断していなかったらバッサリ切られていただろう




しかし、無力な人間の振りして敵を油断せて倒すのは楽しいな


某作品の銀髪の男の娘のエピソードを読んでからできた、死ぬまでにやっておきたいリストの一つが完了したぞ(笑)





「この野郎!」


そう言って日頃の沈着冷静な仮面を脱ぎ捨てて魔法士長の息子が魔法を出すために腕をオレに向けて来た


よっぽど騎士団長の息子がやられたことがショックだったんだろう




でも魔法士長の息子が魔法を放つ前にこちらから魔法を放ってやった


「アイスニードル」


約50cmほどのつららを出す魔法



ソルガニールでも、ゾルトラークでもよかったのかもしれん


だけどそれじゃ面白くないだろう


あえてつららを出して魔法士長の息子の口目掛けて飛ばしてやった





詠唱しているので口は開いている


だから見事に喉元までぶっ刺さったね




「ゲホッゲホ」


魔法士長の息子は貫かれた喉から出た自分の血が肺に入って溺れ死にそうになっていた




うん実にコスパが良い


最小の努力で呼吸困難で窒息死という最高の結果が得られた


余は満足じゃ(笑)






第一王子と男爵令嬢はあまりの凄惨な光景に固まっていた


そりゃそうだろう


公爵令嬢がここまでするとは誰も思っていなかったからな




だからと言って二人を見逃すという手はない


なにせ冤罪をぶっこんでくれちゃったからな


きっちり責任は取って貰わないと




「オレがいじめをしたって?」


そう言って男爵令嬢にゆっくりと一歩一歩近づいてやったら


「ひっ」


と言って王子の後ろに隠れようとした




でも王子の腕を抱えているので完全には隠れ切れていないんだよな


死の恐怖でそれが判らないからしい




お前の姿は丸っと全部お見通しだ!(笑)




「オレがいじめをしていないのオレが一番判っている、そんなオレを貶めようとする人間は死あるのみ」


そう言ってゆっくりと近づいてやった





恐怖に震える男爵令嬢は


「リカルドよ!リカルドがそう言ったのよ!」


と魔法士長の息子に罪を擦り付けやがった




さすが王子と騎士団長の息子と魔法士長の息子の三人を手玉にとったビッチ


やることが汚い




でも公爵令嬢の記憶では男爵令嬢が王子に向かって


「公爵令嬢からいじめられているです~」


とか胸を押し付けながら涙ながらに訴えているシーンがあった



有罪ギルティ



だから手加減する必要はないよな?





両手に炎を出して聞いてやった


「顔がいいか、身体がいいか、どちらか嫌な方を焼いてやろう」




「い、いや・・・」


男爵令嬢は首を左右に振りイヤイヤをしながら涙目になっている





王子やバカ息子達ならばそんな可憐な姿にほだされもしただろう


だがオレには通じないぞ





「あ、そう、じゃあ顔な」


食堂で定食を頼むくらいの軽さで選んでやった





そして男爵令嬢の顔目掛けて炎を投げつけてやった





「ぎゃあああああああああ!」


絶叫が聞こえた




ふっ、つまらぬものを焼いてしまった(笑)




取り巻きどころが、恋人までもやられたので第一王子様は茫然自失していたので


「『綸言汗の如し』と言います


王族が一度言ったことは取返すことができません


婚約破棄は王族の総意ということでいいですね」


と畳み込み無理やり


「・・・ああ・・」


と言う返事をもぎ取った





「現時点をもってエバではなく、第一王子と公爵令嬢であるわたくしとの婚約は王子有責で破棄されました


意義のあるものはこの場にて手を挙げよ!」


王子妃教育で教わったように王族の宣言を用いた略式の貴族裁判を行い、無理矢理婚約破棄を決定事項とした





戦時やどうしても中央と連絡がとれない時のために王族1名と貴族からなる臨時の裁判が国法として定められている


そしてその結果は後で覆すことはできない


なにせ王族の名を使っているのだ


国王陛下にだって覆すことはできない


それが法


・・・法を犯さないのなら好き勝手してもいいというのはなろう小説愛好者の常識だよね(笑)




めんどくさかったけどとりあえず断罪は回避したってことでいいよな?


もう帰ってもいいよな?




「すみません、お腹が痛いので帰っていいですか?」


そう教師に言って帰ることにした





もちろんこれも『死ぬまでに~』のやつだ


某作品を読んでから死ぬまでに一度はやりたいと常々思っていたんだが今回できて満足だ




え?


卒業式はどうするんだ?


知らないよ


後始末は誰かがするんじゃね?(笑)

なお主人公(名前出て来てないな(笑))の登場はこれで終わりです

次話からは後始末というか勝手気ままに振舞った主人公のせいで混乱している人達のざまあです

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