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MOMOTARO - legacy -  作者: 遊月奈喩多
Chapter1.赤子編~Reborn~
9/34

始動 筆:月輪あかり

9話目の公開です!


果たしてエターナルフォースブリザードの身には何が起こるのか、そして、物語は新たな局面へ……!

「なるほど、そういうン事でしたら、協力は惜しみませんぜ。元より貴方に捧げた命だ、例えどんな道へ行こうともあっしらは続いていく」

「……お前たちの忠誠はたまに恐ろしいものがあるな。俺が白を黒と言えば、お前たちは迷うことなく黒と言うだろう?」


 今までのような軽口のまま、返答でもするかと思えばサルは重々しげに首肯一つ返すだけだ。

 その様に、爺さんとサルとの間に結ばれた力強い信頼が知れる。それは狂信的とも言えるわけだが、師事するその人が〝常に正しく生きる信念の人〟であるからこそ、生まれる信頼でありサル達も後悔はしない。

 白を黒と言えば、間違いなく黒と言う。けれどそれは思考停止なんかではなく、そこには絆があるわけだ。『マスターは意味なく人を罰しない』と。『何か裏に真実があるのだ』と、信頼し続けられる。

 そしてまた、爺さんはその信頼に足る生き方をしている。積み重ねた正しい行いがあるからこそ、盲信は信頼へと置き換わる。


 ――英雄一行が、とても輝かしいものに感じた。


 ◆ ◆ ◆


 あれから十日が過ぎる。

 桃源郷での生活は初日の悪夢を忘れさせてくれるほど穏やかで、住みやすかった。

 まったりしてていいのかよとも思うが、急いだって仕様がない。当面の目標は麗刃の捜索のため旧鬼ヶ島への上陸だが、それだって準備にまだ暫くはかかる。仲間もいないしな。

 爺さんはワクチンのデータをサルに渡していた。どうやらあの施設は実験所らしい。サルが「あの条件下でここまで完成させますか……」と眼を丸くしていたのが印象的だった。

 その他に、爺さんは昔の戦友・キジとイヌにも声を掛けているらしい。暫くは桃源郷を拠点にするみたいだ。

 そして、俺にも変化が訪れた。


「おおぅふ……昔話感出てきたなコレ……」

「浦島センセの玉手箱は偉大ですね。なにぶん歳を取るものだったんで使い所なんざなくて、まさしくタンスの肥やしやったんですが……いやぁ、捨てないでよかった」

「捨てるつもりだったのかよ」


 姿見に映る自分を眺めながら、しみじみと毛深い片手で髭をさするサルにツッコミを入れる。

 外見年齢で言えば十七、八か。怜悧そうな黒髪、宵空のように深い蒼眼。俺の肩に手を乗せたサルが「氷のように冷てぇや」とコメントすると、俺の氷属性としての質が露になった気がした。

 名は体を表すというが、直訳しすぎじゃないかとも思う。

 ――あと、大事な点だけど、俺スッゲェイケメンだった!

 ぶっさいくっつったあんにゃろうに見返せるな(根に持つタイプ)。


「ふぅ……まぁいいや、動けるようになって良かったよほんと」

「うわぁ、とたんに可愛げなくなりましたね……子供が大人になるってこういうことですかぃ……」

「まぁ十日も赤ん坊の状態で一緒にいたしなぁ。これからもよろしく頼むよ。サル」

「だ、だいぶ自我があるようですが……玉手箱の不思議ですかね。物心つく以前からその歳頃になっても普通に身体に馴染んでるとは思いませんでした」


 ……そこに関しては俺が転生していて元々自我を持っていたのもあるからだろうなぁ。

 よくよく考えてみると不思議なもので、たしかに物心ついていない赤ん坊の頃に身体だけ急成長したらと考えると興味は沸くが怖くもある話だ。どちらにせよ異世界だからこその話なんだけどな。


「エターナルフォースブリザード」

「おん?……ていうかその名前いい加減くどいな」

「もう反抗期ですかぃ坊っちゃん」

「坊っちゃん言うな」


 掴みかかろうとしたけどひょうと(かわ)されてしまった。やはりサルというだけ、老けてるわりに身軽なのか……?

 俺がまだ身体に慣れてないのもあるかもしれないけどさ。


「浦島は桃源郷内で学舎を経営している。暫くはここに留まるからな。短期入学して、学も身につけておけ」

「や、俺必要ないと思うんだけど……」

「ナパージの歴史を」

「ああ、それなら悪くないな」


 そうか、俺の肉体が大人になったのならばいよいよ日々の特訓が読み聞かせや魔法取得じゃ済まなくなる。これからは文字通り、ビシバシ鍛えられるんだろうなぁ……というのが最近の悩みか?

 少なくとも、桃源郷を出る日が来れば外の鬼たちと向き合わなければいけなくなるだろう。そうなった時、過去の英雄に置いていかれないよう自分の身は自分で守れるようにはなりたいのが本音だし、これからも悪くない。


 魔法や奥義があっても、あれらは連発できない。それに影響も大きいから、ここぞというときの切り札だ。

 爺さんが教えてくれた魔法のほとんどがザキ系統っていうか、相手を殺す系の技だから使いどころが難しいんだよ。正直。

 フォン・ド・ボーだって教わったはいいが使う機会がなかったから、どういうものかわからねぇしな。


 まぁ、ともすればこれからは学舎生活と英雄直々の修行などなどの日々がメインとなるだろう。

 とりあえず。


 ――春が、来たんだ!

学園生活スタート!?

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