6:晩ごはん
こんばんは。佑樹です。
今は5時半。引き続き舞とカレーを作っています。
ちょうど僕は人参、じゃがいもを切り終わったところです。
「よし。みじん切りできたよー」
「お疲れ様、舞。こっからしばらくは僕がやるから、ちょっと休んでて」
鍋に油をしきながら言う。
「ううん、お兄ちゃんの見てる」
「そっか。じゃあ今度からやらせてあげるからね」
「うん!だから今は見てけんきゅうする」
…熱心でいいことだ。
「ボッ」
弱火にかけて玉ねぎとにんにくを炒める。
「ジュワ―――ッ」
それらがしんなりしてきたらコンソメ(固形)と水、そして豚肉、人参、じゃがいもを加える。
そして火を中火に強める。
「ボーーーッ」
……沸騰するまで待つこと二分。
弱火に戻して野菜に火がとおるまで煮る。
「ぐつぐつ……」
そしていったん火を止め、カレー粉を割り入れる。
「パキパキッ……と、あとは五分煮込んでおわり。」
「すごーい」
テキパキと無駄無くこなしていることに舞は感心しているようだ。
「カレーは今まで何回も作ってるからね。」
それに分量も覚えているからすんなりいくはずである。
「……この間にサラダを盛り付けようかな。よし、舞。出番だよ」
「よーし」
「お皿にレタスを適当にちぎってしいて、そして僕が切るトマトを乗せてね」
「はーい」
舞もテキパキと仕事をこなす。意外と料理に向いてるかもなぁ。
……とトマトを切りながら思った。
「よし、できた。………ん―、でもなんかレタスとトマトだけじゃ足りないよね。」
「うん、確かに。………あっ!そうだ。たしかゆで卵残ってたからそれ乗せよう」
「りょうかいっ」
………ポトン。
…と舞はゆで卵をそのまま乗せた。カラもむかずに。
「これでよしっ」
「ちょっとまて!よしなのか!?これでホントによしとするのか舞は!?」
「うん」
……前言撤回、料理には見た目も大事だというので。舞にはまだまだ教えることが山ほどありそうだ。
「お兄ちゃん、そろそろ五分だったんじゃない?」
「あっ、そうだった。」
火を止めてっと。
……え?ゆで卵はどうするのかって?
舞が
「よし」といったのでこのままにしときます。佐樹はどんなリアクションとるのか楽しみだしね。
「よし。盛り付けは佐樹が来てからにするとして、……お疲れ様だったね、舞。」
「佐樹お姉ちゃん喜んでくれるかな―?」
「喜ぶさ。…たとえ人参が妙な形してても。…サラダにカラさえむいてないゆで卵がドーンとおいてあっても。………舞が一生懸命手伝ってくれたんだもんな。」
「うん!」
喜ぶ…………よな?
〜10分後〜
「……ガラッ」
「おっ?来たかな?」
玄関へ行ってみるとやっぱり佐樹が来ていた。
「いらっしゃ……」
「カレー(のにおい)だ!」
……最初に言うことがそれなのか!?
「いらっしゃーい、佐樹お姉ちゃん。」
「お、舞!久しぶりだねー!元気?」
「うん!」
「…佐樹こそ部活してきたのに元気そうだよね」
「まぁ今日の練習は千メートル3本と200を10本走ったぐらいだったからね」
……十分きつそうだが。僕がやったらダウンする自信あるよ。
「そんなことよりも、今日はこれが楽しみだったから元気なの!」
「あ、そうだった。ごめん、今準備するから。……舞、手伝って―」
「はーい。……佐樹お姉ちゃんは座っててね。」
「は―い」
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「「「いただきま―す」」」
「今日はね、舞もお手伝いしたんだよ」
「へぇー、すごい。えらいよ、舞」
「えへへ―」
佐樹は舞をほめながら、最初にゆで卵のカラをむいている。
……佐樹さん。そこはスルーするのですか?
「うん、カレー美味しい!さすが佑樹だね」
「あ、ありがとう」
「やっぱり佑樹は将来……」
……それはもういいって!!
「お店開いたほうがいいよ」
「そっちか!!」
佐樹はカレーに入っていた不格好な人参を発見し、………食べた。
…そこもスルーですか。
「…ところで佑樹、」
「何?」
「あのさ、」
「うん」
「今日泊まってっていい?」
「ぶっ!?」
…カレーを吐き出すとこだった。
「お父さんとお母さん今晩は帰るのがさらに遅くなるみたいだから……ねっ。お願い、久しぶりに一緒に寝よ?」
「わーい、久しぶりに佐樹お姉ちゃんと寝れる―」
「ちょっと待って!舞。まだ決まってない!」
「「ダメなの??」」
「う、……ダメじゃないけど……」
佐樹が最後にうちに泊まったのは3年以上前だから、少し考えさせられるのはしょうがないことで……
だって一応僕は男で、佐樹は女の子だし……うーん…。
「「じゃあいいんだねっ」」
「え、えーと……」
「「ねっ!」」
なんでそんなに息ぴったりなの君タチ?
……ふぅ。まぁいいか、僕が気にしなければすむ話だ。
「わかった…いいよ。」
「「やった――!」」
さて、どうするか。
父さんと母さんは今週中は帰ってこれないから布団はそれを使ったもらおう。
「さ、今はカレーを食べよう。おかわりあるからね。」
「「はーいっ」」
――――――――――――
「「「ごちそうさまでした―」」」
「2人ともいっぱいたべたな―」
鍋がすっからかんになっちゃったよ。
よっぽどお腹空いてたんだな。
「「お腹いっぱい―」」
「はいはい、後片付けするよ―。…あ、佐樹。今日お風呂はどうする?」
「あ。どうしよう」
「今から帰って佐樹だけ入るのに風呂おろすのは大変だし………佐樹さえよければうちで入る?」
「佐樹お姉ちゃん、舞と一緒に入ろ―」
「…うん。じゃあお言葉に甘えて」
「じゃあ今の間に着替えとか、他に必要なの持ってくれば?後片付け僕らでやるから」
「ううん、後片付けぐらいは手伝うよ」
「そっか。じゃあ3人でちゃっちゃと終わらせちゃおう。」
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「じゃ、ちょっと行ってくるね。」
「「行ってらっしゃい」」
佐樹は必要なものをとりにいったん家に帰った。
ふぅ。……それにしても佐樹がうちに泊まるなんて、ホントに久しぶりだなー。
てゆうか僕らもう中学生なのに……
これで舞がいなかったら絶対拒否してるよ。
「お姉ちゃんとねるの楽しみ―」
……でも、こうして舞も喜んでるわけだし、僕もあまり気にせずいつも通りにいこう。
……あれ!?またまたつづくのですか!?
はい。この1日はあと1話だけ続きます。 次は佐樹の視点で書くつもりです。……ちょっと難しいかもしれないですけど(^^;;