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きみがここにいるだけで~Protagonist of counterattack~《反撃の主人公》

中学――西暦二○四一年四月十一日


遅咲きの桜が花びらを散らし、春風が運んでくる桜の香が鼻孔をくすぐる。

中学にあがってからも気の合う友達こそできなかったが、それでも、ひとつだけ茄袴にとってよかったこと

――それは、小学校6年間続いた虐めが無い事だった――

存在に気づいてもらえなくても構わない、友達ができなくてもそれでいい。

空気みたいな存在でもいいから…虐めだけはもう――

入学してからずっと、そう願うばかりだった。


そんなある日、茄袴にも友達ができた。時間の流れとはとても恐ろしいものだ。

こんなに優しい友達ができるなんて。

諏訪部 夜魅。性格も比較的明るく、勉強もできて友達もそれなりにいる。

腰下近くまである真っ黒な長い髪はとても印象的だ。

藤崎 沙奈。面倒見がよくて、顔立ちは少し大人びている。

ルビーの瞳に淡い紺色の髪を持ち、どこか不思議な魅力を感じさせる。

二人は茄袴と同じ美術部所属で、部活で仲良くなったのだ。

茄袴は、自分とは大違いな二人が少しだけ羨ましかった。

羨ましいと思うだけで、“自分を変える”という考えから逃げ続けていた。

それが茄袴の毎日だった――



西暦二○四二年四月一○日――


友達ができて、まる一年がたった。

その一年は、不思議に思えるほど平和に過ぎていった。

話し相手ができて、本当に楽しかった。しかし、今日はクラス替えの日なのだ。

クラスが離れても、きっとまた友達が作れるはずだと、勝手に思いこんでいた――


「えー、クラス……だね」

「あ、でも……じゃん」

「最悪ー」

「また一年よろしくー」


いろいろな声が耳に届いた。


茄袴、夜魅、沙奈の三人は、クラスがばらばらになった。正直ほっとしていた。

二人一緒で一人だけ違うクラスなんてことになったら、たまったものじゃない。

そうなるとしたら自分が一人になるだろう。多分、きっと。

楽しい日々もつかの間に、一年間の平和が恐怖を忘れさせていた――




――茄袴――西暦二○四二年五月二○日 午前七時○○分


がらっと変ってしまったクラスにも馴染んできた頃だった。

茄袴は枕元で鳴り響く時計を軽く睨み付けてから起き上がり、乱暴にアラームを止めた。

二階まで一階でお母さんが用意しているはずの朝食の匂いがする。

トーストの少し焦げたような匂いから、パンと目玉焼きに牛乳というシンプルな朝食が脳裏に浮かんだ。

茄袴は制服に着替えてから寝癖がついたままの髪を左右で結い、匂いの元へと向かった。

「パン焼けてるけど、今日は食べて行くの?」

聞き慣れた、いつものお母さんの質問に

「うん、今日は少し余裕あるから」

そう短く答えてから、朝食の用意された席に座る。

丁度良い具合に焼け目のついたパンの上に目玉焼きをのせ、ぱくりとほおばる。

普通の朝食だけど、茄袴はこのメニューが好きなのだ。

食べ終わった食器を片付けて、茄袴は家を出た。


いつもの通学路でもある橋を渡って、少しすぎてからだっただろうか、

すぐ前を歩いていた男性――見た目からして20代半ばだろうか――から、

赤黒い何かが飛び出してくるのを見た。気がした。

一瞬目を見計らったが、確かじゃないことを気にしても仕方ないことだ。

その事を後にして、歩みを進めた――



 ◇


学校の昇降口で、綺麗に櫛を入れてある腰下近くまであるだろう真っ黒な髪に、

どこか幼い雰囲気をもった面。私の数少ない友達。夜魅だ。

「おはよう。」

「あ、おはよう茄袴」

今日は家を早く出たのは確かだが、夜魅はいつもならもう校内にいてもおかしくない時間だ。

この時間に夜魅が登校してきたことに少し疑問を覚えた。

