24.いつでも味方に救いの手を差し伸べられるとは限らない-私を罰してください-
全47話予定です
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「えっ、時計も使ったの?」
カズはそう尋ねた。その声はまるで[知っていたよ]と言わんばかりだ。
トリシャは素直にそれを認め、
「すみませんでした、ご主人様」
と謝った。
それに対してカズは、
「クリスといい、きみたちは……まぁ、それがきみたちの良さでもあるんだけどね。味方を見捨てない、それはたしかに素晴らしい事だ。美徳といっていい。だけどね、その美徳が時には仇となる場合があるというのも知っておいて欲しいんだ。いつでも味方に救いの手を差し伸べられるとは限らない」
とまで続けたあと、
「それに、今回は敵将校の提案を受け入れて、というのも頂けない。まぁ、向こうにしても何か考えさせられるものがあるのかも知れない。どうやら敵パイロットも十代の娘みたいだからね」
カズはあくまで物静かにそう言う。叱責するというよりは、どちらかというと言って聞かせる、そんな口調である。
トリシャはそれを黙って聞いていた。黙って聞いていたのには理由がある。それは、
――私を罰してください、ご主人様。
これからされるであろう[お仕置き]を期待して上気しているのだ。
ここにはレベッカもいる。そんな、人に見られている状況で[お仕置き]を待つ自分。とてつもなくみじめに感じる。と同時にとてつもなく恍惚にも感じるのだ。
――この会話を聞かれるなんて。あの娘はどう思っているのだろう。
そんなトリシャを知ってか知らずか、
「それから、無線機の無断使用。これはちょっと見過ごせない規則違反だ、その辺りは……分かってるよね?」
文字通りトリシャの[期待に沿った]答えが返って来る。
――あぁ、これで罰してもらえる。
「どんな罰でも受けます。だから、ゼロツーはおとがめなしにして貰えないでしょうか?」
トリシャはいつになく丁寧な口調で話しかける。
最近のトリシャは角が取れてきたのか、それとも依存度が増してきたのか、どちらにせよしおらしい態度を取る事が多くなった。カズの[ミーティング]にも不満一つ言わずに従い、どんな恥ずかしい事もやるようになった。その現場を他の隊員に見られたら、と思うと余計に興奮するのだろう。
そんなトリシャにカズは、
「そうだ、そうしよう。帰ってきたらクリスと一緒に[ミーティング]を受けてもらう。それがきみへの罰だ。まぁ、クリスにしてみればとばっちりなんだろうけど、彼女の事だ、きっと受け入れてくれると思うよ。そしてきみは自分の恥ずかしい姿を彼女に見せるんだ。[私はこんなに弱く恥ずかしい人間です、ご主人様の所有物なのでどんないう事も聞きます]と態度で示してもらおう。そしてクリスも同じ事をさせる。そうすればより[絆]が深まるかもしれないからね」
そう言われたトリシャは無言だった。だが、息遣いが荒い。興奮しているのは間違いないだろう。あれだけプライドが高かったトリシャだ、そんなあられもない姿を、言動を見られるのは想像に難くない。
だが、トリシャは、
「お願いします、ご主人様」
と今まで聞いた事のないようなしおらかな声でそう言ったのだ。
全47話予定です




