第9話 僕はSランクニート
僕はギルド登録を何とか完遂した。
ニートと言う称号と共に、忍者のニートははは笑えてくる。ダンボールでも勇者の方がマシだ、僕はダンボール以下の存在。
クエストボードを見てみる。
Gランククエストは
薬草採取(状態品質によりボーナス有り)10銭貨
ゴブリン討伐(討伐証明としてゴブリンの耳が必要)50銅貨
教材配達 (神限定)1銀貨
神像の清掃(神限定)1金貨
忍者神殿建築(神限定)10白金貨
どう考えてもおかしいクエストが3個もある。まず神限定ってなんだ?村人がニヤニヤしているところをみると僕絡みに間違いないだろう。
通過の単位もわからないが、神限定クエストをやるしか無いのだろう。薬草生えてる場所も、薬草の見た目もわからない、何故なら僕には知識も鑑定スキルも無いから薬草がどれかわからない。
ゴブリン討伐は無理、耳取って来いとかエグすぎる。
「あっあのーこの3つのクエストやります・・」
気は進まないがやるしかない。
「この神限定(笑)クエストですね、わかりました。期間制限はありません、依頼人さんはそこにいらっしゃいますし後は依頼人さんに聞いてください」
笑いが隠せてないぞ猫耳受付嬢め!
村人の方を見てみると満面の笑みだ
「では神よ!まずはどれからやりますかな?私のおすすめはー」
チラチラと態とらしく神殿建築を見ている。うざい非常にうざい。
「神殿建築からやりますよ、やればいいんでしょ」
「流石神!では行きますぞ!」
ギルドを出て中央広場から少し外れた場所の建築予定場所に着く。
建築予定場所が異常に広い。
「この木材と石材を使ってください!木材は神が生やしてくれた神樹を使っていますのでご安心を!」
何がご安心をだ!しかも僕木遁使うから木材いらないんだけど
「はあ、やるか。とりあえず基礎からやるか土遁地固め、土遁石引」
土遁で土を固め、周りに石畳を引いていき
「木遁、社創造!」
箱根にある僕の大好きな九頭龍神社に似せて創造する。
「おまけだ、土遁狛犬!木遁仁王!社を守ってね」
狛犬と仁王が頷き鎮座する。
「後は色かあ、色ばかりはなあ」
「色はお任せ下さい!神の配色をお伝え頂ければ私共でやります!このクエストの報酬は後でギルドで貰ってください。次の布教活動を行いますぞ!この聖典を街の皆に配りますぞ!」
「配るのは良いけど一軒ずつ回るの?」
「いえ、もうすぐ此処に集まる手配になってますぞあちらを見てください」
村人が指す方向を見ると
「は?」
一列に並ぶ街の人達、既に長蛇の列になっている。
「全住民が居ますので手早く配りましょう」
僕は無心になりながら、脅えた住民1人1人に手渡しで聖典?を渡す。
終わるのに半日以上かかった。
「渡すだけでも疲れるなあ。聖典って何書いてあるんだ?ぐっ!こっこれは!」
そこには忍びライダーの活躍が書いてあった。もちろん脚色有り有りで
「こんな物を僕は僕は!配ったのかああああ」
最悪だ、自分で自分の恥を拡散してしまった。村人は笑顔で
「さっ次は神像を綺麗にしましょう!」
落ち込む暇すら与えてくれない。
中央広場の神像を綺麗にするよう言われる。
「ねえ、これ?綺麗にする意味ある?埃1つ無いんだけど」
「何を言いますかな?頭の上に葉が付いているでしょ!あれを取ってください!」
「はあ。風遁そよ風」
頭の上の葉を飛ばし綺麗にする。
「これで終わりですな!ランクアップですぞ!」
「えっもうランクアップなの?」
「先のオーガの件と、このギルド経由での依頼達成ではれてSランクですな!」
「Sランク!?何で!?」
「神ですからな!ハッハッハッハ!」
Sランクになれるわけないし、とりあえず達成報告だけしよう。一応報酬でるみたいだし。
「もう帰ってきやがった!?」
ギルド職員に助けられたギルドマスターのジンさんが心底嫌そうな顔をしている。
「ハッハッハッハこれでSランクでいいですな?王族や貴族の推薦もありますし、三件ギルド経由でのクエストクリア、先のオーガの王とオーガ139体の討伐、文句なしで好きなな?」
「ギギギギギギギ!ほらカードを出せ!」
嫌々僕のギルドカードを受け取り更新手続きをする。
「異例中の異例だからな!本来ならありえないんだからな!カード受け取ったら二度と来ないでくれ!頼むから!」
「はっひ!もう来ません!ありがとうございました!」
僕は御礼を言い、ギルドから逃げ出す。
「はあ、最悪だ。皆んなもう里に帰ろう・・。里でずっと暮らそう」
ため息しか出ない。これで僕はSランクニート!僕はマッチポンプで成り上がった、実績0のやばい奴になってしまった。
Sランクニート、地球なら最低最悪な寄生虫だ。
「ハッハッハッハ!里に戻るのは賛成ですな!他国に行った者共からの報告も来ているでしょうからな!」
「「それは困る(のじゃ!わん)」」
「ワッチの修行はどうなるのじゃ!?」
お漏らし幼女とエネミーのコンビが現れる。
「きっ君の修行はそうだなあ、お漏らしを治すのが先決かな」
顔を真っ赤にした幼女は俯いて拳を握りながら
「約束破るのじゃ?」
震える声で言った。
「いやあのね?忍術はそもそも危ないしさ君は領主の娘なわけでね?」
「酷いのじゃー!!あーん!!あーん!!」
馬鹿でかい声でギルドの前で泣き叫ぶ幼女。
「見て!あの神とか言う男最低ね!あんな小さい子泣かせてるわよ!」
「ほんとね!とんだゲス野郎ね!」
「シッ不敬罪になるわよ!」
酷い言われようだ、僕が泣きたい。ほんとに辛い、女の人からの目線はゴミを見る目だ。僕はMじゃないからただ辛い。
「あっあのわかった修行!修行するからもう泣かないで!お願い!」
「ひっぐえっぐ嘘じゃないのじゃ?」
「嘘じゃない!嘘じゃない!」
「そちらの話は終わったのかしらん?特例とは言えSランクになった貴方にはギルド本部に一度来て欲しいのよん、これは皆んなしてることだからしない訳には行かないのよん」
「ギルド本部!?えっでも僕が動くと様々な弊害が!」
「弊害?大丈夫よん、貴方の村の人達も太鼓判を押してるわよん?」
「ハッハッハッハギルド本部に殴り込みですな!」
「殴り込み!?だからやなんだよ!」
「ハッハッハッハエネミーさん私達は着いていけません。なので、行き帰りの警護は貴方に任せます。よろしいか?」
「私が護衛?まあギルド本部に連れて行くのは構わないけどリュウちゃんのさっきの技を見る限り護衛はいらないと思うわよん?」
「いるんですよ!万が一いや奥が一の可能性があったらどうするんですか!?何かあったら即ギルド本部と王都に攻め入りますがよろしいか?」
「よろしいかじゃないわよんダメよん。傷1つつけないで返すから安心してねん?」
「ハッハッハッハお任せしますぞ!」
「私も行くのじゃ!修行じゃ!嘘はないのじゃ!?連れて行かないなら泣き喚いてやるのじゃ!」
「えっいやうん」
トントン拍子で話が決まってしまった。
3人旅、村人とは別の意味で大変な旅になりそうだ。





