02.学園の真実と新たな出会い
−−−−−次の日−−−−−
うーん、どうしたものか。
あの学校でいじめが起こっていた。
いじめが起こるレベルの学校って事は絶対に私が行く頃にもいじめは起きる。
いじめってそれだけ蔓延性も高く中毒性も高いから。
それは私が一番良く知っている。
一番は行かなければ良いんだけど、それじゃ前世と同じ。
今世はしっかり生きようって決めたんだから、学校に行かないのはその誓いに反する。
うーーん。
とりあえず情報を集めよう。
情報がないと今後の方針も何も決められない。
幸いこの世界の言語は私読めるしなんとかなるでしょ。
でもまだ筋力発達してないし、今は静かにしてよう。
−−−−−半年後−−−−−
「見て、クラシルが立ってる!」
「本当だ、すごいぞクラシル。」
へへーん。この半年の間ずっと筋力トレーニングしてて良かった。
てか、なんか喜びかたのテンプレみたいな反応しないでくれ。
私頑張ったんだからもっと違う言葉で褒めてくれ。
まあ別に、こんなことしなくても別にいつかは立てるんだから、しなくても良いかもしれない。
だけど、いじめっていう単語に私が過剰に敏感してしまう。
いち早く情報を知って安心したい。
よし、それじゃ親がどっか行ったら書庫でも行っていろいろ本を読み漁ってみますか。
「それじゃ私はそろそろ朝食の準備をしてきますね。」
「そうだなそれじゃ俺も狩りに行く準備をするか。」
おぉっ、思ったより早くどこかへ行ってくれるみたいだ。
ラッキー
それじゃ私も動いて行きますかね。
《書庫》
うーん、どれから読むか。
書庫の中には数百冊くらいの本があった。
普通にすごい。
んー、ん?
そこには、【グレイスタ学園の実態】という記事があった。
確かここって私が行く学校だったはず。
よしあれ読もう。
幸い本は棚の一番下の段にあったから私でもすぐ取れた。
それじゃ読みますかね。
えーっと?なにが書いてあるんですかね?
そんな軽い気持ちで取ったこの本には、私にとってとても不快になる内容が書かれていた。
別に本の表現とかに不快になったわけじゃない。
この本の作者は、元グレイスタ学園の教師だったらしい。
そして、この本には、グレイスタ学園の闇の部分が細かく書かれていた。
そしてこの本の内容のいじめに関係あるところだけを要約するとこんなかんじ。
・いじめが頻繁に起こっている。
・いじめの主犯は、貴族たち
・いじめの被害者は、中級家庭
・中流家庭の生徒の半数がいじめに合う
・先生もいじめに加担している
・先生が注意したら貴族の権力で全てなかったことになり、その先生はもう学校にはいられなくなる。
・貧困家庭へのいじめはほとんどない。
………えっと、とりあえず私は今世でもいじめにあいそうです。はい。
しかも、もうこんなのいじめやり放題じゃん。
いじめに親の権力が加わるだけでこんなに大変なことになるのか。
でも、なんで貧困家庭へのいじめはほとんどないんだ?
もしかして貧困家庭へは圧力で、もう完全に貴族の仲間になっちゃってる?
ということは?
私は急いである部分を探した。
……あった。
私が探していたのは、生徒の家庭の階級の様子だ。
………やばい。
これを見ると
貴族 10%
中流家庭 70%
貧困家庭 20%
三人に一人はいじめっ子ってことになる。
地球でも普通、いじめっ子ってひと1クラス40人だとしても多くて五人くらいだぞ。
まあ、貧困家庭は無理やり従わされてるってことにしても、10人に1人はいじめっ子ってことでしょ?
これ、地球よりは少ないけど、権力とか考えたら地球の数倍きつい。
しかも、私みたいな性格の人間なんていじめの格好の標的になってしまう。
ページを読み進めていくと、いじめとは関係ないページにこんなことが書かれていた。
学校の教師も貴族とグルで、みんな弱みを握られて脅されている。と。
ってことは、何?
クラスの最大三分の一がいじめっ子で、そのうえ教師もグルで大人にも頼れない。ってこと?
どんな無理ゲーだよ。
人生ベリーハードモードかよ。
これは……どうする?
もう、どうしようもなくね?
