19.デートも終盤なのに…やっぱり変態でした
ランチが終わった私と公爵は、少ししてからレストランを出て、歩いてドレス店までいくことになった。
外には別の貴族達もいるから、きっと誕生パーティで婚約発表をする前に公爵と私の噂で持ちきりになるだろうな。
公爵が有名なのはもちろんだが、私だって四大令嬢の1人だし、それなりに知名度はあるから。
そして他の貴族からはこう思われるだろう。
公爵はなんで私と婚約したのか、と。私みたいな最強天パと婚約なんて、と思うはずだ。だが伝えたい。公爵だって、ビックリするぐらい変態なのだから。
そんな事を考えながら、公爵にエスコートされるまま1つのドレス店に着く。
そこはメイン通りの裏にあるお店で、豪華って感じの外装ではないが、独特な雰囲気を出しつつも、お洒落な可愛いお店。
公爵がこういったお店を知っている事に少し驚いた。
中に入ると、外装と同じ印象を感じさせる内装。飾られているドレスは、最近の流行り物のごてごてのドレス、と言うよりは、独創的な、どこか異文化を取り入れたような、それでいてこの国にも受け入れられるやすいようなお洒落なドレスが並んでいた。
「いらっしゃあ〜い!って、まあ!マルティス公爵じゃなあいのぉ〜!」
この店の店員と思しき人物が公爵に話しかける。どうやら知り合いのようだ。
というか、この店員さん、見た目は確実に体格の良い男の人なんだけど、もしかしたら心はお姉さまな、そんな感じの方かもしれない。
「マリア、今日は私の婚約者にドレスを作って欲しい」
どうやらあの店員さんはマリアというらしい。マリアさんは公爵の背後にいた私を見て目を丸くする。
「はじめまして、マリアナです」
「まあーー!まあまあまあまあまあまあ!!なんて可愛らしいお嬢様なのかしらぁ〜!それにその髪!地毛!?素晴らしいわぁ!独創的なカーブをしているのねぇ!いいわあ!美しいじゃなぁい!!」
マリアさんは私を見ると顔を近づけてきて鼻息を荒くしないがら凄い勢いで迫ってくる。
…え?もしかして、この人も公爵と同類の変態さん…?
私が困っていると、公爵がマリアさんを掴んで引き離し、間に立つ。
「むやみに近づくな、私の婚約者だって言ってるだろう。早く採寸をしてくれ」
そう言われたマリアさんは、もう、と言いながら公爵をソファまで案内し、ドレスの考案に入った。
そして私は別の女性店員さんに連れられ、採寸をする事に。
変態公爵の知り合いは、変態なのだと私の頭にインプットされた日だった。
…そういえば今日は公爵、一回も変態じゃなかったな。
女性店員さんに採寸をされながら公爵のことを考えていると、大事な事を思い出した。
…あ!ハンカチ!まだ渡してない!
プレゼントのお礼で用意したハンカチだけど、成り行きでドレスまでプレゼントしてもらう事になっちゃったなあ。
まあいいか。帰りにでも渡そう。
採寸が終わり、出てくると公爵たちもドレスの考案が終わったようで、「後日、私が直接伯爵家に届けるわねぇ」と言われた。え、貴女が来るの?とは言えず、「お願いします」としか言えなかった。
そして私達はお店を後にし、馬車で帰路についた。
いやハンカチ!ハンカチ渡さなきゃ!
馬車の向かいに座る公爵の方を見るとバッチリと目があい微笑まれる。
いやイケメン過ぎる。
「あの、公爵様。今日は楽しかったですわ。今日のお礼と言ってはなんですが、この髪飾りのお礼も含めて、これを受け取ってくれませんか?」
私は思い切って公爵にそう告げ、持っていた小さい鞄から包装紙に来るんだハンカチを渡す。
公爵は受け取って「あけても?」と言う。
頷くと公爵は包みを開いてハンカチを目にした。
「これを私に…?エリアナ令嬢が…?わ、私のために…っ」
公爵はハンカチを強く握りながら震えている。
もしかして、あまりの刺繍の下手さに怒ってしまった!?
そう思い公爵に「あのっ」と言い手を伸ばそうとすると、その手を公爵に掴まれる。
……え?
「う、嬉しいいいい、ハアハアハア、とても大事にします!家宝にします!貴女から何かをもらえるなんて、私はなんで幸福なんだ!もしかして今日私は死ぬのですか?そうなのですね!!」
………ええ
きもおおおおおおおおおおおおおおおおおおい
え、きもいきもいきもい!!
急に変態の発作が始まった公爵。
「は、離れてええええええ」
私は、馬車が伯爵家に着くと、公爵のエスコートを受けずに降りて逃げる様に帰った。
公爵が後ろから「ありがとうございました!また手紙を出します!」と言っていたのは無視する事にした。
やっぱり公爵は変態でした。
やっぱり変態でしたねっ!




