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第13話 紙装甲過ぎるだろ

クラルスの修行って言っても修行の仕方何て僕は知らない。

僕は願石で忍者になっただけだし、村人達はヘーパイストスさんに鍛えられただけだし特にスキルや魔力に関しては僕はスキルの恩恵が無いから使い方もわからない。


「エネミーさんスキルって普通はどうやって覚えるの?」


「元々の資質と、資質に合わせた鍛錬をすると覚えたりするわね。

後はジョブが関係あると言われてるわ。でもそれも感覚的な話よん?旦那様はスキルが欲しいのん?」


「いや僕はスキルや魔法を使えなくてさ。僕の忍術は特殊過ぎてクラルスに教えようがなくてさ」


「あらん?じゃあ村人のニンジャさん達はどうなってるのん?」


「あーあいつらはヘーパイストスさんが鍛えたから正直僕にはわからないんだよね」


「神様直々の修行何て羨ましいわん!」


「頼んだら多分修行してくれんじゃない?エネミーさんは信仰してる神様いないの?」


「旦那様一択よん!元々神様を信仰した事はないわん」


バチコーンとウィンクすると、僕は慣れたがかなり踏ん張らないと吹き飛ばされる。


「うっうん、ありがとう。村人の修行は神界ありきだろうしなあ、ヘーパイストスさんに手紙でも出すかな」


「・・・・チビだけずるい」


「ずるい?」


「・・・・私も強くなりたい」


ふんすと鼻息を荒くし僕とエネミーを見てくる。


「うーん?クラルスは忍者になりたいだけど、忍者になりたいの?」


「・・・・おとーたん見たくなる!」


「えっ?忍者に?」


キョトンとした顔をしていたので、忍びライダーに変身した姿を見せる


「・・・・それ!なる!」


「いやそれはどうだろうな・・」


「・・・・おとーたんだめ?」


うっこれは辛い、父親がついつい子供を甘やかしてしまう気持ちがわかる。

だけどゴットローブもないしなあ。


「ヘーパイストスさんに頼んでみよう」


へーパイストスさんにゴットローブの様に変身できる物を2つお願いするのと、2人の修行について相談したい旨を手紙にしたためバックに入れる。


「後はヘーパイストスさんを待つだけだなあ」


「神様が来るのじゃ!?すごいのじゃ!ヒャッハーなのじゃ!」


今まで静かにしてたクラルスが急に騒ぎ出した。


空から光が落ちてくる


「あっ割と早く来た」


『ガハハ本当に子供が2人できとる!小僧やるじゃないか!見聞通り面白い事になっておるわ!』


「いっいや出来たと言うか1人は修行したいと着いてきただけで・・」


『おー!!御主が小僧の奥方か!小僧は手がかかるけど宜しく頼むぞ!!』


ヘーパイストスさんに跪くエネミー


「はっはい!お任せ下さい!」


『神気にあてられてなお、言葉を出せるとは剛毅なご婦人だな』


エネミーは冷や汗だらだらになっている。

子供達がやけに静かだ。ん?静か?静か?あれ?2人共倒れてる?


「えっ!?ルナ!?クラルス!?」


急いで2人の側に行く


『小娘達には厳しかったか!小僧の手下や奥方が無事だったから失念してたわ』


いや、何笑ってんだこの老人!2人して泡吹いて気絶してるじゃないか!クラルスはお漏らししてるし、僕回復魔法何て使えないし、どうすんだこれ!この状態じゃポーションも飲めないぞ!


『この小娘達の修行だろ?預かってくぞ!ゴットローブはそれしかないが変身用の服も作ってやるぞ!』


ルナを脇に抱えてクラルスは片手でつまんでいる、いくら神とは言えお漏らしマンには触りたくないのであろう


「2人は大丈夫なんですよね!?」


『大丈夫じゃろ、やばかったらイシスかトートにでも頼むわいそれと小僧頼んでおった武器できたぞ!刀の銘はアマノハバキリ、それとキツネから渡された小狐丸じゃ』


「キツネから渡された?あっ後デュランダル何ですが・・」


『キツネはそのうち会いにくるじゃろ!ではさらばだガハハ』


2人を担いで光の中に消えていく


「何か隠してそうだなあ」


と呑気に考えていたら


「ダッダッダ旦那様!?ルナとクラルスが拐われた!?どっどうしたら?!」


「あっあーエネミーさん大丈夫だから、修行したら帰ってくるはずだから」


「修行!?修行て何年もかかるでしょ!?」


物凄く狼狽えるエネミー、唾も鼻水も涙も撒き散らしていている。

母と慕うルナを拐われたからか、母性にでも目覚めたのか?いやオカマだから父性か?