まあ、入学はいつかわからないけど、まだまだ時間はある。
その間に準備はしておこう。
−−−−−7年後−−−−−
この7年、何も準備できなかった。
まあ正しくは最低限の準備はだけどね。
言い訳させてほしい。
だって、まだ私七歳だよ、だからそこまで行動範囲が広くないんだよ。
でもその代わり、成長してからじゃなかなか手に入れれないものを3つ手に入れた。
1つ目は姿勢の矯正。
これは舐められないためにとても大切。
姿勢だけで、人間の印象って180°変わるって偉い人がいってたしね。
2つ目に、特技を作った。
なにか特技があるってだけで、一つ他の人に勝てる物ができる。
まあ、それ以上の技術を持つ人もいるだろうけど、そんな人はあんまりいないはず。
ちなみに、私は読書。
これが効果があるのかはわからない。
むしろ、逆効果になる可能性もある。
でも、ないよりはマシかと思った。
ていうか、学園についての知識を得ようとしてたら勝手に読書力がついた。
今じゃ、ほとんどの物語は読める。
最後は今から行う友達作り。
「いらっしゃい。あがってあがって」
母親がそう言うと、一人の少女とその母親らしき人が入ってきた。
少女とその母親は、白髪で美人。
特に少女はとてもかわいい。
どうやら、私の母親と少女の母親は昔からの親友らしい。
それで、今日は自分たちの子供のお披露目会?みたいのをするらしい。
よくわかんないけど。
「私達は、少し話をしてるから。クラシルたちは一緒に子供部屋で遊んでなさい。」
私はうなずくと、少女の手を引き自分の部屋に行った。
そして、部屋に入るとまず自己紹介(名前だけ)をした。
「はじめまして。クラシル・ジェルダーです。あ、あなたは?」
「え、えっと、ライニア・ソロリスです。よ、よろしくおねがいします。」
………話が続かない。
コミュ障舐めんな!
それからも無言の時間がしばらく続いた。
先にその沈黙を破ったのは、ライニアだった。
「あ、あの。私の勘違いだったらごめんなさい。えっと、クラシルさん、なにかに悩んでるようにに見えて。」
え?あ、そうかも。
ここ七年間は、いかにいじめを回避するかを考えてたからそりゃ疲れるわな。
本来体験するはずだったことも、体験せずにずっとここまで来たんだから。
「え、そう?ごめんなさいね。今度から顔に出さないようにしないと」
私がそう言うと、ライニアは食い気味にこういった。
「違います。そうじゃないんです。クラシルさん、私には何をやってるのかはわかりませんが、とても必死な感じがして。なにかあるんだったら、私に話してもらえませんか?」
ライニアがそういうと、不思議と嫌な気分にならず、私は転生したことやそれにつながるような内容を言わずに、今までのことを大雑把に話した。
「あの一つ良いですか?」
ライニアがそう言うとこういった。
「私ここまでの話を聞いて思ったんですけど、どうしてクラシルさんそんなに頑張ってるんですか?悪いのは、貴族なはずなのに。」
それを聞いてつい大きな声を出してしまった。
「それが出来ないからこんな事やってるの。あなたに何がわかるの?いじめられる人の気持ちなんて?わからないよね!わからないくせに、わからないくせにわかったようなことを言わないでよ。そういうのが一番迷惑なの!」
ここまで言い終わって、私は後悔した。
七歳の子供になにもここまで強く言う必要はなかったのではないかと。
でも、ライニアはそんな言葉をものともせず言葉を続けた。
「答えて下さい。なぜあなたはそこまで頑張る必要があるんですか?」
「え?」
「答えて下さい」
ライニアの真剣な表情に、私がたじろぎそうになった。
「なぜって。そりゃ、いじめられたくないからよ」
「それですよ。なんでクラシルさんは悪くないのにいろんなことを我慢してるんですか。クラシルさんの過去にどんなことがあったのかは知りません。でもどうせなら、私達二人で貴族たちをギャフンといわせてやりましょうよ。」
初めてライニアが笑顔で言った。
そしてその言葉を聞くと、私は泣いてしまった。
「えっ?す、すいません。少し、同年代の女の子と話すのが嬉しくて。本当に。」
「違う。違うの。今まで、私は一人で、孤独でただただ自分を責めながら生きてきたから。嬉しくて。」
そんな私の言葉を聞くとをライニアは優しく背中を擦ってくれた。
私の泣き声を聞いた母親がくるまで。
そして私は確信した。
ライニアは生涯の親友となると。