「夜魅、今日はいつもより遅いよね?」

「あーえっと、姉ちゃんと色々あってねー。まあそれはいいとして、

   茄袴も毎日こんな時間に登校してるといつか遅刻に1ついちゃうぞ」

「あはは、大丈夫だよ、今日は早いほうだもん。いつもは遅刻ぎりぎりだし」

「それが危ないんだって。それにしても今日は早いね?」

「ちょっと早く目が覚めちゃってね」

「そっか、じゃあそろそろ教室行かないとだし、またね」

「うん、放課後に」

他愛のない会話をかわしてから、教室へ向かった。



茄袴は勉強が嫌いで、授業中寝ていることが多々ある。文字通り今もうとうとと船こいでいる。

眠い頭を起こし、黒板の上に設置されている時計に目をむけた。

「まだ30分かあ……」

授業時間は後20分。もうろうとした頭で色々考えているうちに、茄袴はまた眠ってしまった。

いつのまに授業が終わっていたのだろう、さっきまで教卓に立っていた人影が消えている。

次の科目は体育で、体力テストという運動神経のない茄袴にとって最も最悪だといえる時間だった。

すっかり忘れていた――前の授業がもっと延長していれば…と、現実逃避。




10kmを走り終えた茄袴は、疲れ果てて地面に体重をあずけた。しばらく休憩して何分すぎただろう。

といっても、授業中なので何十分とは休憩できるわけでもないので、数分だろう。

その時、茄袴の頭に何かがぶつかった。硬くて小さい何か。

「痛っ……」

クラスの男子が石を投げあっているようだった。正直高校生には思えない。

その後も何度か石が飛んできたが、あえて何も言わなかった。

無駄な争いは避けたいのだ。



 ◇◆


それから何日かそれに似たような小さな悪戯は続いていた。そんなある日のことだった。

茄袴は自分の席を見て、あきらかな異変を覚えた。

机に殴り書きされている文字を見て、ふいに呟いていた―

「ああ……またこれだ」

今日まで、何を安心していたんだろう。

どうして、平和が続くと思っていたんだろう。

どうして、些細なことだと見逃して、つぼみが開いてしまう前に対処しなかったんだろう。

どうして、忘れることができたんだろう……あの恐怖を――

教室のざわざわした声が遠のいていく。茄袴はこの痛みを、胸に押し込むことしかできなかった―

家に帰った茄袴は、夕飯の支度をする母に挨拶だけすると

自室に向かい、入って正面にあるベッドにバタリと倒れこんだ。

「情けない…今日のはちょっと酷かったなぁ…」

部屋は静寂につつまれていた。一階からはトントンとまな板に包丁のぶつかる音が聞こえてくる。

その音さえも不気味に思えた。



翌日――五月三○日


カーテンの隙間から、朝日が差し込んでいる。

茄袴は鳴り響く時計の音を無視して、布団をかぶった。

「茄袴ー?もう7時よー!」

そんなお母さんの伸ばし伸ばしの言葉もやけに不快に感じた。

「もう起きてるー」

そっけない返事をして、今日もまた時計を睨みつける。

どうして時間は止まってくれないのか。と、現実逃避。

頭では分かっている。現実だからだ。

それでも逃げたくなる。現実だからだ。

現実逃避をしなくても、このセカイで充実しているリア充と呼ばれる種族は凄いと思う。

――だから私は変われない。

リア充の充実したセイカツには、陰口、暴言、虐めがつきものみたいなものだ。

最近では、リア充自身が、「リア充うぜー」などと言っているが、

どうやら彼氏彼女がいることだけがリア充と勘違いをしているようだ。

しっかり意味を理解してから言葉というものを使って欲しい。彼らは、言葉の重みを知らない。

だから……「しね」「消えろ」なんて暴言を……簡単に言えるんだ。

きっと彼らの使う「しね」は、「呼吸や脈がとまり、命がなくなる」

という意味で間違いないだろう。

意味というものは複数存在する。もちろんそれぞれ理解の仕方は違う。

