男Aへの依頼
夏休みだからでしょうか
昨日のアクセス数がいつもの3倍に
おかげで一気に20000PVになりました♪
Side:男A
リリー達との騒ぎがあってから数日。
「ジル~、グレゴリウスさんのトコ行くよ~」
何かあんのか?
「今日はロザリーの杖の調整?」
一番それっぽい理由を聞いてみた。
「ううん、この前コールスに届けたお手紙についてだよ。1週間以上経ったしそろそろお返事が来るころだから『顔出せ』って言われてたんだ~」
返事ってこの前の貿易都市のギルドに出した手紙のか?何か嫌な予感が…
「速く行くよ~」
しょうがないか…
「おう、来たなガキ共」
相変わらず、怖っ!
顔合わせの時のハルバートが未だに脳裏を掠める…
ちなみに、なんとなく敬語使ってたら『気持ち悪いから止めろ』と言われた。以来時たま使って追求を逃れている。何か俺の正体暴こうとしてくるんだよな…多分ロザリーの傍に得体の知れない男を置いておきたくないんだろうな…
「お手紙のお返事来た~?」
「おう。でだ、お前らにユビキタス公国から依頼だ」
何故国から…
「仕事は公国の荷馬車を色彩国家カラーズの首都まで護衛だ」
「ちょっとイイ?」
気になって質問することにした。
「何だ?」
「ジルどうかしたの?」
「いや、俺もロザリーもまだ子供なんだけど?戦力として見て貰えないんじゃないかと思って。その辺どうなの?それに、何でわざわざ国が依頼を?」
これは重要。報酬渋られるとか面倒臭すぎる。
「その辺は心配要らねえ。ギグの森で自活してるってだけで、並みの騎士なんぞよりよっぽど戦力に成るのは常識だ。んで、この依頼は元々ユビキタスから俺に護衛出来る様なヤツを紹介してくれって用件だったんだよ」
つまり俺達が戦力の要にされるのか…てか勝手に決めやがった。まぁ武器タダにして貰ってるから断れないんだけどさ…
「了解」
「ちゃんと出来たらお金貰えるんだよ♪何買おうかな~♪」
「……大丈夫なのかな?」
「だからテメエも行くんだよ。あとこれが俺からの依頼だ。カラーズに着いたらでいい」
「はい…」
俺は子守役ですか…てか赤ヒゲからも依頼あんのかよっ!
次の日、2週間ぶりくらいに来た貿易都市・コールスは相変わらず賑わっていて人が多かった。…人込み嫌い…ん?
「じゃあ勇者様が退治してくれたのかね?」「きっとそうよ!」「あのデブにガリ、親が偉いからって好き勝手やってたからね」「ザマーないさ♪」
この前の2人組の事か?誰かに殺れたのか?
「じゃあリシルさんのトコに魔具を渡してこなきゃね」
あ、忘れてた。あの人の香水、甘ったるい匂いで苦手なんだよな…
「リシルさ~ん、ロザリーで~す」
「はぁ~い、いらっしゃぁ~い」
何か声が遠いな?あ、奥に居たのか。
パタパタパタ…
「あらぁ~、ジルくんまでぇ。ようやく私のトコに来てくれる気になったのぉ?」
「違います」
ロザリーが庇うように俺の事抱きしめてリシルさん睨んでるし…かなり涙目で小動物っぽいけど…
「はい、コレ。頼まれてたモノです。それからちょっと森から離れるから暫く魔具持って来れないです」
「えぇ~、そうなのぉ~。じゃあジルくん借りていいかしらぁ~」
「ダメッ!」
「俺もロザリーについて行くから無理ですよ」
ロザリー、そんなにムキに成らなくてもこの人はからかってるだけだよ…
「残念だわぁ~。せっかくジルくんの身も心もお姉さん色に染めたかったのにぃ~」
「うぅ~…」
「ロザリー、そろそろ行かないと待ち合わせの時間に成っちゃうよ。行こう」
「あっ、うんっ♪」
「あらあらぁ~。私はお邪魔だったかしらぁ~」
「そうですね。じゃ、また」
やっと開放された…
「こんにちは~」
