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ひとりごと

作者: 田島 学

「いつからこんな風になったのか分からないんです。

きっと周りから見たら幸せなはずなんです。

でも、僕はそれを感じることが出来ない。

幸せが分からないのか、それとも知ったつもりになっていたのか。

それすらも分からないんです。

『愛する人の大切さは、失って初めて気づくもの』

まったくその通りだと思います。

なんで、僕は愛する人を大切に出来ないのか?

なぜ優しい言葉を掛けてあげられないのだろう?

気づけばそんな風に自分を質問攻めにしています。

きっかけがなかったと言えば嘘になります。

でも、それだけが全てでは無いことも知っています。


きっと僕に原因があるのでしょうね。

きっとそうでしょう。

変わりたいと思ってはいるんですが、この呪縛からなかなか抜け出せないんです。

はたから見れば、そんなの簡単だと言うでしょう。

だって、自分を変えれば良いのだから。

ただ、話はそう簡単じゃないんです。

ひねくれ者の僕が、そう簡単に変われる訳がない。

変わりたいけど、変わりたくもない。

そんな矛盾した気持ちが綱引きをしているんです。

こんな自分は嫌いだけど、だからと言って変わったら好きになれるかは疑問です。


すみません、こんな話誰も興味ないですよね。

僕だって、こんな話をされたら、きっとそう思うので軽蔑なんかしません。

女と男って、きっと分かり合えないと思うんです。

だからと言って、男同士が分かり合えるってわけじゃないですよ。

あくまでどちらかというと、という話です。

男女の関係を例えるなら、違う宗教を信じている人同士。

すみません、人間世界をまたその中で例えるなんて、余計分からないですよね。

"利己的な遺伝子"という本をご存じですか?

その著者がいうことには、男と女では行動原理が違うらしいです。

子供が出来ると、男が他の女と浮気してしまうのも遺伝子が関係しているのだとか。

遺伝子のせいにして、浮気しても良いだなんて言ってるわけじゃないですよ。

言いたいことは、男女では考え方や行動原理がそもそも違うっていうこと。

だから分かり合えない。それは仕方がないことかもしれない。

そうだと言っても、分かろうとしないのは違うと思うんです。

分かり合おうとしない世界は、きっと殺伐としていると思うし。

だから理解しようと努力するのは大切ですよね。

出来るかどうかは置いておいて。


妻を愛して無いなんて事は無いです。

背も高くて綺麗だし、僕には勿体ないくらいの人だって事は分かってるんです。

ただ、何というか慣れてしまうというか。

皆さんも経験ありませんか?

どれだけ可愛い彼女が出来たとしても、数ヶ月も経てば、それに慣れてしまって他の子に目がうつる。

良くも悪くも、環境に慣れてしまう。

それが人間なんでしょうね。

そう考えると、無理にでも自分を変えてしまえば良いことになる。

そしてその状態を続ければ、それが当たり前になる。

最初は難しいと思うけど、継続すればなんて事は無いのかも知れません。


どうやったら僕は変われるんでしょうか?

というか変わらないといけないんでしょうか?

すみません、そんなの奥さんに聞けよ。

そう言いたいのですよね。分かっています。

でも、そんなこと聞いたら奥さんに嫌われませんか?

とうとうおかしくなってしまったと、病院に連れていかれるかもしれない。

それだったらまだマシかもしれない。

愛想をつかされて、離婚ってこともあるかも。

やっぱり出来ません。そんなこと怖くて聞けません。


あなたは奥さんを愛していますか?

急にすみません。言わずもがなですよね。

こんな事、聞くのが野暮ですよね。

でも、思っているだけじゃ伝わらないみたいです。

そんなの雰囲気で察しろと思っていますよね?

でも、それだけじゃあ奥さんには伝わらない。

やっぱり、言葉にしないと。

本当、言葉にするのって難しいですよね?

分かり合うのって難しいですよね?

どうしても人間って分かったつもりになっちゃう。

あの人はこういう人だ。

だから苦手だとか好きだとか。

でも、その人が見せる顔ってごく一部なわけで。

その一部を見て、全てを分かった気になってる。

木を見て、森を見た気になっている。

本当は何も分かってなどいないのに。

すみません、偉そうな事言って。

僕も何一つ分かっていないんで。

皆さんと一緒なんで。


人生って何なんでしょうね?

