男勇者と女Bと男Aと氷の館
ようやく氷の館到着
Side:女B
ロザリーちゃんの家から3日、昼過ぎくらいに南第2大陸、氷の館に着いた。ホントは1日半くらいで着く予定だったんだけど…
「ジル、アンタ次から遠出する時は留守番してなさい」
「気持ちは分かるんだけどさ…」
「ジル行かないならアタシも行かない~」
ロザリーちゃんが『い~や~』って感じでジルを抱きしめてる…確かにジルは前見た時より接近戦が異常に強くなってるし動きも速いから戦闘では役にたつんだけど…料理や洗濯も一通り出来るから旅にはもってこいな人材なんだけど…
てか浴衣にベルトって、改造し過ぎじゃない?ちなみに、私達も浴衣を作ってもらってる。1人じゃ辛いからってメイドさんが手伝ってる。
「幾ら何でもトラブルに巻き込まれ過ぎじゃな」
「勇人も大概トラブルに首突っ込むけど、ボウヤは引き寄せてるね」
「まさか予定の倍掛かるとは思いませんでした。食料はジル様とロザリー様が獲って来てくれますから問題無いですが…勇人様異常にトラブルに関わる方が居るとは予想外でした」
「ジル様、凄いですね♪」
「ジルくん、お祓いしてもらおう?このままじゃ本当に危ない」
「もう試した…」
あ、お祓いしてもらってアレなのね…酷いわね…
お屋敷に立ち寄れば住人同士で喧嘩してるし、狩に出れば人を拾う。1回肌の黒い魔族を拾って近くのお屋敷まで届けるなんてのもあったわね…こんだけ色々戦う回数あればそりゃ強くなるわね…解決する時はいつも極端な理屈で相手を混乱させるし…
「はぁ~、これが氷の館……何か見覚えが…」
話題変えたわね。何か最後に呟いてたけど何かしら?
レンガ造りのこの館は三日月状の2階建ての建物が、庭中央の門側に尖った3面の時計塔と凍った噴水を囲んでいる。しかも三日月とは言っても、大きな門を閉じれば完全に円になる。
元々監獄として使われたコトもあるらしくて門の外から見たら古さもあってホラーでしかない!何よあのツルの量、どんだけ長い間放置されてたの!?それに2階の端っこには両方とも槍みたいなのが突き出してあるし、その窓の下は剣山じゃないっ!
「何で氷の館って呼ばれてるんだっけ?」
「建物の中に誰かが入ると門が閉まる。入った者が数日後、門が開いた時に凍り付けで時計塔の前に立っているからじゃな。解凍したら首は切れていたそうじゃが…」
「俺、初耳なんだが…」
「私達だって知らなかったよ…」
ちょっと…それシャレになってないわよ…姫様達も知らないみたいだし…
「じる~…」
「もしかして、ロザリーとイトハは氷対策?」
「それも有るの。普通に戦力としても期待しているのじゃが」
「いやいやいや、確かに私の得意魔法は火だけど…」
こんなマジもんのホラー無理…
「…入る前に外周を調べてみようか。何か有るかもしれない」
「そうじゃな。迂闊に入るのは危険じゃ。どう見ても楽観できん」
流石姫様!皆が圧倒されて動けない時にちゃんと指示出してくれる!リリーも落ち着いた声で魔王の風格みたいなの出てる。でもどうせならこのまま帰るって言ってほしかったわ…
「…何か、この館、端以外に窓が無い?」
「あ、そうだねっ!」
ホントだ。端っこの槍が有るトコにしか窓が無い。
「ボウヤは最初から観察してたね。本当に肝が据わってるよ」
「ジル~、褒められたね♪」
「うん」
ジル、ホントにトラブルに慣れて動じないのね…
「とりえず、2組に分かれて半周ずつしよう。コッチは俺とフレイヤさんとメイドさん、反対を皆で頼む」
戦力的に均等になれないのが辛いけど、メイドさんがいるし妥当なトコかしら。
「脱出用に窓、あと壁にルーンが刻まれていないか等を調べて下さい。何も無ければ館に入る事に成ります」
メイドさんにチェックする内容を聞いてから解散。
結局分かったのはルーンも窓も無かったってコトだけ…それと壁を壊そうとしてみたら傷一つ付かなかった。内側にルーンがあるのかもしれないわね。
「全員で入るのか?」
「この状況でもし分断されたら連携が取れない。全員で動こう」
「それに外側からは何も出来んしな。なら大勢で居た方が心強いじゃろ」
確かに、魔法も打撃も効果無かったわね…
「では私は<人化>を」
「そうじゃな、そのままでは何かと不便じゃ」
「<人化>ってなんだい?」
姫様の質問。私も聞いた事無いわ。
「モリッシュは特殊スキルで人の形をとれるのじゃ。あまり知られたくないのじゃが、致し方あるまい」
「スキルか。人間の国には見れる者が少ないから軽視されがちだな」
「あ、だからスキルの説明はされても見せてもらえなかったのか」
「ロザリー様は見れるのですよ」
「う~ん、城に務めないかい?」
「むう、ロザリーにはわらわの城に来てほしいのじゃ」
「ロザリーの取り合いしてないで速く入ろう?」
ジル、アンタは運無いんだから1番気を付けなきゃいけないと思うわ…
「では私は<人化>を」
そう言って目を閉じて何かに集中するとモリッシュの体を魔法陣が上から通り、地面に着いて消滅する時にはオデコに1本角の生えた女性が、全裸で立ってた…は?
「はい、服」
ジルが荷物の中から着れそうな服を持ってきた。対応速くない?洗濯とかして荷物の中身把握してるんでしょうけど…
「ありがとうございます♪でも、もう少し慌てて欲しかったです」
「ジル…」
「勇人…」
「勇人様…」
「いや、モリッシュさん美人だけど種族違うし…」
「魔法陣が肩まで降りてきた辺りで後ろ向いたからノーカンだろ!?」
「<人化>したケンタウロスは人間とも…」
「モリッシュストーップ!」
何つうコト言おうとしてんのよっ!!
「む~…」
「…どうしろと…」
「速く入ろうぜ?」
「話逸らしたね」
「逸らしましたね」
「逸らしたの」
「逸らしたわね」
「勇人様もジル様もエッチ~♪」
「見てねえって!!」
モリッシュ狙ってたわね。予め教えておいてほしかったわ…
「馬車はどうする?中には持っていけないよ?」
ジルがもっともな事聞いてきた…確かに。
「門の外に置いておこう。最悪帰りは徒歩かもね」
「仕方ないのう。調査の邪魔になるよりはマシじゃ」
「じゃ、入るか」
もう、腹括るしかないわね…
いざ、氷の館へっ!




