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07.敵?味方?

 《クラシルの部屋》

 ライニアと女の子が仲良く話してる間に自分の部屋に来た。

 なんで来たのかっていったら、なんとなくかな。

 だって、部屋にいても二人で話してるから暇だし、下手に外に出ていても何されるかわかんないし。

 だったら久しぶりに自分の部屋に行ってみようかなって思ったんだよね。

 

 さーてついたは良いけど、なんか緊張するな。

 自分の部屋なのに何やってんだろ。

 なんか嫌な感じがする。

 でも、まあたぶん杞憂に終わるでしょ。

 ってことで、


 ガチャッ


 入りますか。

 ……ん?

 なんか変な感覚が?

 前来た時はこんな感覚にならなかったんだけど……

 うーーん。なんか、生活感がある気がする。

 

 ………ホコリがない?


 私もうかれこれ一ヶ月以上この部屋で生活してないし、そんなはずないんだけどな。

 

 それから私は色々と調べてみた。

 ゴミ箱の中や、タンスの中、棚の中などあらゆるところを調べた。

 その結果、

 

  この部屋で誰かが生活している


 ということがわかった。

 しかも一人じゃない。

 何人もいる。

 

 ゴミ箱の中の中には一人では絶対に使わないような量が入っていたし、タンスの中には私用のものはライニアの部屋に持っていったからもちろんこの部屋にはないんだけど、その代わりに女物の服と男物の服が両方あった。また、食器棚の中には私が使ったことのない高そうな食器が入っていた。

 この他にも証拠となるものは大量にあった。


 これはおかしい。

 おかしいっていうか、する必要のないことをわざわざされているこの状況がおかしい。

 高そうな食器があることから多分貴族が占領してたんじゃないかって考えられはするけど、わざわざ私の部屋に来ても別に何も得られることはないはずだ。

 なのに私の部屋にいた。

 これは……どういうことだ?


 もやもやした気持ちの中私はライニアの部屋の中に帰った。


《ライニアの部屋》


 「自己紹介よろしくおねがいします。」

 「は、はい。えっと、サリス・ニーダです。よろしくおねがいします。」

 

 部屋に帰ると女の子に自己紹介された。

 

 「え?あ、よろしく。知ってると思うけど、クラシルです。よろしく。」

 

 一応挨拶は返したけど、………話が続かない。

 いつぞやの私とライニアの初対面みたいな感じになってる。

 

 「えーっと、失礼かもしれないんだけどさ、どうしてサリスはいじめられてたの?」

 

 私の疑問だった。

 今までの標的だった私のいじめを一時的ではあるけど、やめてまでサリスをいじめなければならない理由が。

 

 「えーっとですね、何から話せば良いのやら。

  まあ、順を追って説明していきますとですね、まず、親の職業から説明していきましょうか。

  僕の親は、貴族の専属スパイみたいな職だったんですよ。」

 

 だった?

 ちょっとひっかかる言い方だけど、今は気にしないでおこう。


 「それでですね、親がスパイとしてここからはだいぶ遠い【グリッシュ領】に行ったんですよ。

  この貴族は悪い噂が経っていて、当主のシュリング・グリッシュは他の貴族から要注意人物に指定され

 ていた。

  そこで、親が任務を失敗して急いで仕えていた貴族のもとに帰ってきたんですよ。

  で、そしたら貴族の人の顔に泥を塗ったっていうことでスパイをクビになったんですよ。

  そしたらその領地のご子息の方がその情報を広めて、あんな状況になったというわけです。」

 

 んー、別にサリスが悪いわけではないってことはわかるんだけど、わかるんだけどなんか胸に引っかかりができる。

 都合良すぎっていうか、丁度私達が委員会を発足するタイミングでサリスの親が失敗してサリスがいじめられるってなんかおかしくないか?

 ライニアの方を見るとやはり複雑な顔をしていた。

 

 まあ多分考えすぎだとは思うけど。

 新しいことを始めたから敏感になっちゃってるんだろう。

 こんなにわかりやすく伏線っぽいものを私が貼りまくるわけないじゃないか、はっはっは、はっ、は。多分。

 

 「どうでしたか?私のいじめられるまでの経緯。」

 「どうでしたか?って。別になんともないけど……」

 

 前言撤回、やっぱ怪しすぎる。

 言い方とか仕草とか色々と。


−−−−−30分後−−−−−


 そして夜も更け、ベランダでライニアとふたりきりになった。

 

 「ライニア、サリスのことどう思う?」

 「うーん。なんとも言えません。怪しいと言われれば怪しいですけど、二人っきりで話した時はそんなこ 

 となかったんです。

  だからなにか隠していることはあると思いますが、私達に害のあることはないと思います。」

 「そう…」

 「どうかしたのですか?」

 

 私はさっきの部屋の状況を話した。


 「そうだったんですか。それなら確かに疑ってしまうのは仕方ないですね……。

  でも、そろそろクラシルさんは人を信じるってことを覚えたほうが良いと思いますよ。

  じゃないと、みんなが敵に見えて来ちゃいますから。

  まあ、まだ信じられる人がほとんどいない私が言うのもなんですが。」

 

 ライニアは優しい笑顔で言った。 


 確かに最近はいじめのレベルも上がってきたしちょっと疲れてたのかも。

 気をつけよ。

 

 そう満点の星空を見ながら思った。

 

 

  

 

 

 

 

 

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