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21.過去の話その3-コアユニットが、私の母親?-

全47話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 そんなトリシャだが、ふとカズの顔が浮かぶ。


「なんで今あんたの顔が……」


 当時、確かにそう言った記憶がある。


 と同時に頬を涙が伝う。この頃にはトリシャはカズに対して好意のようなものを寄せるようになっていた。だが、自分のプライドとも呼べる自我がそれを良しとさせなかったのだ。


 しかしながら、そんな想い人が渡してくれた大切なメモリーチップ。それがどんな形であれ確かに伝わったのだ。


 ――自分の為にも、あんたの為にも生き残らないとね。


 本当はこのイレギュラーな潜入任務で心が折れかけていたのは事実である。あわただしい敵基地、それに戦闘機の離発着。バレてはいないと分かっているつもりでも[もしかしたら]が常に付きまとう。


 一向に撤退できる状況にはないこの状況は、この日々は一体どれだけ続くのか。


「あれ、止まらない」


 涙が、止まってくれないのだ。トリシャたちは当時二十歳ちょっとである。そんな娘たちが幼い頃から孤児院での異質な生活、それに厳しい戒律、さらには軍事教練から実戦に至るまでこなしてきたのだ。自分も犠牲にし、人も殺めた。レイドライバーの射撃である。時には当たった瞬間の[跡]まで見てきているのだ。それはどんなに心に蓋をしていても時にあふれるものである。


 トリシャは改めて、


 ――カズ、貴方の事が好きよ……。


 そう想ったのである。


 だが、この想いは胸にしまっておかなければならない。カズの周りにはクリスもレイリアもいる。二人とも彼の事を好いているのは、はた目から見ても明らかだ。そんなところに自分が割り込める場所はない。だからあんなに突っぱねた言い方をして、自分の心に蓋をして、見なかったことにして今までいたのに。


 当時はそう考えていた。


 だが、別の作戦でトリシャは重傷を負い、それに伴ってレイドライバーの秘密を知る事になる。


 トリシャはカズによって負傷したその場で手術を受け、一命はとりとめた。


 実はこの時手術をした麻酔がまだ効いていて、トリシャが眠っていると思った二人が話をしていた。


 そんな中で、


「先にクリスには話をしておいた方がいいな」


 そんなカズの声が聞こえた。


「その話というのは、今回のコアユニットの死亡と関係が?」


 クリスはこういう時、勘がよく働く。


「そう、きみの母親もトリシャの母親であるコアユニットも死亡した。このままでは今回被弾したレイドライバーは二体とも運用は困難だ。そこで、これからの事をまずきみに話をしようと思って」


 ――コアユニットが、私の母親?


 カズがそう言うと、


「そんな、私の事を考えてくださってありがとうございます。ですが、貴方についていくと、あの時決めたのです、ご主人様。この心も躰も何なりとお使いくださいまし」


 クリスの想い人、それはカズなのだろう。それはトリシャが見ていても分かる話だ。ミラール攻略作戦終了時、カズはは[オレの副官、という立場になった。きみたちより上の立場だ、命令権もある]と言っていた。それはカズとクリスの間に何かあった、と思わせるには十分な情報だ。


「きみは[こちら側]の人間だ、あらかじめのスケジュールを伝えておくね。このあと研究所に行ってオペを受けてもらう。それは首の後ろ辺りに自分の体と、レイドライバーの体を動かす切り替え機のようなものを埋め込むんだ。そして、サブプロセッサーとは直接接続する。つまり第二世代への改修だ」


 ――改修? 私の母親は生きて、いた?


「つまり、パイロットが直接操縦する、と?」


「その通り。で、問題はサブプロセッサーなんだ。このシステムに改修するとなるとサブプロセッサーは女性でないといけない、つまり」


「弟とはここでお別れ、という事なんですね。トリシャさんの父親も」


 と言ったところでクリスの言葉が詰まる。


 ――私の父親はまだ生きているの?


「弟はどうなるのでしょうか?」


 そう質問を返す。


「三五Fに搭載されて三五FDIになる予定だ。つまり、最新鋭機だよ。ゼロツーのサブプロセッサーである、トリシャの父親も同じように戦闘機に乗せられる」


全47話予定です


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