女Bは決闘を眺める
Side:女B
「女の人は…女の人はやっぱり嘘つきだーっ!」
『おぉーっと、魔王の嫁が大臣の妾を泣かしているーっ!噂によると魔王の嫁は心理戦が大の得意で切り込み隊長もリリー様も泣かされた事があるって話だーっ!このまま一気に心理戦で決着が着いてしまうのかーっ!』
勝手なコト言ってくれるわね~…あれ?下手に怪我させるわけにもいかないしそうした方がいいかもしれないわね…
「勘違いしたのはアンタでしょ?何でもかんでも人のせいにするのは良くないわよ。だからアンタは騙されんのよ」
とりあえず<心見の魔眼>ONっと。
「だ、騙すのはいけない事だよっ!」
「アンタは勝手に勘違いしただけでしょうが」
「で、でも!最初の時からお姉さんは1回も否定しなかったじゃないかっ!」
「いちいち否定してたら決闘が進まないから我慢したのよ。観客にとってはどっちでもイイコトなんだし」
「じゃ、じゃあ何で魔王様の方にいるのさっ?」
「城に住まわせてもらってるし、困ったコトがあったら助けるくらい当り前でしょ?」
あれ?もうちょっと何か言ってくる思ったんだけど…
「…ぉ、な…なん…」
?聞き取れないわね…
「女の人なんて嫌いだーっ!」
あ~、場外に走って行っちゃった…
『…え~、第2試合に続いてあまりの事に俺も実況が出来ねえが…大臣の妾、場外により、魔王の嫁の勝利だぜっ!』
『『『わ~…』』』パチパチパチ…
まぁこうなるわよね…私が観客でも反応に困る試合だったもの…
「おかえり、イトハちゃんっ♪カッコよかったわよ♪」
「どこがよ…」
「リリーちゃんと結婚する気無いって言い切ったトコ。やっと私と結婚してくれる気に成ったのね♪」
「いやお断りだから」
「えぇ~、イトハちゃんにそんなコト言われたら私次の試合勝てなさそ~」
「案ずるな。既に3勝しておるからヘレシアはさっさと負けて来い。その間にわらわはイトハとの式の準備を…」
「さっさと試合始めなさい!リリーは次の試合に備えてなさい!」
全く油断できない連中ね…
『なんとも微妙な空気だが、第四試合を始まりだーっ!お次は因縁の医者対決!魔王城の保健室室長と魔界総合病院の院長、誰もが知ってる魔界一有名な腹黒白衣の天使と、知る人ぞ知る恐怖の権化、白衣の悪魔の戦いだーっ!何が何だか分かんねえ勝負はもう嫌だっ!?しかしこの2人がまともに戦うとも思えねえ!卑怯は褒め言葉に居っておけ!天使と悪魔によるオペの始まりだーっ!』
実況の人ちょっと自棄に成ってるわね…私関係無いわよ?
「ふふふ…ようやくです、ようやく貴女に復讐できる時が来ましたっ!」
ヤバい薬でもやっちゃってそうな程血走った目でヘレシアと向き合ってるのは褐色の肌したオールバックに銀縁眼鏡のインテリ風の…
裸白衣の男!
…変質者だーっ!誰か変質者、露出狂が出たわ!警察、いや軍隊呼んでーっ!
『今日も鍛えられた肉体の上から白衣1枚とゆう変態スタイルで颯爽登場!学会発表で室長に服着ろと言われて以来、まともな学会には呼ばれなくなってしまった自業自得の変態医者!腕は一流でも変態に診られるのは勘弁だーっ!』
さっき言ってた因縁ってそのコト?因縁浅っ!
「全く、そんな恰好していると風邪引いちゃいますよ?病気を治すはずの私達が病気に成りそうな格好でどうするんですか」
ヘレシアがまともなコト言ってるっ?後ろから人の胸揉む変態が普通のコト言ってるっ!
「ふん、私はそうならない為に体を鍛えているのです!」
理由に成ってるのかしら…
「患者さんには分からないんですから意味無いですよ?患者さんを不安がらせては上手くいくものも上手くいきません。よって貴方に患者さんを診る資格はありません!」
そう言えばこの2人動かないわね。
「イトハ殿、もう少し下がって下さい」
テッタ?
「あの2人、メスや注射器を投げ合っています。このままだと破片が…」
ザクッ×10
「「「…」」」
テッタ以外のメンバーが黙って離れるには充分な量だったわ…
『何だ何だ何だーっ!2人を中心にメスや注射器、体温計までもが散らばっていく!?この2人、見えない速さで静かに戦ってるぞーっ!しかし多い!どこにあんな大量に仕込んでいるのか全く分からないっ!』
「私は治療が出来ればそれで良いのですよ。他の事など知りません」
カカンッ!
あ、メスとメスがぶつかり合った。
「はぁ~、1度イトハちゃんと一緒にお説教しなきゃ」
何で私が巻き込まれるのよっ?
「イトハ?ああ、魔王様の嫁ですか…ふふふ、いいですね。彼女は実に治療のし甲斐が有りそうです」
イ~ヤ~ッ!あんな変態に診られたくないーっ!
「ダメですよ。イトハちゃんの専属医師は私だって決まってるんですから!」
いつ決まったのかしら…
「そうですか、残念です。では貴女の専属医師に成りましょう…ふふふ、彼女程でもないですが貴女も実に治療のし甲斐が有りそうだ」
「いっ、嫌っ!貴方だけは嫌っ!」
「そんなに邪険にしないでください。私の手に掛かればどんな病気も確実に治りますよ?」
「貴方の腕は確かだけど、貴方が嫌なのよっ!」
「ふふふ、こんなに強情な患者さんは初めてです。これは是が非でも治療してみたいですね」
どうしよう、医者に見えない…
「誰が貴方何かに、っ!きゃあぁぁぁーっ!」
『おぉーっと!白衣の悪魔のメスが、試験管が、体温計が、拘束具が、白衣の天使にクリーンヒット!これは動きようが無い!…何々、試験管から漏れてる液体は痺れ薬…おぉっとコイツァ白衣の天使がまるで塗ればの様にビチャビチャだーっ!そして動きずらそうに体をくねらせている姿はあまりにも刺激的!良い子の皆は目を潰れっ!』
ヘレシアがなんかキャットファイトみたいな事に…服が体に張り付いててエロい…巨乳だからよけいにスゴイコトに成っちゃってるわね…
「あれは…もうダメじゃの…」
「院長の調合した薬は本人でも治せないと有名ですからね」
「ただ治す薬を作る気が無いだけだと聞きましたわ」
全員諦めムード!
『え~、これ以上は別ジャンルの勝負に成ってしまうので…この試合、無効として試合を強制終了しますっ!院長は責任を持って室長の治療をして下さい…さぁ、お次はお待ちかね!リリー様の登場だっ!テメエらっ、その勇姿を絶対に見逃すんじゃねえぞっ!』
「ではさっそく私の治療室に行きましょうか。さて今の内に取れるデータを…」
「嫌―っ!貴方だけは嫌―――――――――っ!ちょっ、やめっ触らないで――…」
…ヘレシアが運ばれていくわ…南無…