クラルスはお漏らしマンだしおまけだろうけど


「ねえ!聞いてるのん!?ちょっと!?」


「かっかみのせかいとこっちじゃ進む時間が違うから!向こうの一年がこっちじゃ半日だから!だから2日で4年分の修行が出来るみたいです!だからゆすらないでええええおえええ」


あまりの速さでエネミーにシェイクされて嘔吐してしまった。


「ハアハア、本当に本当に2人は直ぐ戻るのねん!?」


「はっはい、仮に僕らが移動してても向こうで多分こっちの事見てますから大丈夫ですよ!」


「そう」言いやっと落ち着くエネミー。心無しか元気がない。


「1つ聞いて良いかしら?普通勇者なら異世界から召喚する際に神様に会ったりするみたいじゃない?聖職や勇者じゃないのに神に見守られてて神と知己なのよね?それなのに勇者じゃないのん?」


「ハハハ、これが違うんですよ。駄女神に巻き込まれただけの忍者何です。だから僕はスキルが使えないし、魔力も無いんです。忍者絡みのスキルなら練習すれば使えるんですけど」


「ニンジャ絡み?」


「ええ、例えば暗殺術は修行して使える様になりましたが、意識してスキルを発動させてる訳では無いしさっきのヘーパイストスさんから魔力も無いから魔法は使えないって言われましたし」


「魔法が使え無いのは不便ねえ。そうすると回復はポーション頼りになるわねえ」


そう鑑定スキルも無いから僕はどんなスキルがこの世界にあり、どんな作用をするかが正確にはわからない。

忍術として思い描いた術は使えるけど、身体を使う術はきちんと修行がいる。

駄女神がスキルをちゃんとくれていたらもっとマシになったはずだ。

チート武器やチートな忍術が使えるからまだ生き延びられたが、本来僕みたいな雑魚は盗賊やモンスターに殺されるのが落ちだろう。


「後はこの刀、僕が思ってる刀ならデュランダルとそう変わらないんだよねえ。多分一振りしたらえらい事になる、デュランダルがそうだったし。ピンチにならない限り鞘から抜けないなあ」


「神様がくれた武器ですものねえ。もしかして魔王にも勝てるんじゃないかしらん?」


「いやーハハハそういうのは勇者に任せますよ、脇役の僕には向いてないですよ」


物陰からガタっと音がする、僕はすぐさま気配を辿る。非常にわかりづらいが物陰に何かいる。


「エネミーさんそこの陰になんかいます」


「本当?私じゃ全然わからないわん」


「僕捕まえてきます」


僕は陰移動し音の方へと行く。

僕には見慣れた存在である紙製の箱を発見する。

日本語でみかんって書いてあるその箱を持ち上げると、小柄で学ランを着た男がいた。


「あっあの勇者さんですよね?」


話しかけてみたらめちゃくちゃ怯え出した。


「ヒイイ!オタコ○!オタ○ン!応答せよ!拙者ピンチでござる!応答せよ!怪物が!怪物が!ヒイイ!」


「あっあのー」


「生欲を持て余す!生欲を持て余す!」


「あの話を・・」


「ふんっ!」


エネミーさんの正拳突きが勇者の急所を貫く。うわあっ痛そう、死んだんじゃないかな?

ピクピクしながら泡吹いてるし。


「誰が怪物よ!失礼しちゃうわん!」


「あっあのエネミーさん?それ多分勇者」


「え?この弱っちい子が?まさかー?」


「ほらあのダンボールの勇者ですよ逃げ出して行方不明になってた奴!」


「え?じゃあ私勇者を殴っちゃったのかしらん?」


「えっええそうなりますね」


まさに紙装甲の勇者だった。ダンボールなだけに。

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