彼を知る
世の中“幽霊がいる”と言われて鵜呑みにする人がどれだけいるだろうか。
精々どこか抜けた人か小さな子どもか、霊媒師と名乗る人達くらいだろう。
幸いというべきか、幽霊の類いは一度も拝見したことはない。
だが、変わったら特技なら持っている。
それは、“物の声が聞こえる”というものだ。
幽霊と同じくらい嘘くさいが、聞こえるものは仕方がない。
たまに自分でも信じられなくなり、精神を病んでいるのではと思うくらいだ。
事実、診察を受けた結果「異常はないけど、ここに来たこと自体が異常みたいなものだね」と爽やかに親戚に診断される位には正常だった。
この力に気が付いたのは、小学校一年生の時だ。
両親は共働きで家を空けがちであり、四歳の妹は保育園に預けられており、大体の場合は一人で夕方を過ごしていた。
この頃には一人遊びも板につき、お気に入りのソフトビニールの人形で戦隊ごっこして遊んでいた。
テレビゲームもあるのだが、決められたことしか出来ないのがつまらなかった。
その点、人形遊びであれば自分の想像で遊べるので飽きる事はない。
ある冬の日、いつものようにお気に入りの人形と一人遊びをしていた。
「お前はなにものだ~」
「ガキの相手をしている可哀想な人形だ…」
何か返事が聞こえた気がしたが空耳だろう。
「今日こそお前をたおしてやる~」
「お前程度のガキにやられてたまるか、阿呆」
流石に二回も同じ大人のような低い声が聞こえるのはおかしいと思い、家の中をグルグルと探し回った。
家には自分しかおらず、テレビもつけていない。
ラジオなんてものは家になく、ゲームをつけたまま放置している訳でもない。
当然、棚や引き出しの中にも疑わしいものはない。
外では元気に遊ぶ子どもの声が響くばかり。
悩んだ挙げ句、もしやと思い人形に問いかけることにした。
「もしかして、話せるの?」
「とうとう人形に対して質問し始めたか。一人遊びも程々にしないと将来変な人だと思われるぞ?」
「だって外は寒いし、はるかはまだ保育園だからひとりで遊ぶしかないじゃん」
「子どもが寒さ程度で日和ってないで外で遊べ…って俺が喋ってるのが聞こえてるのか!?」
相手も相当驚いたらしく、興奮ぎみに返事をした。
「君ははいつからしゃべってたの?」
「本当に聞こえてるんだな…。細かくは覚えていないが、確実にこの家にいた頃からは愚痴をこぼす日々ではあったな」
「そういえば君の名前は?」
「残念ながら名前はないな。ただ、商品名くらいはあるだろ?それを教えてくれ」
「ん~と、君はたそがれ戦隊ラグナロクのゼウスレッドだよ」
「また矢鱈と物騒で仰々しい戦隊だな。自分で考えるからちょっと待ってくれ」
そうしてあーでもないこーでもないと悩んでいる様子を聞くこと5分「よし、決まった!」という声に耳を傾けた。
むかーしに書いた話をそこそこ読めそうな形に組み直したら意外といけるのでは?と思い初投稿。
書き溜めはないですが、ベースの話はあるのでそれなりーな感じで続けられたらなと思いますハイ。




