男勇者は武器を手に入れて、神様は出番が減る
今回は2本だて
Side:姫巫女
勇人が大急ぎで演習場に行こうとしてるね。
全く、人を助けるために一刻も早く修行開始とゆうのは見上げた性根だけど…
「剣も無しに何の修行するつもりなのかな、勇人」
とりあえず通せんぼ。
「……あ」
「勇人様、人々を救いたいという思いは分かりましたが、まず救うべきは御自身の頭では…ぷっ」
あのメイドさんが笑顔だと!そ、そんな馬鹿な!子供の時からずっと一緒だったけど始めて見たよ!
「では勇人様、剣を取りに行きましょうか?」
「ああ」
さてさて、勇人はどんな反応するのかね…
Side:男勇者
「これが…俺の剣…」
手にとって、見入ってしまう…
「そうだよ。これがユビキタスに古くから伝わる聖剣だ。まぁ、大事に扱ってね」
「あ、ああ…」
正直、上の空だったと思う。
俺は自分だけの剣を、力を手に入れた事に高揚していたと思う。まぁ、見た目は武骨な幅広の両手剣。唾や柄は金、刀身は両刃、刀身の中央を縦に小さい溝が掘られていて何か文字が彫ってある。何々…
『悪しき者には煉獄を 正しき者には楽園を 汝が想いを此処に示せ』
全然見たこと無い字なのに読める?てかメッチャ恥ずっ!何この一昔前の魔法の呪文みたいなの!絶対言いたくないんだけど!
「あ~、この剣に彫ってある文字はいったい…」
「あぁ。それはこの剣の能力を示すルーンだね」
「勇人様の魔法の修行が始まりましたらお教えする予定ですので、そのうち聞く機会もあると思いますよ?」
この言葉恥ずかしくて辛いとは言えませんでした…
「では始めるかの」
「勇人様、宜しいですか?まぁ、嫌と言われても始めるのですが」
「聞く意味無っ!それよりも…あの、俺の修行の相手って…」
「剣は私が付き合おう」
「魔法に関しては私がお教え致します。またフレイヤ様が公務等で席を外されている時は剣の方も私がお教えします」
「普通、騎士とかが教えるモノなんじゃないのか?」
「フレイヤ様より強い騎士など居りませんので」
「メイドさんはこの国最強の最終防衛線なんだよ。剣も元からメイドさんが教えた方がいいんだろうけど私の鍛錬も兼ねて、ね」
「騎士団ドコ行った!」
「申し訳ない。騎士として不甲斐無い…」
「どちら様!?」
「おや、騎士長殿。どうされましたか」
騎士長!何か苦労人なオーラ出ちゃってるけど…。そういえば姫巫女が敬語に成ってる…何でだ?
「フレイヤ様は仮にも第一公女です。あまり砕けた口調で話すと内外に有らぬ噂が立ってしまうのですよ」
また考えてること読まれた…そんなに分かり易いのか?
「俺の扱いもどうにかならないかな…」
「もし勇人様とフレイヤ様の仲を邪推して行動を起こす者がいた時は私が全力で排除させて頂きます」
「…方法は?」
「本人の目の前で遠い親族から順に拷問に掛け、最後に子供を…これ以上は言わないでおきましょう」
怖っ!何この人?公女の御付がこれでイイのか!?
「仕方のない事でしょう。私は幼少の頃よりメイドさんから手解きを受けているのですから」
「ははは、それもそうですね。では、御報告も済みましたし、私はこれで」
「はい。他の者にも励むよう、また無理をし過ぎぬように」
「伝えておきます。では」
騎士長が去っていくのをポカーンと見送ってしまった。いや、どちらかと言うと姫巫女に驚いていた。
「フレイヤさん…」
「なぁにぃ~、ゆうと様ぁ~」
「あ、恥ずかしいとは思ってるんですね」
無理矢理に口調変えても隠せてないぞ…
「ウルサイ。御堅い口調も公女には必要なの」
「勇人様がフレイヤ様を苛める…案外有りですね」
「メイドさんが1番危険なんじゃ」
「今更だと思うよ…さぁ、バカやってないで始めようか」
「ん、おう!」
「勇人には細かい型なんかは教えないよ。端っから対人戦は想定してないからね。だから…まずはその剣で私に思いっきり打ち込んで」
「え…大丈夫なんですか?」
「ああ、確かに躊躇うか」
「フレイヤ様、勇人様にはまず防御を教えて差し上げるべきかと。身を守れない者は何も守れませんから」
っ!確かに。俺は守りたいんだから攻撃は二の次でいいよな。
「ふふふ、じゃあメイドさんの御言葉もあったことだし始めようか♪」
そう言ってどこに持っていたのか、身の丈よりも長い棒を構えた。本当にどこから…
「多少無茶をなされても平気ですよ。回復魔法の準備はできておりますので」
あ、俺今日ここで死んんだ…
姫巫女の攻撃は苛烈を極めた。しかし、俺も男だ!そう簡単にやられる訳にはいかない!とにかく姫巫女の攻撃を防御防御防御!どう見てもあの細腕から繰り出されるとは思えない衝撃が剣を叩く。
「剣の影に隠れるだけじゃ防御とは言わないよ!」
「くっそ!わかってる!」
とにかく間合いを取って息を、
「間合いを取りたいならもう少し慎重に。そんなんじゃ逃げたいって言ってるようなものだよ!」
ダメか!やるならもっと強引に…おりゃっ!
