10.変態でした。
「すみません、取り乱してしまいました。」
先程から数分が経ち、公爵が私に声をかけてきた。肩を落とし、眉毛を下げて落ち込んだ表情をつくっている。どうやら鼻血も止まり、落ち着いたようだ。
「お気になさらないでください。体調は大丈夫でしょうか?」
「ええ、この鼻血は持病のようなものなので。心配してくださりありがとうございます。」
キラっと爽やか笑顔を作ってそう話す公爵。
鼻血が持病って…
イケメンが台無しじゃない…
私がハハハと困ったように笑っていると、公爵がソファから立ち上がり、私の座っている足元に跪き、手を取る。
「こ、公爵様!立ち上がってくださいませ!」
公爵を立たそうと引っ張るがびくともしない。私は諦めて座り公爵の言葉を待つ。
ど、どうしよう…公爵を跪かせたなんて罰当たりな事をさせてしまった…
そんな事を考えていると、公爵が私の手の甲を自分の頬に押し付けだした。
え、なになになになに
そして、公爵は大きく息を吸い、手の甲に自身の顔を
スリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリ
「ハアハアハアハア、エリアナ令嬢、ハアハア」
ぞわぞわぞわぞわっ
背中を何かが駆け上がる感覚がする。
き、きもおおおおおおおおおお
なになになになになに
息を荒くしながら私の手の甲に自身の顔を擦り付ける公爵。
なんと地獄絵図
「は、離れてくださいいい!!」
つい大きな声を出してしまう。
公爵が掴んでいる私の手を引き抜こうとするが、微動だにしない。くそ!騎士ってこんなに力が強いの!?
「公爵様!!離れて!!!」
必死に公爵に訴えかける。
すると、声が届いたのか公爵が顔を上げる。
イケメンが顔を赤らめて息を荒げる姿はそれはそれはイケメンで…
じゃなくて!
「へ、変態!離れてください!!」
しかし公爵は離れるどころか手を離そうともしない。
そしてどんどん私の顔に自身の顔を近づけてくる。
ああ、イケメン…いい匂いがする……
じゃなくて!!
「ハアハア、こんなに美しいご令嬢が目の前にいるのに、ハア、離れることなど出来ません」
いやかっこいいけどきもいいいいいいいいい