じゃあ、本当の意味とはなんなのか……そんなのはきっと誰もわからない。

ただイタズラに、言葉を使い、なんとなくその言葉に傷つく。それが人間なのだから――



母にたたき起こされ、しぶしぶ通学路を歩いていた茄袴に、聞きなれた声がかかった。

「おはよう!茄袴」

振り向くと、真っ黒な艶のある髪に深い緑の瞳を持った少女が、歩いていた茄袴のとなりに並んだ。

「あ、夜魅…今日も遅いんだね」

「う、うん…少しね。まあとりあえず、一緒に学校行こうよ」

ここで普通に返事をしていいのだろうか……今朝色々思考を巡らせていたせいか、

言葉を選ぶのが異常に難しかった。

「わ、私に気安く話かけるな!」

…えええ!?自分は何をいっているんだと、自分に心の中で突っ込みをいれた。

が、この少女――夜魅の臨機応変な対応に救われた。

「何?朝から何かの遊び?私もまぜてよ」

のりのいい夜魅にはいつも助かる。

「あ、遊びじゃないよ!ホラ、いくよ!」

「あー!まってよー!」

やはり夜魅に冷たい態度をとるのは難しいかもしれない……



学校――


それからは、特に目立ったいじめは見られなかった。

「えーここは、2Xになると…にして…」

丁度3時間目が始まった頃だろうか。意識が朦朧として、教員の声がだんだんと遠くなっていた。

「ではここ…と……」

「すさん……鴉さん!」

突然名前を呼ばれ、目を覚まして飛び起きた。

「ひゃい⁉」

「なんだその情けない返事は!!」

起きたばかりのぼーっとした頭に、教員の罵声はまったく入ってこなかった。

一度は消えたはずの眠気にまたおそわれ、眠いままの頭で答えていた。

「私、情けないですか?生徒が眠ってしまうような情けない授業をしているのがいけないのでは」

やってしまった。もちろんその後は職員室に呼ばれた。



「おい鴉、お前どうしたんだ?昨日までは素直でいい子だったじゃないか」

「猫かぶってました。」

嘘でもない。

「いつも独りみたいだし、ストレスがたまっているのかも知れないが……」

これ以上面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだと思った茄袴だが、言葉とは不思議なものだ。

気が付いたら呟いていた。

「貴方には、人の気持ちがわからないの」

呟いた声は震えていた。

「なにかいったか?」

50を超える教員には聞こえなかったらしい。その後はいろいろ雑談が続いた。

確かに学校で友達は少ない。しかし、いないわけじゃないのだ。ああいうことを言うから

傷つく人だっている。それをまったくわかっていない。

放課後、茄袴は学校を嫌うように足早に教室を出た。

「おーい!」

昇降口から元気良く聞こえた声は、夜魅のものだった。隣には、沙奈もいた。

――なんだ、二人とも待っていてくれたのか。私にだって友達はいる。そう、強く実感できた時だった。


帰り道、沙奈達とわかれたあと、見知った後ろ姿を見た。

「優奈?」

後ろから名前を呼ぶと、優奈の綺麗な声が返ってきた。

「茄袴ちゃん?何か久しぶりだねー」

振り向いたのは、背丈が低めで、どこか猫を思わせる面。

肩口を擽るほどの髪に、特徴的な寝癖を付けた少女だ。間違いなく優奈だった。

今井優奈。茄袴が小学生の頃の唯一の友達で、中学にあがっても時々会っていた。

最近は時間がなかなか合わないことが多く、会えずにいたのだ。

「んー、久しぶりってほどでもないよね……学校でたまに見るしさ」

「まあそうだけど……」

優奈とは家が近所で、帰り道がまったく同じだ。雑談をしながら家へ向かっている途中、見てしまった。

「え?あれって…」

この前は気のせいですませていた。赤黒いソレを。何かが目の前を通り過ぎた。

「どうしたの?」

優奈が怪訝そうな目を向けてくる。

「何か、今…」