「っと…なんだ、やればできるじゃない」
「少々強引過ぎますが、まぁ悪くはないでしょう」
「ありがと。でも、」
「そう、まだまだ。勇者の身体能力ならこれくらいは初日から出来てくれないと困る。これについてこれない様じゃ幻滅だからね」
「言ってくれる!」
今度はコッチからも行かせて貰う!
「甘過ぎるよ」
うおっ!ダメだ、俺の攻撃じゃカウンター食らうだけだ…何がいけないんだ?殴り合いなんてしたことないし、学校の柔道は型練だけだったし…くそっ、速!
「攻めは考えなくてイイよ。今の勇人じゃ下手すると怪我しかねない。もう少し剣の扱いに慣れてからにしよう」
「了解、っ!」
喋りながらも攻撃の手は緩まない…って、無理無理無理無理!あ、
ドゴッ!
「バカ、集中途切らせたりするから…」
「今日はここまでに致しましょう。勇人様も暫く起きないでしょうし。初心者にしては頑張った、と言う所でしょう」
「メイドさんもこう言ってるしそうするかね。全く明日はもう少し保たせて欲しいもんだよ」
俺の意識が途切れた直後の会話だそうな…
Side:ダル
ん?全員終わった?
「…ようやく出番だお」
「どうした、ダル?」
「あ、主神様。ようやく僕達のターンが始まったみたい」
「何っ!そう言う事はもっと速く言えよ!全然準備できてねえっ!!」
「例えばどんな?」
「もちろん、俺様の熱い勇姿を表す様な衣装とか!」
必要無いと思われ…需要あんの?
「男Aをブチのめす案とか!」
フリッグたん、ゲームに負けて以来闘志メラメラだもんね…主神様のコト全然見えてないし。元からだった気がするけど気にしたら負けだよね。
「何よりも俺様の出番を増やす!」
主神様出ても誰トク?って感じだろうけどな~。
「と、ゆうことで。ダル手っ取り早く出番増やす方法考えろ」
はぁ、また面倒なことになた予感。
「じゃあ、フリッグたんみたいに特定の誰かに関わってみるのは?男Aと話すからフリッグたんは出番多いわけだし」
でもあんまりこの世界に干渉すると面倒な事になるんだけどな~。
「あ~、それは俺も考えたんだけどよ~。結局出れんのって夜だけじゃね?」
「出番無しより全然マシっしょ」
「いやそうなんだけどよぉ。何かこう、パ~っとしねぇじゃんか、あの出かた」
確かに前回なんか男Aにボロ負けして泣いただけだたしね。
「いっその事俺も男Aのトコに行ってみっかなぁ」
「止めといた方がいいかも。フリッグたん絶対怒るよ?」
僕は主神様の葬式には出たくないお。フリッグたんなら楽しみ邪魔されたら主神様殺す事躊躇わないだろうしな~。
「くっそ。じゃあどうやって出番増やすってんだよ」
「う~ん…あ」
「ん、なんだ。なんか思い付いたか」
「フリッグたん、今勝負に夢中だから僕らが何しても気付かないんじゃ…」
「…………うぅわぁ~…」
なんか…もういいよね?
次回から各キャラが微妙に絡み始めます。
ちなみに騎士長と女勇者の騎士団長とは立場が微妙に違います。
国が違うから制度も違うってのが理由です