「あら、ロザリーちゃん♪グレゴリウスさんのお使い?」
「うん♪ユビキタスの騎士さん達と荷馬車の護衛だって」
「ああ、アレね。騎士さん達はあっちに居るよ」
「ありがと~♪」
ギルドの受付のお姉さんに言われた方を見てみると、確かに騎士さん達を見つけた。男2人に女1人か。
「ユビキタス公国の荷馬車護衛の騎士さん達ですか~?」
「ん?そうだが…お嬢ちゃん達は?」
「グレゴリウスさんの紹介で護衛をすることになりました、ロザリーと、」
「ジルです。あと俺は男です」
今回は長旅に成りそうだったから浴衣と下駄ではなくジャケットにジーンズだ。まぁ荷物の中には浴衣も下駄の入ってるんだが。
あ、なんか困惑顔で後ろ向いた。
「隊長、本当に子供ですよ?大丈夫なんですか?」
「あの薄紫髪の子なんて10歳くらいですよ?それに本当に男の子?」
「馬鹿者、ギグの森で2人だけで生きてるんだぞ。見た目なんて当てにならん。それにあの…男の子?は推薦状によるとグレゴリウスさんにサシで勝ってるんだ。俺たちじゃ足元にも及ばんぞ」
内緒話してるトコ悪いんだけど駄々漏れだぞ?てか他の人達が俺に注目してる…ギルド内に血の気の多いのっているのかな…
「よう嬢ちゃ、いやボウズ。グレゴリウスに勝ったって、マジかよ?」
後ろから変なのが絡んできた…筋肉隆々で大剣を背に担いでる。多分腕に覚えの有るギルド登録者かな?歳は30前後とみた。
「ちょいと御手並み見してくれ、よっ!」
言いきる前に剣の柄に手を当てて振り降ろしてきた。森の獣よりは遅いか。
ドゴォン!
「はんっ!反撃も出来ないってか!?こりゃあのジジイの実力もたかが知れるなっ!」
この場に居ない人の悪口…あんまり好きじゃないな…てか目は飾りか?
「オジサン、足元足元」
「は?そんなんで注意引こうってのか?」
「いや、だってオジサンの足凍ってるよ?」
「何ふざけた…冷てぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
あ、やっと気付いた。最近ようやく氷魔法が使えるようになってきたから試してみた。ただ氷を出しただけだから呪文は『氷』しか言ってないけど。
「あ~、そんなに暴れると怪我するよ?炎魔法で5分くらいかけて溶かせば痕も残らないから、お仲間に頼めば?」
あ~、面倒臭かった。赤ヒゲの名前って…意外と有名なんだな。
「ジル、お疲れ様~♪」
騎士さん達が座ってた6人テーブルでロザリーが迎えてくれた。ちゃっかり座ってジュース飲んでる。
騎士達は…立ち上がろうとした姿勢のままコッチ見て固まってる。キャーエッチー…なんだろうこのアホらしさ…
「どうかしました?」
とりあえず聞いてみる。
「え、と…君は、無詠唱で魔法が撃てるのか?」
あ~、確かにそう見えるか。実際は違うんだけど…
「ちゃんと呪文唱えましたよ。小声でしたけど」
「それにしては…いつ唱えたんだ?」
「剣が振り降ろされる時に」
「それだけの時間じゃ精々呪文の最初の一言だけじゃないか!どう考えても間に合わないっ!」
この隊長さんウルサイ。
「どんな魔法かは追々見れると思いますよ。それより仕事の話です。どういったルートでカラーズに行くんですか?」
「あ、ああ。カラーズは北第2大陸の中央北部に有る。まずは此処の港から第2大陸に渡り、後はひたすら北上する」
「了解です」
「ジル~、向こうに着いたらちょっと観光しよう?」
「…そうだね♪」
色彩国家ってのがどんなのか想像もつかないけど、第2大陸は獣人が多いんだよな?どっちも楽しみだな……
男Aの話多くね?と思うかもしれませんがちょっと変則的に登場するようになります
男Aの使い易さは中々作者泣かせです…