8.公爵との顔合わせ
レティシアとのお茶会から数日過ぎ、今日は公爵との顔合わせ。
レティシアがあんな事を言うから、心配してしまっていたけど、珍しい物好きってだけで私と結婚するはずが無いから、気にしないことにする。
よし、はじめての顔合わせだし、しっかり準備しなくちゃ!
自室のクローゼットをあける。
うーん、ドレスはいつも通り自分に似合うローズ色のものにしよう!
そして後はこの髪だが……
「マーサあああ!!!髪いい!!!!」
私はこれまたいつも通りにマーサに助けを求める。
マーサに助けを求めたからといってこの髪の天パが何とかなるはずもないが、それでも自分でセットするよりは艶やかな天パになるのだから、マーサにお願いせずにはいられない。
「全く、お嬢様ったら。…はい、出来ましたよ。今日も大変可愛らしい天パです!」
おおお!ほんとだ!今日もなんて可愛い天パ!
じゃない!!いやいや、変わってないじゃん!!
まあ仕方ない。私がするよりかは遥かにマシだし。
コンコン
「お嬢様、公爵様が到着されました。」
別の侍女が私を呼びに来る。
もう来たのか、よし、とりあえずこの婚約話が無くなったらお兄様から怒られるだろうし、公爵に嫌われないようにしないと!
私は天パを揺らしながら玄関ホールまで降りて、家族全員で公爵様を迎える。
玄関の前にはそれはそれは豪華な馬車が止まっており、公爵家の紋章が刻まれていた。
馬車の扉が開く。降りてきたのは、全身から眩いほどの光を放ち、キラキラという効果音まで聞こえてきそうなほど輝きを纏っているイケメン王子様オーラ全開のサラサラの青髪をなびかせた公爵様だった。
ま、眩しいいいいいいいいいいい
「お久しぶりです、マルティス公爵様。国王の尚書官長をしております、ポーチル・ケイトル伯爵でございます。本日はわざわざお越し頂き、誠にありがとうございます。」
父が一歩前に出て公爵に挨拶をする。
父からしたらかなり年下の公爵なのに、こんなに敬語を使っているんだもの、かなり偉い人なのね、公爵って…。
「お久しぶりです、ケイトル伯爵。出迎えていただき感謝します。」
公爵は父に会釈をして挨拶をすると私の方を見て、手を取る。
え!?なんで!?
「こうしてお話するのははじめてですね。はじめましてフェルナンド・マルティスです。今日を良い日にしましょうね」
そう言って私の手の甲に口付けをする。
きゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああ
口付けえええええええええええ
い、いけない。思わず興奮してしまった。
私も挨拶しなくちゃ
「はじめまして、ケイトル伯爵の長女、エリアナでございます。よろしくお願いします。」
出来るだけ平然を装って挨拶を行う。
あれ?なんか公爵の顔ほんのり赤くない?
「立ち話もなんですから、どうぞ応接間へ!」
父の声かけで皆応接間へ移動する。
応接間は長いソファが向かい合って並んでおり、上座と下座に1人がけソファが一つずつ置いてあり、その間にテーブルがある。
父は上座に、母、私は長いソファへ、兄が下座に腰掛ける。
公爵様は私の向かいの長いソファに腰掛けた。
向かい合って改めて顔を見ると、ますます謎が深まる。
なんでこんなイケメンが私と婚約を?