表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MOMOTARO - legacy -  作者: 遊月奈喩多
Chapter1.赤子編~Reborn~
1/34

二次会終わり、締めは桃まんだった。 筆:月輪あかり

桃太郎、その深層に潜り込む物語が、ここに幕を開く……!

 ――眼前に迫る暗闇と、妙な圧迫感に息が詰まって苦しくなる。


 待て待て待て待てどこだここは!?


 手を伸ばす。んん、俺の腕、ちゃんと関節あるよな。……なんか妙で、強いて表現するならば腕が短くなってしまったかのような感覚を刻まれる。

 暗闇だから明瞭としないんだ。ここがどういう場所なのかも、俺の身体の状態もさ。

 それでもと伸ばした指先に当たるのは、これまた不思議な感触。壁であるのは確かだが湿気というべきかなんなのか、瑞々しさを感じてしまう。

 ちょっと力を込めればえぐれなくもなさそうな柔らかさもあって、全くこれがなんだか想像できなかった。


 ちなみに俺は、身体に芯が入っていないような違和感がある所為(せい)で力が入らなくてどうしようもない。

 それでもと指先に付着した水分を鼻元に寄せ(頭でかいな! 身体が小さくなったんじゃないかと錯覚するくらい頭身が変だ)嗅いでみたところ桃の匂いがした。

 いや、桃?

 ……よくわからない話だ。


 気を取り直して。

 手の届く限りの範囲で探ってみたところ、この俺を取り囲む壁全てが桃の香りのしたソレであることが判明した。ものすごい狭い部屋なのか余白がほとんどなく、身動ぎ出来ない状態でこの匂いは気持ち悪くなりそうだ。

 桃が嫌いになりそう。


 次に、身体をまさぐってみる。

 自分の手で触れているんだけど、その赤子のような柔肌がさわさわして妙にくすぐったい。ぶるるっと身体を振ってしまって、これ以上触ると漏らしてしまいそうな危機感がある。

 まったく、自分の身体だというのに全然言うことを聞いてくれないな。

 ――いや待て。こうなると俺の身体なのかも疑問な所だ。

 だって俺のマグナムはこんなちっこくてやわやわじゃないし!

 もっと毛ぇ生えてるし!

 て言うか俺の手の指短すぎじゃん!?

 太ももとかむっちむちすぎて!

 んん、整理しよう。……結論、から、して。


 俺の身体はいま、赤ちゃんボディである!


 ………。

 ……。

 解せん。

 どういうことだ、どういうことなんだこれ。


 うぷ、桃臭さでいよいよ吐き気がしてきた。

 それと、胃を持ち上げるなだらかな縦揺れ。一定の浮き沈みを保ちながら転がるように押されるようで、どうにも酔いを煽ってくる。小型舟に一人で乗っている時、川に波が起きて揺すられた時の感覚にひどく近いものが目覚めてから常に続いていた。

 ここまで触れないで耐えてきたが、改めて認識すると気持ち悪いしえげつない。


 ――まぁ、ここまでの条件があればある程度察することはできる。

 桃の匂いがする壁。

 川に流されている感覚。

 力を込められない赤子のような体躯。

 ふいに辿り着いたのは、日本の馴染み深い昔話に登場する主人公だ。

 まさかだとは思うけれど、そう言えばトラックに轢かれたような記憶もある。

 ――これが俗に言う転生なのか!

 冗談じゃないぞバカ。

「ぅ……きゃぁ」

 発作的に叫びたくなったけど口から漏れたのはそんな小さな柔い声音。すっごい可愛いんだけどこれは赤ちゃんだからかな?

やべえ、認めたくねえ。


 とりあえず俺は、夢であれと言う気持ち一つで眼を閉じた。


 ◆ ◆ ◆


 夢ならばどれほど良かったでしょう(白目)


 クソッ、ダメだった! 夢じゃねぇよ、眼を閉じても開けても暗闇ってなんだ。悪夢でしかないわ。

 いやしかし困った。

 だが聞いてほしい、五感のうちの視覚が真っ暗、嗅覚が桃で満たされ、味覚は酸素を食らい触覚はかぶれてきそう。しかしそんななかで、聴覚で捉える世界に変化が起きている。

 桃が厚い所為かぼそぼそとして聞き取れはしないけど確実に誰かの声だ。それも一人らしい。

 その声を訝しげに聴いていれば川の上下運動が途絶えて、陸地に拾われたのだと気付く。


 状況把握に努めよう。

 まず、仮定として、仮定としてだが俺は昔話『桃太郎』の桃太郎に転生している。俺が今いるこの密室は、大きな桃だと思う。

 つまり俺は川上からどんぶらこどんぶらこと揺すられて、いま川で洗濯していたお婆ちゃん(仮)に拾われたという所だろう。

 要するところ、次に訪れる展開は――


「おぎゃああああああああああ!!」


 数分後。

 真っ暗だった視界に光が差し、鋭利な包丁が滑り込んできたのを弱々しい赤子の両手で真剣白羽取り。

 前世三十代の男、つまり俺は恥も外聞を捨てて赤ちゃんになりきり泣いてみる。

 ていうかなに!? こわい! おじいちゃん(仮)力強い! 抑えてんのにぐいぐい包丁刺してくるんだけど!

 あっ、やべえ殺される! 両断される――!


「おぎゃっ、おぎゃあああああああああああああああ!!!」


 下がびっちゃになるのと引き換えに、殺人未遂のお爺ちゃん(仮)は気付いてくれたようで、包丁は引き下がったのだった。


 はぁー、死ぬかと思ったわ!

言い出しっぺ←(笑) よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