そこまで言うと、優奈はソレについて何も知らないことを思い出した。 

ソレについて知らない優奈にこんな話をしても、意味がわかるはずがないのだ。

「何か…?」

「あ、ううん、やっぱりなんでもない…」

優奈には意味不明だったであろうやりとりをしてるうちに、家の近くまで来ていた。

「それじゃあ、またね」

「うん、またいっしょに帰ろうねー」

そこで優奈とは別れた。




朝――

いつものように、枕元で時計が――鳴っていなかった。

それにきずいたのは、起床予定時間を15分すぎた頃だった。

茄袴は布団が宙に浮く勢いで起き上がり、時計を見た。時刻は7時20分。

「もう時間すぎてる!?」

時計が鳴っても鳴らずとも、いつもこんな時間なのだが。

「最近ちゃんと起きれてたから油断しちゃってたか…」

茄袴は一階に向かって駆け下りると、

「なんで起こしてくれないのー!」

と、母に起きれなかった悔やみをぶつけた。

「何度も起こしたわよ」

と、母に真顔で言われてしまった。このやりとりも毎朝見ている気がする。

「今日は優奈ちゃんが来てくれたのに茄袴ってば起きないから…」

「え、優奈が来たの?」

「ずっと待たせちゃうのも失礼だから、先に行っててもらったわ」

今度こそ毎日寝坊している自分に愕然とした。

「もう…だったら叩いてでも起こしてくれればよかったのに」

なんて、もうどうしようもないことを呟く。

「どうせ茄袴は叩いても起きないでしょう。ほら、そんなことより早くご飯食べて学校行きなさい!」

「そんなことって何よー…」

茄袴は口を尖らせながら低くうなった。



 ◇

昇降口に到着するなり、西蓮寺さんを見かけた。西蓮寺真菜。たしか、同じクラスの女子のはずだ。

あの子もあまりクラスに馴染めていないみたいだった。

そんな彼女に茄袴は、少しだけ親近感を抱いてしまっていた――


理科の時間、いつものように一人で理科室へ向かおうとした。

が、西蓮寺さんが茄袴の席の前で立ち止まった。何か用か、と聞こうと思ったが、

自分から話をかけるのは嫌なので、そのままスルーしてしまった。

茄袴が理科室へ向かっていると、西蓮寺さんは後ろをついてきていた。

移動教室の時に限っては、それが何日も続いた。さすがに気持ち悪いと思った。

新しいクラスになって、もう何日もたってるというのに。今更なんだというのだ。

そんな西蓮寺さんにも、他のクラスには仲の良い友達がいたようだ。

茄袴もその子とはたまに話すのだ。茄袴はA組まで行くと、その子を呼んだ。

「珠代!」

少し声が大きかったのか、この騒がしい教室でも振り向く人が何人かいた。

「いきなり何のようだー?」

珠代は言葉遣いがあまりよくないが、女の子だ。

寝癖をまったく気にしていない髪型は、ばさばさと表現しても間違いではないだろう。

「西蓮寺さんなんだけどさ、」

そこまで言うと、言葉を遮られた。

「真菜?真菜がどうかしたの?」

「最後まで聞いてくれないかな」



 ◇

「んー、ストーカーとかそんな感じ?」

「ストーカーっていうのはオーバーだけど、そんな感じ。というかどうしてわかったの」

「何かこの間言ってたよ?クラスは茄袴ちゃんがいるから……てきな?」

――まさか私は同士だと思われてるのか……

いや、つい最近まで私も親近感がわいてしまっていたのだが。

最近では西蓮寺と茄袴が仲が良いなどと適当な噂が広まっているほどだ。

「なんで私なんだろ」

「なんかほら、一年の時仲が良かったA子と話せないからじゃない?」

「え?」

なんじゃそりゃ!と思いながら聞いていた。そんな私情など知ったことか。

「そんでもって、茄袴は弱々しいから…てきな?」

と、珠代が続ける。

「ふざけてる…ふざけてる!!」

感情に負けて怒鳴ったのを聞いて、珠代の目が点になっていた。

「どした?」

「私は西蓮寺さん友達いないから可哀想だなと思って

