45.カズの考えたレイドライバーの増産-それは……-
全47話です
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カズの考えたレイドライバーの増産。それは、余剰部品を使用してとりあえず二体組んで前線か、アルカテイルかに回そう、というものだ。当然、パイロットの問題が出てくるが、そこでの[無人機]という訳だ。
つまり、サブプロセッサー単独での運用を考えているという話だ。
「それは……」
アイザックが言葉を詰まらせる。それはそうだ、まずもってして、これは流石に上にお伺いを立てないといけない話だから。
「可能ですか?」
と聞けば、
「もちろん可能ですが」
と返って来る。
「では所長室を使います。結果はのちほど」
そう言ってカズは自室である所長室へと向かった。
そこで政府上層部と軍上層部、いわゆる[向こう側]と連絡を取る。それは直ぐに繋がり、
「きみから連絡を取って来るというのは、先日話した[レイドライバーの増産に力を入れていた]という話かな。それとも三五FDIや三八FIの話かな。近々そちらに増援として送るだろうと話したが」
と話してくるので、
「具体的なスケジュールを教えて頂きたく連絡をしました。その結果次第では、こちらからも一つ提案がありまして」
と言って返す。
――まずは具体的な話をしましょ。
「きみも知っての通り、レイドライバーという兵器は生産に時間がかかる。現存の兵器との互換性がまったくといっていいほど無いからな。なので急いではいるが、あと一か月はかかると見てもらったほうがいい。そこで三体引き渡せるだろう。もちろん、こちらの技術部ときみたちから伝えられた[改修済]の機体だ。それと原子力潜水艦もとりあえず二隻用意した」
と言ってきた。
[改修済]つまりは原子力潜水艦に搭載可能なレイドライバーである。
――おお[改修済]が三体とは。でもなぁ、パイロット候補は前倒しでいいけれど、サブプロセッサー候補がねぇ。あともうちょっとで三期生が上がって来るんだけど。
と思いつつも先にアイザックに話した[無人機]計画を伝えた。これには向こうも驚いていたようで、
「まさかきみから無人機の話が出るとはな。それはまた何故?」
「ご存じの通り、戦線は拡大しました。それは間違いのない話です。逆に言えば、帝国はそれだけの侵攻をしてもアルカテイルを攻防できる戦力を有している、と考えるべきでしょう。ならばこちらもレイドライバーの頭数をそろえる必要が出てきた、という訳です。頭数をそろえるのに性能は重要視しなくてもいいのかな、と。そこで、こちらで処分予定だった個体を回そうと思いまして」
――自分でも嫌になるよ。
そうカズは思うのだが、現実がそうさせてくれない。第一陣、第二陣とくれば第三陣の可能性を十分考慮しなければならないからだ。あの帝国が第二陣だけで済ませるはずがない。
「そう思ったのです。そしてこれは一つの実験でもあります」
と括る。向こうから反論が出ないのを確認してから、
「処分予定とはいえ、れっきとした自我のあるサブプロセッサーなのは間違いない話です。ですが[調律]してありません」
と来れば流石に、
「それは危険なのではないか?」
別の声が聞こえる。多分、軍関係者だろう。
しかし、カズはその疑問にも答えをちゃんと用意していた。
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