表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

永遠なう

作者: まさゆ

 昨日という日を

 雑に過ごしたせいで

 今日という日が

 いまいちパッとしないということが

 まま、ありまして


 それはたとえば

 昨日、宿題をやらなかったとか

 大事な仕事を後回しにしたとか

 そっけない言葉を

 友だちにぶつけてしまったとか


 それとも単純に夜更かししちゃったとか


 考えればたくさんあるのですが

 それら〝昨日の負債たち〟が

 重いものから軽いものまで

 今、という時になって

 復讐してくるわけです


 急に石をぶつけられたような

 意外な念に打たれて

 一瞬、ムカッとくるのですが

 自業自得だよな……と

 思い直して

 粛々と清算いたします


 ところで

 突然で恐縮ですが

 次のように思うのです


 覚醒は生

 眠りは死


 昼は生

 夜は死


 私は日々、

 朝に目を覚まし、

 夜に目をつむる


 太陽とともに生まれ、

 月とともに死に、

 再び太陽がのぼれば、

 私は死から蘇り、

 生きる


 これから始まる今日という日は生であり

 過ぎ去ってしまった昨日という日は死である


 天体の運行と

 時空の変転の中で

 刻々と生と死を繰り返しているのではないか、と


 肉体の死と生も

 自然現象という面からみれば

 ありふれた

 当たり前のものなのではないか、と

 思うのです


 とすると

 過去、つまり

 無限の〝昨日たち〟が死であり

 未来、つまり

 無限の〝明日たち〟は生である


 無限の〝昨日たち〟のなかで

 私は無限の負債をつくり、

 無限の〝明日たち〟のなかで

 私は無限の清算を続ける


 自分でつくった業を

 自分で得る、のだから

 まさに自業自得なわけです


 まったく身に覚えのない負債を

 負わされてるなあ、と思うことも

 あるじゃないですか


 たとえば私なんかは

 なぜこんなにも見た目が醜くて

 お金がなく

 頭が悪いのだろう、

 これはなんかの罰なのか? と

 嘆くことがあります


 もしかしたらそれは

 永遠に続く

 無限の〝昨日たち〟のどこかで

 見知らぬ私がつくった重たい負債があって

 その清算のために

 たった今、

 報いを受けている

 ということなのかもしれません


 もちろん

 万が一そうだとしても

 納得できるものではないのですが……


 あ、

 たった今!


 さきほど、

〝たった今〟のお話をしましたが

 では、〝今〟とは何だろう?


 過去と未来の境い目であり接点

 死と生の境い目であり接点


 過去でもあり未来でもあり

 死でもあり生でもありながら

 そのどれでもない〝今〟とは?


 もはや

 思想や哲学や宗教のテリトリーですね

 少々、私も疲れて参りました


 負債をせっせと清算しながら

 同時に新しい負債をつくり

 せっせと生きながら

 同時に新鮮な死へと近づいていく今


 負債をつくらずに

 清算だけするのは

 恐らく不可能でしょう


 それは

 死なずに生きることが

 不可能なのと同じだと思います


 以上のように考えると

 無条件で〝今〟というものを祝福することは

 とてもできません


 少なくとも〝今〟の私は、恐れています


 願わくば

〝今〟が幸福であることを


 過去だけの幸福も

 未来だけの幸福も

 私は欲しくありません


 いつも今が幸せでありたい


 不可能でしょうか?

 でも、諦めたくありません


 そのためにどうすれば良いのか

 誰か教えてください


 いちばん肝心なそこのところは

 どうにも分からないのです……


 どなたかご存知でしょうか?

 ご存知の方はいらっしゃいますか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