ついて来るなとか言ったら私が極悪人みたいだし―って悩んでたのに!私が弱いですって?」

不敵な笑みを浮かべながら、茄袴はがみがみぶつぶつと呟いていた。

今度あったらはっきり言ってやる。そう決心した。



――作戦実行


といっても、作戦というほどのものでもない。計画をたてたわけでもないのだ。ついに反撃の時―

なんてちょっと言ってみたかった中学生の心。次は移動教室なのだ。

とその時、隣の南伊藤さんにぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさい」

かえってきた言葉はとても短く、ひどいものだった。

「キモ……っ」

聞いてないふりをした。謝ったことの何がキモイのか……人間とは難しいものだ。

とそこに、西蓮寺さんが現れた。

「……」

西蓮寺さんは何か言いたげだったが、私はスルーしてしまった。

そういえば西蓮寺さんって嫌われてるんだったよね。何でだろ……

人を強い弱いで表すから?いや、決して引きずっているわけではないのだが。

それとも変った顔立ちだからだろうか。いつもニコニコしていて猫かぶっているようだから?

関わりないのに落ち込んでるときとかだけ慰めたりとかしてくるから?

思い当たる点は意外にも沢山でてきた。

西蓮寺さんに今日はびしっと言わなければならないことを思い出し、思考をとめた。

虐めにつながらない程度で言葉を考えなくてはならないのだ。

茄袴が動き出すと、西蓮寺さんはやはり後に続いてきた。


理科室に近くなったところで、茄袴は不意に歩みを止めた。

「あのさ……」

返事はない。

「私についてまわるのやめない?」

答えはもっとも確かなものだった。

「なんで?」

……?

茄袴はてっきり「うん」とか、落ち込むとか、無言でたたずむとか、そういうのを想像していたのだ。

なので、仕方なくもう一言。

「質問に質問で返すのやめてくれる?」

うすうすきずいてはいたが、答えはこうだった。

「なんで?」

「……だいたいなんなの。私が弱いからついてくるって何。間違ってない?

 私は友達がいないなりに頑張ってるのに……あなたは私につきまとって友達きどりなの?」

また言ってしまった。

「友達気取り?わたし達、友達でしょ?」

……唖然とした。えっと、いつだったか。いつそんな話があったか。

自慢じゃないけど、記憶力の悪さには自信がある。しかし、それでもそんなことはあったはずがない。

その時。

「茄袴ちゃんやっほー!」

いきなり話に割り込んでこられ、半目で睨みつける。その正体に気づいて、茄袴は口を綻ばせた。

優奈だ。

「あ…優奈」

「こんなところで何してるのー?」

不意をつかれた。

「えっと…」

西蓮寺さんのほうを見るが、空気が重すぎる……何となく別の会話を切り出した。

「今日の朝ごめんね?寝坊しちゃってさ…」

「んー、全然大丈夫だよ!」

西蓮寺さんがこっちを見た。その目に、一瞬恐怖を覚えた。

「茄袴ちゃんは、友達いるんだ」

……西蓮寺さんにも珠代がいるでしょう?

心で呼びかける。

「……とにかく、人に付きまとうのはよくないと思う。

そもそも、私が弱いって?人の気遣いを踏みにじらないで。

 遠慮していただけ。私、今日で貴方のことがよくわかったよ。嫌いになったかも。」

その後はあまり覚えていない――気がついたら、夜が明けていた。

あとがき


初心者ですが書かせていただきました。きみがここにいるだけで~Protagonist of counterattack~1話。ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。続きを書いていくつもりなので、これからもよろしくお願いします。

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