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[詩] 寄る辺 / 視界不良 / 私
『寄る辺』
深夜一時に帰宅
もう何連勤目だったか
明日は五時起きだけど
シャワーだけは浴びよう
人間でいるための儀式として
昂る神経を睡眠導入剤で鎮めて
ベッドに横たわる
逃げ場を失ったとき
真に追い詰められるとするなら
台所の練炭とガムテープこそが
私の最後の寄る辺だ
私はまだ大丈夫
まだ
『視界不良』
通勤の途中で
上司や同僚と遭遇すると気まずいので
誰よりも早く出社しています
街灯が消え始めた
明け方の地方都市は
朝靄に包まれて
見渡す限りの灰色
視界不良の大通り
何かに躓かないように
足元を見て歩きます
視界不良の人生
誰ともぶつからないように
俯きながら生きています
『私』
遮光カーテンに閉ざされた
真夜中の四畳一間
私は私の中に沈む
神だの仏だのが
私の心を慰められるはずがない
たかだか他人ごときが
私の孤独を穴埋めできるわけがない
私を救えるのは私だけ
私を赦せるのは私だけ
私を癒せるのは私だけ
私を愛せるのは私だけ
私を生きられるのは私だけ




