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9.光無線通信?-この戦場はもう無しにしてはくれないか-

全47話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 ――光無線通信?


 トリシャが驚くのは無理もない。それは敵から発せられていたからだ。その通信は国際的な規格で発せられていた。よくあるのは、降伏を迫ったり、逆に降伏を宣言する等の、敵と話さないといけない時に使用されるものだ。


「貴殿に提案がある」


 向こうの後衛はそう言ってきたのだ。


 そこで撃ち合いは一旦止まる。互いの前衛は既に満身創痍である。生きているのか、それとも……。


 そこへの通信。トリシャは上気していた自分を落ち着かせて、


「何用か?」


 と返す。すると向こうは武装を下げて、


「お互いに命令があっての事だと思う。そこで、この戦場はもう無しにしてはくれないか」


 と言うのだ。


「我々は敵勢力の殲滅を命じられている」


 とトリシャが返すと、


「我々も同じだ。この地を攻め落とすように言われてここまで来ている。だが、貴殿とて相方をこのままにしておくのはどうか、と思うのだが。もちろん私だってそうだ、相方が心配だ、だからここで休戦しないか?」


 と返って来る。


「条件は?」


 とトリシャが問うと、


「双方のパイロットを救護したのち、レイドライバーは爆破処理する。どの道こんな状態では持ち帰ってもこれだけの被弾だ、修理は不可能だろう。そして我々は一旦ブエタアレスまで撤退する。現在、我が方の艦隊もそこに退避しつつある。そちらも態勢を立て直せばいい、その上で戦うのであればこちらも応戦する。如何か」


 と来た。


 ――それは、一人では決められない……。


 トリシャには流石に艦隊指揮権がある訳ではない。もちろん、相手だってそこまでの意思決定権があって言っている訳ではないだろう。つまりは腹の探り合い、ある程度の見地に基づいた意見なのだろう。


 どちらにせよ、この場にいる人間で決められる事案ではないのだ。そして、双方の上官がどちらか一方でも[戦え]と言えばこの戦闘は続くのだ。相手も[味方を犠牲にした]という感覚があるのだろう。もちろんトリシャにだって[味方を犠牲にした]という感覚に陥っている最中だ。おそらく互いにこのまま戦闘をしても益は無いだろうというのは想像に難くない。


「上と話しても?」


 トリシャが聞く。


「もちろん、こちらも上と話す。お互い即決が出来ない立場なのは同じだろう。が、その前に互いの負傷者を何とかしないか?」


 向こうの声は少しだけ震えていた。トリシャの声も、また少しだけ震えている。


「そうね、差し当たって一時休戦、というところかしら」


 と返すと、


「そう受け取ってもらえればありがたい。もちろん上が決定するまでは一発も打たないと約束するし、約束願う」


 と返事が来る。


「もちろん、そちらが約束を守るのであれば、こちらはそれを反故にはしない」


 とトリシャもそう返事をする。


「では、これで一旦休戦を」


 そう言うのを最後に目の前の敵はコックピットのハッチを開けたのだ。


 ――そうね、レベッカもゼロシックスも心配だわ。


 トリシャも全周警戒をゼロツーに任せて、


「いい?」


 と聞く。


「もちろん」


 という答えと共にレイドライバーのリンクを切り、自分の躰になってハッチを開ける。


 とりあえずの戦闘は終息を見たのだ。


全47話予定です


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