14.これは……-御免なさい、ごめ、御免なさい……-
全47話予定です
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一方の帝国である。こちらからの呼びかけに対して、同盟連合のレイドライバーは停戦を受け入れてくれ、戦闘は終息を見たのを確認してからシュエメイはライラの機体の元へと自分の機体を持っていく。
見立て通り、案の定コックピット周りはボコボコだ。当然、外側からのイジェクトボタンなど動くはずがない。なのでレイドライバーの力を使ってコックピットを無理やり開かせる。
――これは……。
思わず言葉に詰まる。パイロットは腕を損傷していた。どうやら弾を喰らった際に左側に集中したようで、左腕が無くなっている。あとは実際に見てみなければ分からない。
シュエメイは機体を立ち膝にしてコックピットから下に降りてライラの元へと駆け寄る。
「大丈夫ですか、ライラ」
と語りかけると、
「ああ、シュエメイ。あなたは無事だったのデスね、良かった。これは私が望んだ事だよ」
そうライラは告げた。
そして、
「こうなるのはあらかじめ予想していたのデス。私が前に出ればいい、それだけの事なのだデスよ」
そんなライラに、
「御免なさい、ごめ、御免なさい……」
シュエメイは泣いて謝る事しか出来なかった。いくら事前に命令があったとはいえ、自分が招いた事態だ。事実、ライラは左肩少しのところから先の腕がなくなっている。それは他でもないシュエメイのせいであろう。
シュエメイは謝りながらも応急手当てをしていく。所見では左腕だけで済みそうな感じである。
「胸は? 脚は? 他にどこか痛いところは?」
涙目のままでライラに聞く。本人が[あとは大丈夫だと思いマスが]と答えたのを確認してから、
「私の機体に乗せます。肩を貸します、動けそうですか?」
そう尋ねながらシュエメイは肩を貸す。
「あぁ、ありがとう」
そんな一言にまたシュエメイは泣いてしまう。
――こんな、こんな私が[ありがとう]だなんて。貴方が被弾していくうちに段々と恍惚感に酔っていたというのに。私は何て最低な人間なのだろう。
だがいつまで泣いていても仕方がない、ここが自室なら思いっきり後悔や懺悔、そして上気していればいいのだが、ここは戦場、さらに敵は停戦したとはいえ目と鼻の先にいる。手早く自分の機体にライラを乗せる。帝国のレイドライバーもコックピット内は若干広めに設計されている。ちょうど人一人ぐらいは乗せられるだけの余裕があるし、補助席も用意されているのだ。これは万一にも敵の捕虜を捕らえた時に乗せる為、と聞かされていた。
[もし複数いた場合はどうするのですか]
シュエメイはそう尋ねた記憶がある。その答えは[重要な一人を除いて射殺]という、なかなかのものだった。
――まさかその席が味方を乗せる為に使われるなんて。
ライラに鎮静剤を打ち[少し眠ってらして]と言って相手が眠ったのを確認したところで通信が入っているとコンピューターに告げられる。
「敵将校に告ぐ、こちらの準備は終わった。お互いに爆破処理しておしまい、それでいいのね?」
向こうはそう尋ねていている。
――こればかりは仕方がない、一体だけでも帰還できれば。
シュエメイは少し冷静になって、
「それで構わない。では爆破する」
「了解した、こちらも爆破する」
お互いが爆破処理を施した。
全47話予定です