すみません、唐突過ぎますね。

こんな風に考えが方々に飛んでしまうんです。

落ち着きがないって良く言われます。

良い大人なんですけどね。

人生って本当、何なんでしょうね?

産まれたかと思うと、80年程で死んでいく。

子供を残す人だっているし、そうではない人も。

お金持ちになれる人もいるし、なれない人だって。

どっちが偉いとか、優劣はつけれないと思うんです。

どっちがより幸せな人生を送ったなんて、周りが決めることじゃないですし。

本人が判断するしか無いわけで。

その人の感じ方もそれぞれ違いますよね。

貧乏でも、幸せだって思う人だっているし。

その逆だって、もちろんいる。

幸せは、粘土みたいに形を変えるんですね。

それは時間とともに、変化していく。

僕達の心が定まらず、揺らぎ続けているから。

だから、生きてて良かったと思える日もあるし。

死んでしまいたいと思う日もある。


『人生の95%は辛いことだらけだ』

高校の現代文の先生がそう言っていました。

現代文の先生なのに、白衣を着ている様な人でした。

校長の話を聞かずに、居眠りをしてしまう様な。

でも、僕はこの先生が好きだったんです。

『だけど、残りの5%とはきっと輝ける。

そう思えたら、辛いことだって耐えられる。

その為に生きてみても良いじゃないか』

さっきの言葉に続けて先生はこう言いました。

この言葉を僕は今も大切にしています。

もしかしたら、人生に意味なんてないのかもしれない。

こうしている間にも、沢山の人が産まれては死んでいく。

だから、きっと人生に意味などないのでしょう。

幸せみたいに、自分で作るしかないんでしょう。

そう思って、日々を過ごすしかないんでしょうね。

本当、難しいですよね人生って。


『すべての世界の不幸を背負っている様な顔をしているな』

高校のバイト先の店長にそう言われました。

僕としてはそれが普通だったので驚きました。

そうなんだ、僕は暗いんだって知りました。

暗いって褒め言葉では無いですよね?

僕も多少傷つきました。自覚してなかったんで。

でも今になって思うんです。

別に暗いのは悪いことでは無いんじゃないかって。

そう考えるのは楽観的過ぎますか?

それが僕の個性だと思うんです。

背が高いとか、可愛いってことと同じだと。

世界にまったく同じ人なんていないのだから。

自分とは違うからと人を笑ったら、自分も笑って良いですよって言ってる様なもんだと思うんです。

みんな違うんだから価値がある。

そこに優劣なんて無いと思うんです。

人生に意味なんて無いのと同じように。

こんなこと言ったら怒られますね。

おかしな事を言ってる奴がいると思って下さい。


こんな下らない奴でも生きています。

代わり映えのない毎日を過ごしています。

この日々に意味なんてあるのか?

ずっと考えてここまで生きて来ました。

きっと皆さんもそうだと思います。

だから意味なんて無いなんて言うと、怒るのも無理は無いと思います。

でも、そう考えると少し心が楽になりませんか?

その意味を探し求めるのに疲れてはいませんか?

僕はそうでした。僕は何で生きているのか?

そんな考えに押しつぶされそうになっていた。

だから、意味なんて無いと思うと肩の力が抜けたんです。

そうしたら、自分で見つけるしかないと思いました。

他人から見たら、取るに足らない存在だけど。

自分自身に意味を与えて生きてみようって。

多くの人に影響を与える事なんて無理だけど、半径数十メートルの大切な人にはそれが出来るかも知れないって。

その小さな1歩が妻に優しくする事です。

とても小さな1歩だけど、これを続けたら僕は変われるかもしれない。

そう密かに思っています。

何が言いたのか分かりませんよね?すみません。

あなたに1%でも伝われば嬉しいです。

こんな下らない奴がいるって、笑ってくれるだけでも僕がいる意味はあるのかも知れません。


妻は隣の部屋で寝ています。

これから起きてくる妻に、何と声をかけるか。

おはようと元気よく笑顔で言えるのか。

自身は無いけど、やってみようと思います。

もしやってみて、挫けそうになった時は、またこうやって自分の世界に閉じこもろうと思います。

その時はまた、話を聞いてくれたら嬉しいです。

ありがとうございます。また会える日まで」

【完】

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