まさかの事態
予選突破したことを、家族に報告するために家へ帰ると、いきなりネスコが抱きついてきた。
俺はその衝撃に耐えられず、こけてしまった。
しかもその時、勢い余ったネスコと頭をぶつけ、二人とも倒れ、意識を失った。
「う・・・う~ん・・・」
俺は目を開けた。
「大丈夫?ネスコ?お父さんとぶつかって頭打ったのよ?覚えてる?」
ミネルが話している・・・誰に?ネスコ?俺はサレイだけど?ネスコは息子の名前だろ?
「大丈夫?お兄ちゃん?お父さんは隣でまだ寝てるよ?」
娘のレイヤが話している・・・
隣を見ると・・・俺がいた・・・俺!?
どういうことだ!
意味がわからんぞ!
まさかと思い、自分の体を見てみると、全体的に小さいし、軽い。入れ替わった!?
そんな状況の自分を眺めていると、俺の体(ホントの体)が、目をさました。その時とほぼ同時に俺は現状況を理解した。
「ここどこ?」って言おうとしたんだろう・・・目の前に自分がいることにビックリしたのか、話すのをやめた。
「ミネル!俺だよ!俺!サレイだよ!なぜかネスコと入れ替わってんだよ!」
「何をいってるの?ネスコ?頭打って、おかしくなっちゃった?そんな訳ないわよね♪ハハハ」
「お母さん・・・ホントだよ・・・」
ちょっと悲しげに、俺の体のネスコが言った。
「ホントなの!二人とも!私は夢を見てるわけでは無さそうね・・・」
「ねぇねぇ?お母さん?入れ替わったって?何かあったの?何が替わったの?おしえてよ~」
「あのな、レイヤ?お父さんとお兄ちゃんの体が入れ替わったんだよ。」
「う~ん・・・えー!じゃあじゃあ!お父さんがお兄ちゃんでお兄ちゃんがお父さん!?」
「そうだな・・・」
「そうだよ・・・」
サレイとネスコはお互いを見ながら言った
「そ、そうだわ!目が覚めたんだから、先生を呼ばなくちゃ!・・・」
ミネルはナースコールを鳴らした。
ぷるぷるぷるぷる・・・
「はい?何かありましたか?」
ナースさんが出た。
「夫と息子が目を覚ましました」
「それでは、先生と一緒に伺いますね」
ブチッ・・・切れた。
一分も経たないのに、医師とナースがやって来た。
えっ?
何でそんなに早いのかって?
そりゃ~ナースステーションと隣だからだよ・・・
「お体は大丈夫ですか?」
医者が言った。
「体の方は大丈夫なんですが・・・入れ替わってしまったんです・・・」
「何が、替わったのかな?ネスコ君?」
「えっと・・・簡単に言いますと、息子と私の意識が入れ替わったんです・・・」
「そんな、あり得ない話が・・・あるはずが・・・」
「ホントだよ!お医者さん!」ネスコは言った。
息子の発言で遂に、医師は理解した。
その日から、二人は、お互いが戻るまで、今やれるべきことを考え始めた。