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2.どう見ます?-やっぱり遮蔽はない、か-

全47話予定です


私は挿絵は描けませんが曲ならなんとか作れたりします

という訳で、現在連載しているこの小説に曲を付けてみました


曲名は小説と同名の「レイドライバー」です

もしよろしければ一度聴いてみてください


▼Youtubeのリンクはこちら▼

https://youtu.be/N4ueViHp3SM



ちなみに他にもオリジナル曲をアップしています。もしもご興味がありましたら、ゼヒ聴いてみてください

▼以下が私のYoutubeチャンネルになります▼

https://youtube.com/@JohnD_72



曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 その後の海での戦闘は、無かった。


 向こうもミサイル艦三隻の中破とフリゲート艦の中破、それに空母甲板への被弾が大きかったのだろう、追撃はなかった。こちらはいつでも戦闘の継続を、と思っていたので、これはある意味[助かった]と言えるだろう。


 実際のところは、敵の残存兵力からすれば[痛み分け]が一番と判断したのだろう。何せ向こうは無傷なのが、イージス艦一隻とフリゲート艦三隻だけなのだから。まぁ、同盟連合としても無傷でいられたのはミサイル艦が三隻にフリゲート艦が二隻だけなのだが。


 しかし、イージス艦の撃沈はこちらにとってかなり響いた結果となった。向こうのイージスシステムは健在、更に単独行動も執れるとなれば、いくらミサイル艦をすべて中破させたとはいえ安心はできない。


 中破、それはちゃんとしたドッグに入れれば修理が可能な事を意味している。


 それに向こうはブエタアレスを占拠している。ラ・プラダ海軍基地も占拠済みだ。となれば必然的にそこへ入港となるのだろう。しかし、占拠したての海軍基地で果たして修理が可能なものかどうか。第一、修理しようにも部品がない。修理できるとすれば、同盟連合と同じく飛行甲板くらいのものだろう。


「彼はよくやってくれた、ひとまずは彼が稼いでくれた時間で少しでも立て直そう」


 ジャクソンは部下にそう言って甲板の修理を急がせた。


 問題は、陸上部隊である。もちろん機械化部隊も連れてきてはいる。しかし主力なのはやはりレイドライバーなのだ。


 そのレイドライバー戦は、まだ無かった。


 敵レイドライバーが隣街まで来ている、そういう情報は降りてきた。しかしそこから動こうとしないのである。機械化部隊も連れてきていないという。


「どう見ます?」


 レベッカがトリシャに聞く。今回、機械化部隊含めでレイドライバーの、陸上部隊の指揮官はトリシャなのだ。


「おそらく出てくるのを待っているんでしょうね。向こうの地形は?」


 ゼロツーが地形データを出してくる。


「やっぱり遮蔽はない、か」


 トリシャは悩んでいた。このまま前進すべきか、それとも誘い出すべきか。だが、誘い出しはほぼ不可能だろう。もし誘い出せているのであれば、とうの昔に進軍してきているはずだ、それが隣街まで来てそこから動こうとしない。


 ――こんな時、指示してくれる男性ひとがいれば。


 トリシャはふとそう思う。


 今まではカズが全体の命令を出していた。レイリアはこうして、クリスはあーして、そしてトリシャはそっちにといった具合に指示を出すのだ。もちろんトリシャとて責任が取りたくないという訳ではない。ただ、いつもの戦闘と違うというこの状況が心細いのと[最悪の状態]を想定して身震いしてしまうのだ。


「でも、このまま黙っている訳にもいかないようね。空は空、海は海で戦ったんだ、私たちもベストを尽くしましょう。機械化部隊はこのまま待機を、私たちだけで出る」


 ――いい加減、腹をくくらないと。でも彼女を盾になんて……。


 トリシャは、自分だけが犠牲になるのであればまだ納得できる。しかしカズの下した命令は[仲間を犠牲にしてでもお前はオレの元に帰ってこい]というものだ。


 それに対してトリシャは、


[分かりました、ご主人様]


 確かにそう答えた。その時、トリシャは緊張と、まだ見ぬ戦闘結果への自責の念と、若干の上気を感じていた。


 自室に帰ってから[何故私は興奮してしまったのだろう]と自問した。


 …………


 それはまるでクリスの時と同じだ。クリスは部下に瀕死の重傷を負わせてしまったという自責が転じて[もっと私を罵ってほしい]と感じてしまった。


 …………


 もちろんこれはトリシャが知る由もないが、おそらくはそれと同類の感覚なのだろう。


 クリスの時は不幸にしてマリアーナが重傷を負ったが、今回はもっとタチが悪い。何せ[味方を盾にしていい]と言われているのだ。それはつまり[見殺しにしていい]と言っているようなものなのだから。


 ――もし私のせいであの娘が死んだらみんなは何て言うだろうか。


 そう考えると上気してしまうのだ。


 今までのトリシャならそんな事は決して無かっただろうと言える。他人の生き死ににはそれほど関心がなかった。だからエルミダス防衛任務の際に、自分のミスで味方の機械化部隊に損耗が出た時も、すまないという気持ちになりこそすれ、心のどこかで[ああ、また人が死んだのか]くらいにしか思わなかったのだから。


 そういう意味でもカズに従属したというのが大きいのだろう。トリシャは明らかに変化したのだ。


全47話予定です


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