第3話
(ピンク仕様の丸テーブルはレースのテーブルクロスに猫足、窓枠はきれいな水玉柄、ソファーといすもピンク仕様…一言で言うと、超ラブリー)
店内を観察して1時間経つ。飲み物は一応ホットコーヒーを頼んだが、すでにアイスコーヒーになってしまっている。
「どうですか?店内かなり派手なので…」
おじおずと話しかけてくるのは通称鈴っち、長谷川鈴さん。俺の理想の美女だ。何もそんなおずおずと話しかけなくてもいいと思うが…。
「はい、とても参考になります。」
そういえばこの店の名前を知らない。どこかに普通は書いてあるものだが、俺が見た限りなかった。
「この店の名前は何というんですか?」
「あれっ、言ってなかったですか?この店のなまえは……ないんです」
「は?」
「つまりは、ご主人様のご想像にお任せって事です♪店内とか、従業員の雰囲気とかで決めちゃって下さい!」
「へー…」
すごい店ですね、と言おうとしたが声が止まった。原因は鈴っちの後ろにある。俺の視線の先を振り返った鈴っちはあっ、と声を上げた。
「こら、鈴。先に名前の事を言いなさいって何回も言ったでしょ!?学習しなさい!学習!」
「はい、すみません…」
言う言葉が俺の母さんに似ているのは気のせいだろうか。とにかく、今分かるのは鈴っちに負けないレベルの美女が目の前に立っている。
「美園佳恋です♪よろしくね」
名前も分かった。