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第26話 狐は怖い

クラルスとルナとエネミーさんをどうするか、殺人鬼勇者に狙われてるなら離れた方が良いのは明白だ。

僕だけなら逃げるだけなら何とかなるはずだし


「エネミーとルナは冒険者ギルド本部に着いたらそこに残って貰いたい」


「旦那様それは私は戦力にならないと?」


「僕が物語のヒーローなら君達を守るって断言出来るんだけど、現状じゃ厳しいんだよ。冒険者ギルド本部なら凄腕の人も多いでしょ?」


「ギルド本部のマスターはランクSの中でも化け物よん?でも私もランクSなのよん?」


「それを加味した上で、勇者2人を殺したり傭兵の首を並べてメッセージを送るような奴に狙われてる僕の側には置けないよ」


「私やルナの意思はどうなるのかしらん?」


「ルナは正直連れて行こうか迷っている面もある。村人達には顔バレは不味いって上手く伝えけどさ、自分を父親と思ってる人を遠ざけるのは断腸の思いだよ」


「旦那様は、その化け物勇者と戦うのかしらん?」


「可能なら逃げたいよ、だけど僕の世界の人間が違う世界だからってめちゃくちゃにして良い理由は無いんだ。誰かが止めなきゃいけない。それに切り札はあるんだ。」


そう言って大和からもらった笛を出す。


「これで助けが呼べれば御の字、助からなくてもクラルスと僕だけなら何とか逃げ切れるはず」


「赤王じゃ着いていけないものねん」


「だから2人にはギルド本部に居て欲しい、場所さえわかってれば助けに行く事もできるはずだから」


「少し考えさせて欲しいわん」


そう言うとエネミーは何時もの気丈さ無く、肩を落としてその場から去っていった。


「・・・嫌」


「ルナ僕の話理解できたよね?」


静かに頷く。


「・・・嫌」


そう言うと拳を握りしめ、大きな涙を流しその場で震える。


「ルナ何もずっと別れるわけじゃないんだよ?殺人鬼勇者を倒すまでだ」


「・・・嫌だ!」


こんな時エネミーなら優しく説いて聞かせるのだろう。叱りつけるのも違う


「・・・私とーたんと居る!離れない!」


彼女の涙は止まらない。


「ルナ・・・」


「とんでもない悪い奴で、今度はこの前みたいに大和さんが来てくれて間に合う保証がないんだ。僕は弱いから僕に力が足りないから、君を今傷つけている、ごめんね」


「・・・とーたんは負けない!とーたんは強いもん!」


口をへの字に閉じ強い瞳で僕を見るルナ。

無類の信頼が彼女の瞳には宿っていた。


「ありがとう、僕を信じてくれてでも「・・置いてかれても着いていく!ずっとずっと着いていく!」


縋り付き泣きながら懇願する娘に対して僕は何も言えずに佇むことしか出来なかった。


『あああああああ!!辛気臭い!!』


突如僕の背後から声がした


『くらえ!!』


いきなり後頭部を思いっきり殴られた


「ぴぎゃ!」


呆気に取られる、ルナとクラルス

そこにはいつぞやの僕の顔面にオラオララッシュを叩き込んだ狐がいた


『うじうじうじうじうじ、男らしくない!!そこのちんまい2人はさっき居た化け物とは格が違うんだよ、神に修行されたんだぞ?』


無責任な物言いにカチンときた


「話聞いてたか知らないけど!相手は勇者殺しの化け物なんだよ!!危ないだろ!」


『はあ?勇者殺し?そんもんどこぞの魔王や魔族やモンスターにでも出来るわ!』


「危険だから安全地帯に居て欲しいんだよ!そんな事もわからないのかべぶらっっ」


また顔をぶん殴られた


『我に対して生意気言うなこの痴れ者が!また顔面を無様にしてやろうか!?安全地帯!?馬鹿か、ここは地球の日本じゃない、死がゴロゴロと転がり魑魅魍魎が跋扈する異世界だ!まだわかっとらんのか!?何のための刀だ!?殺す為か!?守護する為の刀であり力だろ!履き違えるな!縊り殺すぞ!』


何も言い返せない、正論のオンパレードだ。


『そこのちんまい2人の方がよっぽど覚悟があるわ。拳を見せてみろ、力いっぱい握って血が出ておる。治してやる』


そう言い狐はルナの手を取り光をかざし治療をする。

ルナが力いっぱい握っていた手はルナの血で赤く赤く染まっていた。


『幼子が血を流しても何も思わないか?我に言われるまで気付きもしなかった愚か者よ。幼子が傷つきなお戦おうとしているのに、何も感じぬか?』


何も感じない訳がない


『我は愚か者のせいで、清い覚悟が散らされるのは我慢がならぬ』


ルナの覚悟を踏みにじろうとしたんだ僕は。


頭が真っ白になる。


『呆けてる場合か!言う事があるだろ!それも我が教えてやらねばわからんか!?』


「ルナごめん・・ごめんよ!」


ルナを抱きしめ謝る、ただひたすらに謝る。


『このたわけがあああああ!!』


「あべし!」


僕は蹴り飛ばされ壁に激突した。

ルナは器用に狐にキャッチされていた。


『一緒に来いと何故言えぬ!!子の期待に答えぬか!』


「ひょえええ、師匠が壁に!壁にめり込んどる!」


何とか壁から這いずり出て


「ルナいっじょにいごう」


声を絞り出した


「ばっ化け物なのじゃあああああああああ!!」


「・・・こっ怖い」


『幼子を怯えさせるなあああああ!オラァ!』


「ごべっ!」


りっ理不尽だ、僕が悪いのはわかるけど何もこんなにぶん殴られても


「あああ!師匠ポーション飲むのじゃ!!」


化け物扱いしたクラルスが慌てて駆け寄りポーションを僕に飲ませる

身体の傷が治っていく。


『我に手間取らせるな、馬鹿者が次はその首叩き落とすからな!じゃあの』


やりたい放題言いたい放題言って狐は去っていった。


「旦那様部屋から物凄い音がしたのだけどん?」


「あっあああ僕が不甲斐なくて狐様に怒られたのさ」


「旦那様、私と赤王は先にギルド本部に行きそこに残るわん。そこで勇者を殺した勇者の情報を集めるわん。情報は必要でしょん?それとルナ、ルナは旦那様に着いて行くのねん?」


「・・・かーたんごめんなさい、とーたんが心配だから」


「貴女が居れば、旦那様は大丈夫ねん?」


「・・・ん!任せて!浮気の心配も無し!」


「貴女に任せるわん、本当は凄く凄く寂しいけどねん」


「師匠は甲斐性ないから浮気の心配はないのじゃ」


「それもそうねん」


「えっ?僕が甲斐性無いのは共通認識なの?えっ?」


クラルス、ルナ、エネミーは揃って目をそらした

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