表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Back world  作者: ST
5/5

第5話 特異

電車の踏切の音が聞こえる。俺は線路の上に立ち、誰もいない野原をぼーっと眺める。踏切の音は次第に大きくなり、頭に響き始める。照りつけるような夏の日差し。セミの妬ましい鳴き声。

「生きてても変わらないよ、結局。」

____________________________________

...!趣味の悪い夢。異世界に来てまでこんなこと思い出すなんて。過ぎ去った前世の記憶は17になった今でも脳内にこびりついてる。

「よく眠れたか」「はい、お陰様で。」

エーレブルー騎士団の治療所で横になっていた俺はゆっくりと腰をあげた。西洋風の建造物は昔から関心があった。

「やけに落ち着いてるな。」「そうですか?」

俺も自分が怖い。父の死、王国を滅ぼし、謎の国へ来る。異世界を何かのアニメのように捉えて平静を保っている自分は前世の"自分"とは異なるのではないか。

「君の所在は聞いている。中々に辛い人生だな。」

「孤児院の話ですか?」

「あぁ、寝てる間に特異持ちに一通りな。大方3年分くらいの精度だが。」

そんな特異もあるのか。孤児院にあった本の知識だけじゃあまり分かんないもんだな。

「一応聞いとくが、ルーセル。お前は...人間だよな?」

…そうですが?」

さっきまでのムードが凍りつく。俺は王国を滅亡させた元凶なのだ。

「ザックさん、俺世界のことあんま分からなくて」

話題転換のつもりだ。険悪さを消したザックは語りだした。

「教えてやろう。この世界、back worldの仕組みってやつを。」

____________________________________

この世界には大きく分けて3つの種族がいる。

人族、亜人族、魔族。元来、三種族は仲が良かったがあるきっかけから対立していくようになった。

なぜかって?"特異"が発現し始めたからだよ。

さらに種族によってその数は変わっていた。人族は1つ、亜人族は0、そして魔族は...2つだ。

____________________________________

ヒューマニストの傭兵に捕まった意味をやっと理解できた。同時に自分が置かれている状況も。

「つまり、ザックさんには俺が魔族に見えると。」

「あぁ、しかし、子供は両親どちらか一方の特異を受け取るのだが、ごく稀にどちらとも受け取るという噂を聞いたことがある。まぁ、いずれにしろ悪魔の子と言われて意味嫌われるのだがな。」

父が俺を家から出さなかったのはそれが理由なのか?だとしたら、父の特異は"結界"か。

「俺、特異を見て貰ったとき、2つあったんです。」 「あぁ、知っている。」「俺の特異が何かも?」 「だから困惑しているんだ。」

そうだよな。俺の特異"模倣"と"形態進化"は父の特異とは全くの別物。怪しいに決まってる。

「これは1つの仮説なのだが。」

ザックが沈黙を破った。

「君の親は他にいるんじゃないか。君が初めに見たのは本当の父親ではないということだ。」

話を踏まえればその結論に行きつくのが妥当だ。実際、生体を自覚したのは既に2カ月くらいの赤子だった。あの男は俺を誘拐して育てたのか?

「…とすると、特異に模倣もしくは形態進化を宿す家系を探せば親が見つかるということですね。」

「模倣なら手掛かりがないわけではない、」

「本当ですか!?」

かくして、一先ずは親探しが俺の目標となった。

なんだか、ザックの言い方に妙な違和感を感じるが...

____________________________________


一章簡潔です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